剣を胸に当てて祈るジャンヌ・ダルク 弛(たゆ)まざる信仰と愛国心のメダイ 直径 16.7 mm
上部の環を除く直径 16.7 mm
フランス 1920 - 30年代頃
戦間期に制作された美しい小型メダイ。直径 16.7ミリメートルと小さめのサイズながら、本品の浮き彫り彫刻は非常に優れた出来栄えです。裏面には手彫りによる流麗な字体で「ドンレミ」(Domrémy)
と彫られています。ドンレミはジャンヌが生まれた村で、この聖女の聖地となっています。
騎士の甲冑を身に着けたジャンヌ・ダルクは愛用の剣を胸に当て、腕を交差して祈っています。メダイ下端に炎の舌が見えていますが、整った顔立ちのジャンヌはまるで痛みを感じないかのように落ち着いた表情を浮かべ、その眼はまっすぐに天を仰いでいます。 ジャンヌに執り成しを求める祈りの言葉が、聖女を取り囲むようにフランス語で刻まれています。
Sainte Jeanne d'Arc, priez pour nous. 聖ジャンヌ・ダルクよ、我らのために祈りたまえ。
火刑に処されたとき、ジャンヌは甲冑姿でもなく、剣も持っていませんでした。この浮き彫り作品が意図するのは史実の再現ではなく、眼に見えない信仰心を可視化することです。一見してわかるように、ジャンヌの剣は十字架でもあり、篤い信仰心を象徴的に表します。騎士の甲冑は炎によっても害する事が出来なかった信仰とともに、神とフランスに対する忠誠をも表しています。シャルル7世はジャンヌにフルール・ド・リス(百合文あるいはアヤメ文)の紋章を下賜しましたが、本品の浮き彫りにおいて聖女の甲冑の胸元に付いたフルール・ド・リスは、むしろフランスそのものを表します。
(上・参考画像) シャルル・フェルスター作メダイユ 「全仏孤児の日」 35.7 x 24.2 mm 1917年 当店の商品です。
第一次世界大戦はドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の領土拡張政策によって惹き起され、1914年から1918年まで戦われました。ドイツ自身の国土は戦場になりませんでしたが、戦争を仕掛けられたフランスはこの未曽有の大戦争の戦場となり、国中に死傷者、戦争寡婦、戦災孤児があふれました。このため大戦終結後にフランス人が抱いた対独処罰感情には、きわめて峻厳なものがありました。
ドイツはヴェルサイユ条約によって賠償の義務を負い、その後2690億金マルクの支払いを要求されましたが、この要求を拒否して賠償額の削減を試みました。フランスとベルギーはドイツへの要求を貫こうとして、1923年、非武装地帯であったノルトラインの工業地帯(ルール地方)に進駐し、1930年まで占領を続けました。
(上・参考画像) フランスを恩寵の光で照らす被昇天の聖母 (la Bienheureuse Vierge Marie dans son Assomption)、及び聖テレーズと聖ジャンヌ・ダルク。ジャンヌは甲冑の下に、フランスの色である青にフルール・ド・リスを散りばめた衣を着ています。被昇天の聖母はフランスの第一の守護聖人
(la patronne principale) です。
ところでジャンヌ・ダルクは1920年5月30日、教皇ベネディクトゥス15世により、ヴァティカンのサン=ピエトロ聖堂で列聖されました。また1922年には教皇ピウス11世によって、トゥールの聖マルタン、リジューの聖テレーズ、ルイ9世等と並ぶフランスの守護聖人 (une patronne secondaire) とされました。ジャンヌ・ダルクとトゥールの聖マルタンはともに軍人です。
本品「剣を胸に当てて祈るジャンヌ・ダルク」が制作された戦間期、すなわち第一次世界大戦と第二次世界大戦に挟まれた1920 - 30年代は、このような時代でした。本品の浮き彫りには、篤い信仰心と共に、熱烈な愛国心がおのずから現れていますが、これは本品が戦間期のフランスで制作されたことと無関係ではありません。
本品はおよそ90年前に制作された真正のアンティーク品ですが、突出部分もまったく磨耗しておらず、新品当時のままの非常に良好な保存状態です。メダイユ彫刻家は卓越した技量により、わずか3ないし4ミリメートルほどの顔の表情に、深い精神性を与えています。
本体価格 9,500円 販売終了 SOLD
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