エミール・ドロプシ及びレモン・チュダン作 奇しき薔薇の聖母とノートル=ダム・ド・フルヴィエール 枠付メダイ 23.1 x 16.5 mm


突出部分を含むサイズ 縦 23.1 x 横 16.5 mm

フランス  1940年代後半



 一方の面にはロサ・ミスティカの聖母を、もう一方の面にはリヨンのバシリカ「ノートル=ダム・ド・フルヴィエール」(Basilique de Notre-Dame de Fourvière) に安置されている「リヨンの聖母」を、それぞれ浮き彫りにしたメダイ。表裏とも、優れたメダイ彫刻家ふたりの作品です。





 ロサ・ミスティカ (ROSA MYSTICA) とはロレトの連祷にある聖母マリアの称号の一つで、ラテン語で神秘の薔薇、奇(くす)しき薔薇という意味です。5世紀のラテン詩人セドゥーリウスが「カルメン・パスカーレ」("CARMEN PASCHALE" ) で歌ったように、棘のある繁みから生え出でつつも傷つくことなく美しい薔薇の花は、人祖の妻エヴァと同じく女性でありながらも、エヴァの罪に傷つくことがない無原罪の御宿り、すなわちマリアの象徴です。

 この「ロサ・ミスティカの聖母」は、フランスが生んだ最も優れたメダイ彫刻家のひとりであるジャン=バティスト・エミール・ドロプシ (Jean-Baptiste Émile Dropsy, 1848 - 1923) の代表作です。ヴェールを被った若きマリアは祈りのうちに神と対話し、救い主を生む恩寵の器として選ばれた自らの役割について思いに耽っています。





 もう一方の面には雲の上、天上にあって幼子イエズスを抱くリヨンの聖母を浮き彫りにしています。聖母子はともに戴冠し、首には十字架を掛けています。聖母の首には神とイエズスへの愛に燃える聖母マリアの汚れ無き聖心が掛けられ、聖母に倣うようにと見る者に呼びかけています。

 聖母子の前にはリヨンを象徴するライオン、背景にふたつの建物が表されています。ふたつの建物はいずれも「ノートル=ダム・ド・フルヴィエール」(Basilique de Notre-Dame de Fourvière) のバシリカで、向かって左が西側ファサード、向かって右が東側からの眺めです。

 この「リヨンの聖母」は彫刻家レモン・チュダン (Raymond Tschudin) の手による有名な作品です。ジャン=バティスト・エミール・ドロプシの息子であり、父と同じく優れたメダイ彫刻家であったアンリ・ドロプシ (Henri Dropsy, 1885 - 1969) は、1930年以来長年に亙り、パリの高等美術学校でメダイ彫刻科の教授を務めましたが、1916年に生まれたレモン・チュダンは、アンリ・ドロプシに師事して豊かな才能を開花させ、1945年のローマ賞を受賞しました。宗教をはじめとする様々なテーマの優れた作品を数多く生み出した彫刻家として知られています。





 上の写真は実物の面積を約40倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。長方形の画面サイズは縦 17ミリメートル、横 13ミリメートルで、聖母子の頭部は直径約 1ミリメートルに過ぎませんが、浮き彫りは恐ろしく精緻であり、細部に亙って実物どおりに再現されていることがわかります。


 本品の制作時期は第二次世界大戦の終結から間もない頃です。数々のマリア像のなかでも、高名な彫刻家の手によるとりわけ美しい作品を組み合わせたこのメダイからは、大戦の傷も未だ癒えずに苦しむフランスの人々が、まるで母に甘える幼子のように、優しい聖母を慕い頼る気持ちが伝わってきます。

 本品は半世紀以上も前のものですが、いずれの面にも枠があるゆえに、表面の磨耗はごく軽微です。歳月の経過によtって浮き彫りが獲得したわずかな丸みが、真正のヴィンテージ品ならではの趣(おもむき)をメダイに与えています。





本体価格 9,500円 販売終了 SOLD

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