アンドレ・アンリ・ラヴリリエ作　「救国の聖女ジャンヌ・ダルク」　ドンレミ巡礼記念　薔薇のメダイヨン　12 x 10 mm


上部の環を除くサイズ　縦 12 x 横 10 mm

フランス　　1920年代

　百年戦争さなかの1412年頃に生まれ、1431年にルーアンで焼殺された少女、ジャンヌ・ダルクのメダイ。前後二つの部分をずらして開けるメダイヨン（ロケット）型で、可憐な薔薇を象（かたど）ります。薔薇は立体的で、鋸歯状の葉の縁や花びらの脈管までが精緻に再現されています。蝶つがい部分に「フランス」(FRANCE) の文字が読み取れます。





　薔薇を左右にずらすと、ジャンヌの生地であるフランス東部の村ドンレミ (Domrémy) にある大きな聖堂が、直径8ミリメートルの円形のくぼみに浮き彫りにされています。大天使ミカエルの声を聴いたとき、ジャンヌはシェーヌの木のそばにいましたが、この聖堂は1880年代になって、ミカエル出現のシェーヌが生えていた場所に建設されたものです。





　聖堂の浮き彫りを囲むように、「ジャンヌ・ダルクのバシリカ」(Basilique de Jeanne d'Arc)、「ドンレミ」(Domremy) とフランス語で記されています。ジャンヌの生地ドンレミは、ラ・ピュセル」（la Pucelle　フランス語で「処女」「乙女」）と呼ばれたジャンヌに因み、現在は「ドンレミ＝ラ＝ピュセル」(Domrémy-la-Pucelle) と呼ばれています。


（下・参考画像）　「行け、勇気ある乙女よ」　オスカル・ロティによるメダイユ　当店の商品




　メダイヨンを開いた状態で裏返すと、直径8ミリメートルの円形のくぼみに、ジャンヌの横顔が浮き彫りにされています。ジャンヌは騎士の甲冑を身に着け、首元には鎖帷子（くさりかたびら）が覗いています。また殉教者のしるしであるナツメヤシの葉が手前に置かれています。メダイユ彫刻家のサインはありませんが、この浮き彫りはアンドレ・アンリ・ラヴリリエ (André Henri Lavrillier, 1885 - 1958) による有名な作品です。





　ジャンヌを取り囲むように「聖ジャンヌ・ダルク」(Sainte Jeanne d'Arc) とフランス語で記されています。メダイ下部を高倍率のルーペで見ると、三つの年号が刻まれています。1412年はジャンヌの生年、1431年はジャンヌが火刑に処された年、1920年は列聖の年です。1920年5月16日、ローマのサン・ピエトロ聖堂において、教皇ベネディクトゥス15世によって列聖されたジャンヌは、1922年、教皇ピウス11世によって、トゥールの聖マルタン、リジューの聖テレーズ、ルイ9世等と並ぶフランスの守護聖人 (une patronne secondaire) とされました。ちなみにフランスの第一の守護聖人 (la patronne principale) は、被昇天の聖母 (la Bienheureuse Vierge Marie dans son Assomption) です。





　このメダイが制作された1920年代は、第一次世界大戦で国土と人心が荒廃したフランスが、その痛手から立ち直ろうとしていた時期です。愛の象徴である薔薇、あるいは薔薇に象徴される慈愛に満ちた聖母マリアと、救国の聖女ジャンヌ・ダルクは、この時代のフランスならではの組み合わせです。メダイヨンの裏側には、流麗な文字により、「ドンレミ巡礼記念」(Souvenir de Domrémy) と手彫りされています。





　このメダイは百年近く前のものですが、磨耗の程度も軽く、十分に良好なコンディションです。商品写真は数十倍の面積に拡大していますので、銀めっきの剥がれなどがよくわかりますが、実物を肉眼で見るとたいへん重厚で美しく、ご満足いただけます。

本体価格　9,500円　販売終了　SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール（procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp）にてご注文くださいませ。




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