幼きイエズスの聖テレジアと、「ほほえみの聖母」　ブロンズ製メダイ　20.7 x 12.6 mm


突出部分を含むサイズ　縦 20.7 x 横 12.6 mm

フランス　　1920年代後半から 1930年代頃

　リジューの聖テレーズの楕円形メダイ。およそ 80年ないし 90年前のフランスで、ブロンズを使用して制作されたものです。

　表（おもて）面には薔薇のクルシフィクスを胸に抱くリジューの聖テレーズ (Sainte Thérèse de Lisieux, 1873.1.2 - 1897.9.30) を浮き彫りにし、モノグラム TS を刻印しています。周囲にラテン語で次の言葉が刻まれています。

　　SANCTA TERESIA A JESU INFANTE　　幼きイエズスの聖テレジア





　リジューの聖テレーズは修道女となってからも俗名と同じ「テレーズ」を名乗りましたが、これはアビラの聖テレサ (Santa Teresa de Ávila, 1515 - 1582) を自らの範としたゆえです。アビラの聖テレサは跣足カルメル会の祖とも言うべきスペインの聖女で、「イエズスの聖テレサ」(Santa Teresa de Jesús) という名によっても知られています。リジューの聖テレーズが「幼きイエズスのテレーズ」(sœur Thérèse de l’Enfant-Jésus ) を名乗ったのも、アビラの聖テレサに倣ったものです。「テレサ」(Teresa) はスペイン語、「テレーズ」(Thérèse) はフランス語、「テレジア」(THERESIA) はラテン語です。イタリア語では「テレーザ」(Teresa) です。またアビラの聖テレサ、リジューの聖テレーズは、シエナの聖カタリナ、ビンゲンの聖ヒルデガルトとともに、数少ない女性の教会博士です。





　裏面には蛇を踏みつけてほほえむ聖母の姿が浮き彫りにされ、周囲にフランス語で次の言葉が刻まれています。

　　Vierge du Sourire, priez our nous. 　ほほえみの聖母よ、我らのために祈りたまえ。


　「ほほえみの聖母」 とは、1883年の聖霊降臨の主日に、病床にあった少女時代の聖テレーズが幻視したノートル＝ダム・デ・ヴィクトワール (Notre-Dame des Victoires) のことです。本品の裏面に刻まれた「ほほえみの聖母」像は、テレーズの連作で知られる厳律シトー会の彫刻家、マリ＝ベルナール修道士 (Fr. Marie-Bernard, 1883 - 1975) による作品を写したものです。

　本品はリジューの聖テレーズの列聖（1925年）から間もない頃に制作された古いメダイですが、特筆すべき問題の無い良好な保存状態です。19世紀のフランスでメダイに多用されたブロンズは、20世紀に入るとほとんど使われなくなりますが、本品はクラシカルなブロンズ製であり、重厚な雰囲気を漂わせています。斑（むら）が無く美しいパティナ（古色）によって鈍く輝く風合いは、一世紀に迫る時を経た真正のアンティーク品に相応しく、近年のものとは一線を画（かく）した重厚な趣（おもむき）があります。

8,800円　販売終了　SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール（procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp）にてご注文くださいませ。




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