繊細で美麗な線細工 マリアの御心のアンティーク・ロザリオ、またはセラフィムのアンティーク・ロザリオ 愛の炎と生命を象(かたど)る深紅のビーズ 全長 52 cm


クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、クラウン最上部からセンター・メダル上端までの長さ 33.5 cm

ロザリオの全長 52 cm


突出部分を含むクルシフィクスのサイズ 69.2 x 49.5 mm   最大の厚み 10.3 mm

突出部分を含むクールのサイズ 35.9 x 32.8 mm   最大の厚み 10.4 mm


天使祝詞のビーズの直径 約 6 mm

主の祈りと栄唱のビーズの直径 約 7 mm


スペイン  十九世紀



 十九世紀の線細工による聖母のロザリオ。。この時代の線細工はイタリアやフランスにも分布しますが、イスパニア(スペイン)及び南ドイツ(バイエルン)の線細工が特に有名です。本品はスペインの作例で、クール(センター・メダル)の形状が戴冠した聖母マリアを表します。





 クルシフィクス、クール(センター・メダル)、スペイサー、主の祈りのビーズのキャップは、いずれもブロンズ製です。これらは以下の方法で制作し、金めっきで仕上げています。まず、クルシフィクスは次の手順で作られています。

1. 十字架の縦木と横木の骨組みとなる透かし入りの部材を作る。この部材はブロンズの薄板を打ち抜いたものだが、強く蛇行した川のような形状で、太い針金による線細工を平たくプレスしたように見える。

2. 細い針金を捩じってプレスし、縁がミル打ち様(よう)のブロンズ製リボンを作る。

3. 2.を渦状に巻き、1.でできた板の透かし部分に嵌め込む。

4. 1.から.3.の要領で、長い部材を二枚、短い部材を六枚制作する。

5. 4.で作った八枚の部材を、円筒の側面を縦に二分した形に曲げる。それぞれの部材は京菓子の八つ橋に似た形状になる。

6. 長さが合う部材どうしを一組として組み合わせ、鑞付け(ろうづけ 溶接)して円筒とする。こうして短い円筒が三組、長い円筒が一組できる。

7. 6.でできた四本の円筒形部材を組み合わせて鑞付けし、十字架を作る。

8. 十字架交差部に取り付ける二輪の花の枠を、細いリボン状のブロンズ製針金で制作する。それぞれの花は八弁で、八弁のうち四弁が月下美人の花びらのように細長い紡錘形である。月下美人の花びらに両側を挟まれた四弁は、涙滴形である。

9. 8.で作った八弁の枠に、2.と同種のリボン状針金を渦状に巻いて嵌め込み、繊細な透かし細工の花を作る。八弁の枠はふたつあるから、二輪の花ができる。

10. 9.で作った二輪の花を、十字架の両面から交差部に鑞付けする。これはキリストの後光を表すとともに、十字架の補強にもなる。

11. ブロンズの薄板を打ち抜いて、八弁の花を模る部材を四枚作る。これら四輪の花は中心と各花弁の内部が開いた透かし細工になっている。これら四輪の花を杯状に湾曲させ、十字架の末端四箇所に鑞付けする。これにより十字架の各末端が閉じられる。

12. ブロンズの薄板を打ち抜いて、パルメット様(よう)の部材を四枚作る。これら四点のパルメットは葉の内部が開いた透かし細工となっている。内部が開いた葉を枠として、2.と同様の針金を巻いて嵌め込み、枠内に鑞(ろう)付けする。これらのパルメット様部材四枚を、12.で閉じた十字架末端部四箇所に鑞付けする。

13. 打ち出し細工のコルプス(キリスト像)を、十字架の一方の面に鑞(ろう)付けする。コルプスは両手及び足台の計三か所で十字架に鑞付けされている。

14. ブロンズの薄板を打ち抜いて、八弁の小さな花を作る。

15. 十字架裏面の交差部には、八弁の大きな花が鑞付けされている(11.)。14.の小花をその中心に取り付けて、アクセントとする。





 主の祈りのビーズはスペイサーによって天使祝詞のビーズから隔てられています。本品のスペイサーは線細工で美しく飾られ、見た目にも快いですが、主の祈りのビーズを際立たせることにより、祈りの回数の間違いを防ぐという実用的意味も有しています。スペイサーは次の手順で作られます。

1. ブロンズの薄板を、両端に環がある八弁の花形に打ち抜く。八弁の花は、全部で八枚作る。八枚の花のそれぞれは、中心部が大きく楕円形に開いた透かし細工になっている。

2. クルシフィクスの制作手順 2.で作ったのと同じリボン状針金を用意する。

3. 2.のリボン状針金をS字状に巻いて、八弁の花の中心部にある楕円形の窓に嵌め込む。八弁の花はS字形線細工の枠になる。

4. リボン状針金が脱落しないように、枠(八弁の花)に鑞(ろう)付けする。


 主の祈りのビーズには、ブロンズの薄板を打ち抜いて作ったキャップが被せられています。キャップは十弁の花を模(かたど)り、スペイサーとともに主の祈りのビーズを際立たせる役割を果たしています。




(上) マリアのエム(M) 多色刷り石版画を貼り付けたカニヴェ 116 x 75 mm フランス 1892年 当店の商品です。


 二十世紀以降に制作されたロザリオの場合、クルシフィクスが下になるように吊り下げると、クール(センター・メダル)は正立します。これに対して十九世紀のロザリオでは、クールは倒立しています。本品のクールを倒立させる(上下を逆にして見る)と、マリアの頭文字エム(M)を模っていることがわかります。エムの上部には横長パルメットによる立体的円環が取り付けられています。パルメットは華やかな線細工で装飾され、それぞれの面からはティアラのように見えます。これは天の元后マリアの冠に他ならず、含意においてロザリオ(薔薇の花環)と重なり合います。本品のクールは次の手順で作られています。

1. プレーンなリボン状の針金で、エム(M)を基本モティーフとしたクールの骨組みを作る。

2. クルシフィクスの制作手順 2.で作ったのと同じリボン状針金を用意する。

3. 1.で作った枠の内部に、2.を巻いて作った渦状の飾りを嵌め込む。

4. 渦状の飾りが枠から脱落するのを防ぐため、要所を鑞(ろう)付けする。

5. ブロンズの薄板を六弁の花形に打ち抜いて、十二枚の部材を作る。これらの小花は、クルシフィクスの制作手順 14.で作った八弁の花よりもひと回り小さい。

6. 5.で作った小花のうち十枚を、クールの両面に五枚ずつ鑞(ろう)付けする。これらの小花は渦状の飾りが枠から脱落するのを防ぐとともに、クール全体の強度を増す。

7. プレーンなリボン状の針金で、横長パルメットの骨組みを二つ作る。

8. 7.で作った二つのパルメットの内部を、2.から 4.と同様の手順により、ミル打ち様(よう)線細工で装飾する。

9. 8.でできた二つのパルメットの中央に、5..の小花を一つずつ鑞(ろう)付けする。

10. 9.で完成した二つのパルメットを湾曲させて、エム(M)を模るクールの上部に鑞(ろう)付けする。真上から見た二つのパルメットは円環状である。これはマリアの冠に他ならない。





 天使祝詞のビーズの直径はおよそ六ミリメートル、主の祈りと栄唱のビーズの直径はおよそ七ミリメートルで、いずれも深紅のガラスでできています。分光器でテストしたところ、赤の発色はセレン(Se)によるものでした。それぞれのビーズには、熟練職人の丁寧な手作業によって、十八のファセット(小面)がカットされています。カットは非常に正確で、一見したところ現代のマシーン・カットと見紛います。

 本品ロザリオが制作されたスペインでは、伝統的に赤が最も美しく地位が高い色とされてきました。スペイン語の形容詞コロラド(西 colorado)は「有色の」という意味ですが、特に赤い色を指します。コロラドがアメリカ合衆国の州の名前になっているのは、この地を流れるコロラド川の水がシルトのせいで赤みがかっていたからです。スペイン語でコロレテ(西 colorete)あるいはコロリド(西 colorido)と言えば、これは口紅、頬紅のことです。


 ところで色彩は光によって生み出されますが、光そのものに色があるわけではありません。ここで筆者(広川)が言うのは白色光が無色だということではなくて、赤色光、青色光などあらゆる光が呈する色は、光の本質をありのままに捉えているのではないという意味です。赤、青などの色は、人間による認識とは無関係に、光が独自に有する属性ではありません。人間が感覚器官を通して受容した光の有り様(よう)、具体的に言えば周波数が、感性と悟性のシェーマ(独 Schema 図式)に従って処理され、色覚が生じるのです。

 自然現象を観察する際、我々は外界をありのままに認識できていると思い込みがちですが、色をはじめとするあらゆる事象は人間の知性によって処理され、適合的な形式になって受容された「現象」(フェノメノン 希 φαινόμενον φαίνω《現れる》の中動相現在分詞)、英語で言えばアピアランス(英 appearance 様相、見え方)に過ぎないことを、われわれは忘れるべきではありません。外界の客観的反映と思われがちな自然科学分野のデータでさえ、「人間にのみ通じる」という最も根源的な意味の主観性から逃れることはできないのです。


 このことを思うとき、色に関連して筆者が思い出すのは、ゲーテの色彩論です。ゲーテはニュートンの光学に反論を試みて、色彩学の独自の体系を築きました。ゲーテの色彩学はその物理学的前提において間違いだらけであり、科学者にはまったく相手にされませんでした。しかしながら上に述べたように、色覚をはじめとする我々の感覚、知覚は人間独自のものであり、最も根源的な意味において主観性を有します。このことを思えば、ゲーテの色彩論は物理学的側面において否定されつつも、生理的・心理的側面においては十分な評価に値します。

 「対立と調和」はゲーテの思想を貫くテーマですが、これは色彩学においても同様です。ゲーテは互いに対立する二色である《黄》と《青》を色彩の基礎と考え、黄はオレンジ色を経て深紅へと、青は紫を経て深紅へと、それぞれ上昇(独 steigern)すると考えました。すなわち対立する黄と青は、最高位の色である深紅において、上昇による一致を達成します。他方、黄と青が単なる混合によって一致すると緑が生じます。この色相環は閉じていて、調和した全体を為します。残像現象からもわかるように、色相環上で正反対の位置にある二つの色は互いに求め合い、対立しつつも調和します。

 実際、現代の色彩学においても、深紅と緑は対比補色です。残像が対比補色に色づいて見えるのは、対比補色の関係にある二色が互いを誘導するからです。ゲーテの色相環上で正反対の位置にある二つの色は、ライプニッツの「予定調和」におけるような有機的調和を希求します。したがってゲーテにおける対立色は単なる補色ではありませんが、二色が互いを誘導する事実に変わりはありません。対立色同士の誘導を、ゲーテはフォルデルンク(独 Forderung 要求)と表現しました。ドイツ語の動詞フォルデルン(独 fordern 要求する)は副詞フォアデア(独 vorder 前に)を語源とし、「目の前に連れて来る」が原意です。対立色同士の誘導にフォルデルンの語を用いるのは、「有機的調和の希求」というニュアンスをよく表現するとともに、対立色が残像に現れる様(さま)を巧みに表す用語法と思えます。





 筆者(広川)がここでさらに思い起こすのは、ヨーロッパの紋章学で使われる「シノプル」(仏 sinople)という色名です。シノプルは緑色のことですが、この語の語源であるラテン語シノーピス(羅 SINOPIS)は、黒海南岸のシノーペー(希 Σινώπη)で採れる赭土(しゃど、あかつち)を指します。赤を表す語がどのようにして緑を表すに至ったのか、筆者は理解することができず、長い間不思議に思っていました。しかしながら赤と緑が対比補色であること、とりわけゲーテの色彩学においては互いに希求し調和し合う関係にあることを考えれば、このような語意の変化は必然的とは言えないまでも、一見して思えるほど不自然でも不合理でもないことに気付きます。赤と緑が対比補色であるという事実は、この二色に自然本性的なつながりがあることを示しています。

 議論の最初に断ったように、色覚は人間の感性と悟性のシェーマ(図式)を通して得られるものである以上、赤と緑の間に人間の認識とは無関係に独立したつながりがあるわけではありません。人間に固有的な色覚の体系においてのみ、赤と緑は自然本性的なつながりを有します。そうであるからこそ却って、この二色のつながりは人間の自然本性的思考を、あるいは思考以前の自然な感覚を、忠実に反映しているということができます。

 血の色である赤は、古来《生命の象徴》とされてきました。その一方で、成長する植物の緑もまた《生命の象徴》です。色彩が有するこのような象徴性は、一見したところ、文化的コンテクストにおいてのみ論じられるべき問題と思われがちです。しかしながら文化的事象は数千年に亙る歴史に深く根を下ろし、最も深い部分において人間の自然本性そのものに接しています。むしろ人間の自然本性そのものに発し、数千年に亙って受け継がれたのが、色の象徴性をはじめとする文化的事象であるといえます。したがって対比補色あるいは対立色の関係にある赤と緑が、象徴的意味においてこのように共通するという事実は、これら二色のつながりが人間の自然本性に発することを示していると、筆者(広川)は考えます。





 以上のことから、赤が有する第一の象徴性は《生命》と考えてよいでしょう。しかるにトーラーは生命と血液を同一視し、「レビ記」十七章十一節は「生き物の命は血の中にある」と説いています。したがって本品の赤いビーズは、生命を宿す血液と看做すことができます。

 循環するロザリオの祈りにおいて、環状部分の深紅のビーズは信仰の血液であり、戴冠したエム(M マリア)を模るクール(心臓)は文字通りマリアの心臓に相当します。ロザリオの祈りはビーズの流れという形を取って心臓を通過します。心臓はミクロコスモスにおける太陽であり、ここを通過する祈りを賦活して、次の玄義の祈りへと送り出します。


 赤は《愛》の象徴でもあります。本品の環状部分を構成する五つの連は、キリストが両手両足と脇腹に受け給うた流血の傷を象徴します。しかるにキリストが血を流し給うた五か所の傷は、神の愛の可視化に他なりません。ロザリオの祈りを唱えるとき、神とキリストの愛はビーズの流れという形を取って、聖母の心臓(クール)を通過します。この際に愛の火を点火されて燃え上がった聖母の心臓からは神とキリストに向かう愛が発出し、愛を象徴する赤いビーズを次の玄義の祈りに向けて送り出します。


 本品のビーズの赤を《愛の火》あるいは熾天使(セラフィム)の象徴と考えることもできます。セラフィムは愛の炎を聖母の心臓に点火します。トマス・アクィナスは「スンマ・テオロギアエ」第一部108問5項 「天使たちの位階には適切な名が付けられているか」("Utrum ordines angelorum convenienter nominentur.") において、セラフィムの本性を神に向かう愛であると論じています。この項の異論五に対するトマスの回答の前半を示します。テキストはラテン語レオニナ版で、日本語訳は筆者(広川)によります。

    Ad quintum dicendum quod nomen Seraphim non imponitur tantum a caritate, sed a caritatis excessu, quem importat nomen ardoris vel incendii. Unde Dionysius, VII cap. Cael. Hier., exponit nomen Seraphim secundum proprietates ignis, in quo est excessus caliditatis.    第五の異論に対しては、次のように言われるべきである。セラフィムという名前は単なる愛ゆえに付けられたというよりも、愛の上昇ゆえに付けられているのである。熱さあるいは炎という名前は、その上昇を表すのである。ディオニシウスが「天上位階論」第七章において、熱の上昇を内に有するという火の属性に従って、セラフィムという名を解き明かしているのも、このことゆえである。
         
    In igne autem tria possumus considerare. Primo quidem, motum, qui est sursum, et qui est continuus. Per quod significatur quod indeclinabiliter moventur in Deum.
   ところで火に関しては三つの事柄を考察しうる。まず第一に、動き。火の動きは上方へと向かうものであり、また持続的である。この事実により、火が不可避的に神へと動かされることが示されている。
    Secundo vero, virtutem activam eius, quae est calidum. Quod quidem non simpliciter invenitur in igne, sed cum quadam acuitate, quia maxime est penetrativus in agendo, et pertingit usque ad minima; et iterum cum quodam superexcedenti fervore. Et per hoc significatur actio huiusmodi Angelorum, quam in subditos potenter exercent, eos in similem fervorem excitantes, et totaliter eos per incendium purgantes.    しかるに第二には、火が現実態において有する力、すなわち熱について考察される。熱は火のうちに単に内在するのみならず、外部のものに働きかける何らかの力を伴って見出される。というのは、火はその働きを為すときに、最高度に浸透的であり、最も小さなものどもにまで、一種の非常に強い熱を以って到達するからである。火が有するこのはたらきによって、この天使たち(セラフィム)が有するはたらきが示される。セラフィムはその力を及ぼしうる下位の対象に強力に働きかけ、それらを引き上げてセラフィムと同様の熱を帯びるようにし、炎によってそれらを完全に浄化するのである。
    Tertio consideratur in igne claritas eius. Et hoc significat quod huiusmodi Angeli in seipsis habent inextinguibilem lucem, et quod alios perfecte illuminant.    火に関して第三に考察されるのは、火が有する明るさである。このことが示すのは、セラフィムが自身のうちに消えることのない火を有しており、他の物どもを完全な仕方で照らすということである。


 《愛の火》という言葉は、スペインのカルメル会士十字架の聖ヨハネ(San Juan de la Cruz, 1542 - 1591)が作った美しい詩、「愛の活ける炎」("Llama de amor viva")を思い起こさせます。この作品のスペイン語原文を示します。日本語訳は筆者(広川)によります。

    Canciones del alma en la íntima comunicación,
de unión de amor de Dios.
神の愛の結びつきについて、
神との親しき対話のうちに、魂が歌った歌
     
    ¡Oh llama de amor viva,
que tiernamente hieres
de mi alma en el más profundo centro!
Pues ya no eres esquiva,
acaba ya, si quieres;
¡rompe la tela de este dulce encuentro!
愛の活ける炎よ。
わが魂の最も深き内奥で
優しく傷を負わせる御身よ。
いまや御身は近しき方となり給うたゆえ、
どうか御業を為してください。
この甘き出会いを妨げる柵を壊してください。
         
    ¡Oh cauterio suave!
¡Oh regalada llaga!
¡Oh mano blanda! ¡Oh toque delicado,
que a vida eterna sabe,
y toda deuda paga!
Matando. Muerte en vida la has trocado.
  やさしき焼き鏝(ごて)よ。
快き傷よ。
柔らかき手よ。かすかに触れる手よ。
永遠の生命を知り給い、
すべての負債を払い給う御方よ。
死を滅ぼし、死を生に換え給うた御方よ。
         
    ¡Oh lámparas de fuego,
en cuyos resplandores
las profundas cavernas del sentido,
que estaba oscuro y ciego,
con extraños primores
calor y luz dan junto a su Querido!
  火の燃えるランプよ。
暗く盲目であった感覚の
数々の深き洞(ほら)は、
ランプの輝きのうちに、愛する御方へと、
妙なるまでに美しく、
熱と光を放つのだ。
         
    ¡Cuán manso y amoroso
recuerdas en mi seno,
donde secretamente solo moras
y en tu aspirar sabroso,
de bien y gloria lleno,
cuán delicadamente me enamoras!
  御身はいかに穏やかで愛に満ちて、
わが胸のうちに目覚め給うことか。
御身はひとり密かにわが胸に住み給う。
善と栄光に満ち給う御身へと
甘美に憧れる心に住み給う。
いかに優しく、御身は我に愛を抱かせ給うことか。






 上の写真は本品を男性店主の手に乗せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。


 線細工のアンティーク工芸品には、真正の線細工と、線細工のように見える類似品の二通りがあります。真正の線細工は針金を曲げて一点ずつ制作されます。これに対して線細工の類似品は、板を打ち抜いたり、繊細な透かし彫り風の模様を鋳造したりしたもののみで構成され、効率的な大量生産が可能です。本品は真正の線細工を多用した工芸品であり、細工師が一点ずつ手作業で制作したクルシフィクス、スペイサー、ビーズのキャップ、クール(センター・メダル)からできています。本品の線細工が本物であることは、クールを見ればいちばんよく分かります。

 ビーズもひとつひとつ手作業でカットと研磨が行われています。本品は五連のロザリオであるゆえに、生命と愛を象(かたど)る深紅のビーズが祈りの流れとなり、クールを通過して循環します。血液を賦活し新たに送り出す心臓は、近世の医学において《ミクロコスモスの太陽》とされました。本品においては聖母マリアの汚れなき御心が体内の心臓と同じ役割を果たし、《信仰生活の太陽》となっています。聖母の汚れなき御心はロザリオを唱えるたびに祈りを賦活し、信仰生活を更新してくれます。


 本品は十九世紀、すなわち百数十年以上前のスペインで制作された真正のアンティーク品ですが、年代の古さ、細工の繊細さにもかかわらず、保存状態は極めて良好です。特筆すべき問題は何もありません。本品はデザインの美しさ、これ一点の制作に投じられた労力の大きさ、仕上げの丁寧さ、稀少性、および保存状態の良好さにおいて、めったに出会えないレベルのアンティーク・ロザリオです。





本体価格 88,000円 販売終了 SOLD

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