透明感あるガラス・ビーズ 《新しきエヴァのシャプレ・デ・ミシオン 全長 39.5 cm》 コスモスに生命を与えるマリアのロザリオ イタリア 1920年代後半ないし 1930年代



クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からセンター・メダル上端までの長さ  26 cm

ロザリオの全長  39.5 cm


ビーズの直径  およそ 6 mm

突出部分を含むクルシフィクスのサイズ  40.3 x 25.4 mm




 1920年代後半ないし 1930年代頃のイタリアで制作されたロザリオ。イタリア語でロザリオ・ミッショナリオ(伊 rosario missionario)、フランス語でシャプレ・ミシオネール(仏 chapelet missionaire)またはシャプレ・デ・ミシオン(仏 un chapelet des missions)と呼ばれる種類で、五色の珠が五つの大陸を表します。

 ロザリオ・ミッショナリオ(シャプレ・ミシオネール、シャプレ・デ・ミシオン)は宣教を祈るためのロザリオですが、珠の数と配置は通常のロザリオと同じですので、通常のロザリオとして使うこともできます。





 本品のクルシフィクスは装飾的意匠のラテン十字に、別素材による打ち出し細工のコルプス(羅 CORPUS キリスト像)を鋲留めしています。十字架は銀色の合金製であるのに対し、コルプスはブロンズに銀色のめっきを掛けてありますが、長い年月の中でめっきが剥がれてブロンズが露出し、アンティーク品ならではの温かみがある風合いとなっています。

 外側に向かって開大する十字架は、アール・デコの影響により、直線を多用した意匠です。各末端はフルール・ド・リス(仏 fleur de lys 百合の花)で終わっていますが、フルール・ド・リスもアール・デコの影響を受けて、幾何学図形を組み合わせた二十世紀らしい造形となっています。フルール・ド・リスは聖母の象徴である百合と同じ意味合いを有しますから、本品のクルシフィクスは、受難のイエスを聖母が腕に抱くピエタ(伊 pietà)の変形と解することができます。





 ロザリオのセンター・メダルを、フランス語でクール(仏 cœur 心臓、ハート)と呼びます。心臓は全身に酸素と養分を運ぶ大元の臓器であり、その重要性は言うまでもありません。しかしながら人間の身体に関する伝統的な考え方において心臓は生命の座と見做され、単なる循環器を超えた重要性を与えられてきました。

 人間の身体はマクロコスモス(μακρόκοσμος  大宇宙)に対応するミクロコスモス(希 μικρόκοσμος 小宇宙)と考えられました。血液循環を見出したウィリアム・ハーヴェイは心臓のポンプ機能を正しく理解していましたが、この臓器を単なるポンプとは考えませんでした。ハーヴェイは心臓が生命の源泉であり、身体というミクロコスモスの太陽であると述べています。

 これらのことを考えるとき、クールに聖母をあしらった本品の意味は明らかです。すなわち本品は聖母像そのものをクール(心臓)の位置に置くことで、五色の環状部分が象(かたど)る世界(マクロコスモス)に生命を与えるのが聖母であること、また宣教の働きは聖母に賦活されてこそ可能になることが示されているのです。



(上) Frédéric Vernon, "Éva", 1975 当店の商品です。


 とりわけ本品の聖母像は 1830年にカトリーヌ・ラブレが幻視した聖母です。不思議のメダイに浮き彫りにされるカトリーヌ・ラブレの聖母は、伝統的な無原罪の御宿り像に近い姿に改変されています。しかしながらカトリーヌ・ラブレが実際に幻視した聖母は、両手で球体を持つウィルゴー・ポテーンス(羅 VIRGO POTENS 力ある童貞)でした。ウィルゴー・ポテーンスが手に持つ球体は、被造的全世界の象徴です。したがって不思議のメダイの聖母は、全宇宙を神のもとに連れ戻す聖母であるといえます。

 聖母への祈りと宣教により、ミクロコスモスは浄化され賦活されます。ミクロコスモスが救いを得れば、それはマクロコスモスが本来の秩序を取り戻すことにもつながります。本品ロザリオが生命の座である心臓の位置に聖母を置いているのは、このことを表すために他なりません。

 神がお創りになった被造的世界の完全性は、エヴァが犯した原罪によって破綻してしまいました。しかしながら原罪の棘に傷つくことなく咲き出でたロサ・ミスティカのマリアは、受胎告知の際に「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と答え、救いを受け容れました。このことにより、被造的世界の完全性を回復する道が開かれたのです。それゆえ世界に死を齎した古きエヴァに対して、世界に救いを齎したマリアはノヴァ・エヴァ(羅 NOVA EVA 新しきエヴァ)であるといえます。エヴァとはヘブル語のハワ(生命)であり、ギリシア語ではゾーエー(希 ζωή 生命)と訳されます。これは救い主の御母に如何に相応しい名前でしょうか。

 世界中で福音を宣べ伝える宣教者たちは、世界を神と和解させ、世界に生命を取り戻すために身命を捧げています。本品ロザリオ・ミッショナリオ(シャプレ・ミシオネール、シャプレ・デ・ミシオン)はそのような宣教師たち、及びキリスト教精神に基づいて教育や医療、あらゆる奉仕と援助に携わる人々のために祈りを捧げるために作られています。







  本品に特徴的な五色の珠は直径約六ミリメ-トルのガラス製で、緑はアフリカの森林と草原を、青は太平洋の島々を取り囲む海を、白は教皇の聖座があるヨーロッパを、赤は南北アメリカの宣教師を迎えた試みの火を、黄色は太陽が昇る東方、アジアの朝を象徴します。珠はすべて揃っており、特筆すべき破損や欠損はありません。ガラスの透明度は高く、きらきらと輝いています。ひとつひとつのビーズの接合部は必要に応じて手作業で研磨されており、手間をかけた丁寧な作業に驚かされます。





 本品はおよそ九十年前のイタリアで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代に関わらず、保存状態は良好です。チェーンの強度も充分で、特筆すべき問題は何もありません。本品は通常のロザリオを祈る際にも、わが国をはじめ世界各地で働く宣教師や修道者のために祈る際にも、同様にお使いいただけます。





本体価格 25,000円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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