地上にある神の国 「泣く者たちを慰めなさい、とイエスは言っておられます」 石版による美しい小聖画

"Consolez ceux qui pleurent! dit Jésus", Ange Michel, éditeur, Lyon, numéro 1852


余白を含む聖画全体のサイズ 63 x 100 mm

商品写真に写っている額のサイズ  164 x 207 mm  奥行 33 mm


フランス   1920 - 30年代頃



 キリスト教において最も重要な徳目である「愛」をテーマにし、幼い子供にも分かり易いやさしい言葉と絵で表した小品。第一次世界大戦後の戦間期にフランスで制作された作品で、子供たちを描いた小さな絵と金色の文字が、質の良い中性紙に石版画で刷られています。余白を含めた小聖画全体のサイズは、横 63ミリメートル、縦 100ミリメートルです。商品価格には額装が含まれます。





 金色の円形枠に囲まれた部分には、緑色を背景に、死んでしまった小鳥を抱いて泣く女の子と、女の子を慰める少女、二人の様子を微笑んで見つめる幼子イエスが描かれています。

 小鳥を抱いて泣く子供は赤いワンピースを着ています。赤は愛を象徴する色であり、女の子の愛情深く優しい性格を視覚的に強調しています。女の子は人一倍優しいだけに、小鳥の死は耐えがたい悲しみとなって幼い心を押しつぶしています。

 赤い服の子を慰める女の子は、少し年長に見えます。この子もとても優しくて、小鳥の死を悲しんでいるはずですが、いまは年上のお姉さんとして泣いている子を慰め、小鳥が天国に行ったこと、いまは神様に可愛がられていることを話して、泣いている子に寄り添い、慰めています。慰める女の子が着るブラウスの青は、智慧を象徴する色です。この聖画において、青は慰める子が話す内容に智慧があることを表すとともに、泣いている子を慰めるという愛の行為が示す智慧をも象徴します。この女の子は青いブラウスの外側に白いサロペットかロンパーズを着ていますが、青と白の組み合わせは、「まことの智慧の座」(セデス・サピエンティアエ)にして慰め手なる聖母マリアを思い起こさせます。





 幼子イエスはにこやかに微笑みながら二人の様子を見ています。イエスが微笑んでおられるのは、赤い服の女の子が小鳥を愛する優しさを知っておられるからであり、また青い服の女の子の優しさと知恵を知っておられるからです。この聖画において、イエスは天上から顔をのぞかせるのではなく、地上に降りて女の子たちに身を寄せ、すぐそばに立っておられます。女の子たちの愛と優しさはかぐわしい香のように天上へと立ち昇り、神を喜ばせています。神がふたりの愛と優しさを喜んでおられるのは、イエスがすぐそばにおられることでわかります。「マタイによる福音書」 18章 19節から20節において、イエスは次のように言っておられるからです。

     また、はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる。二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである。 (新共同訳)


 イエスは罪びとに永遠の命を与え、地上に神の国を建設するために、メシア(キリスト、救い主)として降誕し給いました。神の愛による救世の計画は、イエスの受難によって達成されました。しかしながらその達成は、歴史上の一点で一回限り起こった過去の出来事ではなく、いままさに、幼子イエスの眼前で、子供たちのなかでも達成されています。すなわち赤い服の女の子は小鳥と心を一つにして悲しみ(「ローマ人への手紙」 12章 15節)、青い服の女の子は赤い服の女の子とともに悲しみつつも、心を寄り添わせて慰めています。これはアダムとエヴァの罪によって枯死した生命樹をふたたび芽吹かせる愛の業(わざ)に他なりません。それゆえ女の子たちは永遠の命に包まれています。女の子たちを取り巻く緑色は、永遠の生命を象徴します。またこの絵を取り巻く金色のは、天上界あるいは神の国の象徴です。二人の少女の愛によって、地上に神の国が実現したのです。





 円い聖画の下には、石版による金文字のフランス語で、次の言葉が書かれています。

  Consolez ceux qui pleurent ! dit Jésus.  泣く者たちを慰めなさい、とイエスは言っておられます。

 この言葉は福音書の引用ではありませんが、キリスト教の精神をよく表しています。なぜならば泣く者を真に慰めるためには、自分の立場を棄て、泣く者に寄り添って共に泣く必要がありますが、まさにこれこそが地上においてイエスの為し給うたことであるからです。

 小聖画の裏面は白紙で、本品の発行元アンジュ・ミシェルの名前と、図版番号(numéro 1852)、及び本品を刷った印刷工房ア・ヴァトンの名前が、小さな文字で最下部に刷られています。

  ANGE MICHEL - ÉDIT -LYON ・ No 1852 ・ A. WATON - IMP - ST - ÉT

 リヨンのアンジュ・ミシェル(ANGE MICHEL)は 1905年に創業したエディトゥール(仏 éditeur)です。アンジュ・ミシェルは信心具商として現在まで存続し、メダイユ、シャプレ(ロザリオ)、クルシフィクス、聖画像のほか、クレシュ(仏 crèche)なども扱っています。ア・ヴァトン(A. WATON)は 1897年から 1954年まで存続したアンプリムール(仏 imprimeur 印刷工房、版画工房)で、リヨンから南西に六十キロメートルほど離れた町サン=テティエンヌ(Saint-Étienne オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ロワール県)にありました。





 本品は戦間期のフランスで制作された真正のアンティーク品です。およそ八十年以上も前の古い聖画ですが、保存状態は極めて良好です。破れ目や折り目、目立つ汚れなど、特筆すべき問題は何もありません。良質の中性紙に刷られているため、酸性紙のような劣化は今後も起こりません。

 下記の商品価格には、聖画、額、マット、ベルベット、工賃、税をすべて含みます。写真に写っている額は注文制作による一点物で、絵画用の木製の棹(さお フレームの素材)を使い、国内の額装職人が手作りしたものです。この額のサイズは 164 x 207ミリメートルです。壁掛け用金具と紐が付属していますが、縁の周囲が平坦で、33ミリメートルの奥行きがあるので、自立させても安定しています。マットに張ったベルベットのワイン・レッドはミサによって聖変化するキリストの御血の色であり、愛を象徴します。マットの色は変更できます。ご注文をいただいた時点で写真の額が在庫していない場合、同等クラスの他の額をご用意いたします。なお商品写真は反射を防ぐためにガラスを取り外して撮影しています。





12,800円 (聖画、額込み) 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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