北アメリカにおけるイエズス会の殉教者たち
Les Martyrs Canadiens, The Canadian Martyrs/The North American Martyrs
北アメリカ原住民(インディアン)の土地ウェンデイク(註1)に、1639年11月、18人のフランス人イエズス会士が移り住んで木と泥で仮設小屋を造り、この拠点を「ヒューロン族の国における聖母マリア」(サント=マリ Sainte-Marie-au-pays-des-Hurons)と名付けて、1649年6月まで宣教活動を行いました。
ここを中心に活動した司祭 6名と俗人 2名が 1642年から 1649年にかけて次々に殉教しました。この8人のことを「カナダの殉教者」(Les
Martyrs Canadiens, The Canadian Martyrs) あるいは「北アメリカの殉教者」(The North American
Martyrs) と呼んでいます。
註1 ウェンデイク (Wendake) は現在のカナダ、オンタリオ州シムコー郡ミッドランドの近郊にあたり、ヒューロン湖の東側の入り江ジョージア湾の南岸に位置します。この場所はヒューロン族(ワイアンドット族 Wyandots、ウェンダット族 Wendats)の先祖伝来の土地でした。
【ヌーヴェル=フランスにおけるイエズス会の活動記録 「レラシオン」】
カナダの殉教者たちは、上述のようにヒューロン族を対象に宣教活動をしていましたが、このころイロクォワ戦争(Guerres franco-iroquoises 註2)が激化し、宣教師たちはヒューロン族と対立するイロクォワ族(イロクォイ族 Iroquis)から「ヒューロン族の同盟者」と看做されて、殺害されたのでした。
その経緯を含め、ヌーヴェル=フランス(註3)で活躍したイエズス会の宣教師たちについては、宣教師たちとパリのイエズス会本部の間で交わされた書簡をまとめて
1632年から 1672年まで発行された出版物、「レラシオン」 ("Relation de ce qui s'est passe de
plus remarquable aux missions des peres de la Compagnie de Jésus en la
Nouvelle-France") により詳しく知ることができます。
「レラシオン」 MDCLXIV
註2 イロクォワ戦争 (Guerres
franco-iroquoises)
は、居住地のビーバーを獲り尽くした北アメリカ原住民イロクォワ族がビーバーを求めて領土を拡大し、またヨーロッパとの毛皮交易を独占しようとして、ヒューロン族を初めとする他の種族を相手に行った戦争です。ビーバー戦争とも呼ばれます。
註3 ヌーヴェル=フランス (Nouvelle-France) は北アメリカにおけるフランス人入植地で、最盛期には現在のカナダの東半分及び現在のアメリカ合衆国の東半分を合わせた広大な地域に拡大しました。
【「カナダの殉教者」の崇敬と列聖】
これらの殉教者に捧げられた崇敬の場所として、カナダのオンタリオ州ミッドランドに殉教者聖堂 (The Martyrs' Shrine) が、アメリカ合衆国のニューヨーク州オーリズヴィルに北アメリカ殉教者聖堂
(The National Shrine of the North American Martyrs) があります。
この8人の殉教者たちは、1930年6月29日、ローマにおいて教皇ピウス 11世により列聖されました。8人はカナダの守護聖人であり、カナダにおいては9月26日、アメリカ合衆国においては10月19日が祝日となっています。
関連商品
カナダの殉教者 北アメリカの殉教者 列聖記念のメダイ 1930年
天使と諸聖人のレファレンス インデックスに戻る
キリスト教に関するレファレンス インデックスに移動する
キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する
キリスト教関連品 その他の商品とレファレンス 一覧表示インデックスに移動する
アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する