ファティマのロザリオの聖母 イエスの聖心 我等を救いへと導き給う神の愛のメダイ 最初期の作例 直径 16.6 mm


突出部分を除く直径 16.6 mm

フランス  1930年代



 「ファティマの聖母」の出現は 1917年に起こりましたが、カトリック教会がその崇敬を承認したのは 1930年代に入ってからのことでした。本品は 1930年代初頭から中頃までの間にフランスで制作されたもので、「ファティマの聖母」のメダイとしては最初期に属します。たいへん美しい浮き彫り彫刻は、フランスで制作された作品ならではです。





 メダイの表(おもて)面にはファティマの聖母の出現を浮き彫りにしています。聖母は首を左に傾げ、ロザリオを持った手を胸の前に合わせています。聖母の足元には羊を飼う三人の子どもたちが跪き、手を合わせて聖母を見上げています。この群像を取り巻くように、ポルトガル語で「ファティマのロザリオの聖母 1917年」(葡 Nossa Senhora do Rosário da Fátima 1917)と記されています。




(上) ジョルジュ・デュプレ作大型メダイユ 「めでたし、十字架よ。唯一の望みよ」 直径 73.2 mm フランス 19世紀末から20世紀初頭 天と地を繋ぐ聖母像の例。当店の商品です。


 聖母は灌木の上に出現しています。本品の聖母像は足下の灌木を含めてメダイの天地いっぱいに表され、頭部は「ファティマのロザリオの聖母」の文字列に割り込むように、画面上部に突出しています。

 聖母が柱状の物の上に出現したと伝えられたり、聖母像が柱上に安置されたりする例は、ファティマの聖母だけではありません。サラゴサのヌエストラ=セニョラ・デル・ピラル(Nuestra-Señora del Pilar 柱の聖母)はエブロ川の岸辺においてジャスパーの柱上に出現しました。シャルトル司教座聖堂ノートル=ダム・デュ・ピリエ(Notre-Dame du Pilier 柱の聖母)は周歩廊北東側礼拝堂の石柱上に安置されています。聖母が木や柱の上に出現し給うとき、木や柱は「アクシス・ムンディー」(羅 AXIS MUNDI 世界軸)であると考えられます。世界軸上にまします聖母は、救い主を産み給うた後も天と地を繋ぐ特別な存在であり続け、神の愛を地上に伝える「恩寵の器」として働いておられるのです。





 メダイの左側に数頭の羊が彫られているのは、子供たちが羊飼いであった史実を表すとともに、象徴的意味を有する描写でもあります。

 我々が自分の考えを伝えたいとき、社会的地位ができるだけ高い人、影響力のある立場の人に話をするのが効果的だと考えます。しかしながら神がなさることは正反対です。神がその意思を世界中に伝えたいと望み給うとき、高位聖職者や政治的指導者ではなく、名も無き平民の子供たちを選び、キリストや聖母の出現が起こります。大人の心は頑(かたく)なで、神に聴き従うことができませんし、おそらく神の声が耳に届くことさえないと思われます。これに対して子供たちには神の声が良く聞こえます。子供たちの純粋な心は、我執(がしゅう)も計算も無く、素直に神に聴き従います。それゆえ神は大人にではなく、常に子供に語りかけ給います。

 子供たちが飼うは、キリスト者の象徴です。神は名も無き子供たちを、世界を導く霊的な羊飼いとして選び、聖母を遣わし給いました。本品の浮き彫りにはわれわれ自身の姿も彫られています。俗人も聖職者も、われわれ大人はみな左側に浮き彫りにされた羊であり、羊飼いの子供たちに導かれるべき存在です。

 「ファティマの聖母」を表すメダイや図像には、聖母の単独像や、聖母と子供たちのみを表したものなど、さまざまな意匠があります。本品の彫刻は聖母と子供たちだけでなく、羊たちの姿を克明に表現しているのが特徴です。羊たちはわれわれ自身であり、本品の意匠には、「聖母の出現を受けた子供たちの証言に耳を傾けなさい」という、われわれに向けたメッセージが籠められているのです。





 フランスで制作されたものである本品は、他の国で制作されたほとんどのメダイに比べて、やはり格段に優れた出来栄えです。上の写真に写っている定規のひと目盛は一ミリメートルです。聖母と子供たち、羊たちの顔はいずれも一ミリメートルほどのサイズですが、目鼻口が判別できるだけでなく、顔の角度や視線の向きまでもはっきりと分かります。子供たちはこちらに背を向けているので細かい表情がわかりませんが、身体のプロポーションの正確さは大型彫刻にもまったく劣らず、その姿勢には聖母を敬う敬虔な信仰が具象化されています。脇役である羊たちや背景の木々、下草のいずれもおろそかにされず、聖母出現の光景をいま眼前に見るかのような錯覚さえも覚えさせます。本品の浮き彫りはフランスのメダイユならではの出来栄えで、美術品としても信心具としても類(たぐい)なく優れた作品に仕上がっています。





 もう一方の面には聖心を示すキリスト像が浮き彫りにされています。上部に十字架を突き立てられ、茨に取り巻かれた聖心は、あまりにも強い愛ゆえに炎を噴き上げ、まばゆい光を放って燃えています。





 上の写真に写っている定規のひと目盛は一ミリメートルです。この面はキリストの上半身のみを大きく表しているゆえに、浮き彫りの細かさも表(おもて)面ほどではありませんが、それでも顔や手、聖心などの各部は二、三ミリメートルのサイズで彫られています。キリストの右下(向かって左下)に「フランス」(FRANCE)の文字があります。





 本品はおよそ八十年前に制作された真正のアンティーク品ですが、保存状態は極めて良好です。突出部分の磨滅はごく軽度で、細部まで良く残っています。商品写真は実物の面積を数十倍から百倍以上に拡大しており、軽度の磨滅が判別できますが、肉眼で見る実物はたいへん綺麗です。特筆すべき問題は何もありません。





本体価格 15,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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