クラシカルな名品 オリーヴを髪に飾った甲冑姿のジャンヌ フルール・ド・リスとロレーヌ十字 フランスを守る大天使ミカエル ベル・エポック期の愛国者のメダイ 直径 33.2 mm


突出部分を除く直径 33.2 mm

フランス  19世紀末から20世紀初頭



 一方の面にジャンヌ・ダルク (Jeanne d'Arc, c. 1412 - 1431) を、もう一方の面に大天使ミカエルを、それぞれ浮き彫りにした直径 33.2ミリメートルの大型メダイ。ジャンヌ・ダルクと大天使ミカエルは、いずれもフランスの守護聖人 (patronne secondaire) です。とりわけジャンヌはフランスにおいて最も人気がある聖人のひとりであり、数多くのメダイが制作されていますが、本品は優れた芸術性によって類品を圧倒し、本格的芸術作品の水準に到達しています。





 本品に浮き彫りにされた少女ジャンヌは、兜を脱ぎ、美しく整った横顔を見せています。口を結び、まっすぐに前を見つめる表情には、ただ神の声のみに耳を澄ませてその命に従おうとする強い意志が表れています。


 本品のジャンヌは、長く美しい髪にオリーヴを飾っています。オリーヴが平和を象徴することはよく知られています。一方、本品のジャンヌは総重量20キログラムに及ぶ 15世紀の甲冑を身に着けています。武器と共に表されるオリーヴは、武力に裏付けられた平和、あるいは平時にあっても警戒を怠らない心を表します。

 ジャンヌは1909年4月18日、教皇ピウス10世により、パリ司教座聖堂ノートル=ダム(ノートル=ダム・ド・パリ)で列福され、11年後の1920年5月30日、教皇ベネディクトゥス15世により、ヴァティカンのサン=ピエトロ聖堂で列聖されました。本品のジャンヌには後光が表されていないこと、メダイユ上部に取り付けた環の様式、つる草か流水文のような曲線を描いてジャンヌの体の前方にも回った髪の表現様式から判断すると、本品の制作年代はおそらく19世紀末から20世紀初頭に至るベル・エポック期、遅くとも第一次世界大戦の開戦よりも前であることがわかります。

 ベル・エポック期はフランスが普仏戦争とコミューンの痛手から立ち直り、繁栄を享受した時代ですが、隣国ドイツとの関係は常に緊張をはらんでいました。髪にオリーヴを飾りながらも甲冑を脱がないジャンヌの姿、背景を隙間なく埋めて祖国への強い愛を示すロレーヌ十字フルール・ド・リスは、本品が制作された時代の精神状況を如実に反映しています。





 なおジャンヌがフランスの守護聖人 (une patronne secondaire) とされたのは 1922年のことです。、本品が制作された時点では、ジャンヌは未だ列聖されておらず、フランスの守護聖人ではありませんでした。しかしながら普仏戦争の敗戦でアルザスとロレーヌを失ったフランスにとって、ジャンヌが信仰によってフランスを守ったヒロインであることに変わりはありませんでした。





 メダイの裏面には、ルーヴル美術館に収蔵されているラファエロの名作「サタンを倒す大天使聖ミカエル」が、巧みな浮き彫りで再現されています。浮き彫りを取り囲むように、ラテン語で「大天使聖ミカエル」(SAnctus Michael Archangelus) の文字が刻まれています。本品は直径 33.2ミリメートルという大きなサイズですので、サタンにとどめを刺すミカエルの姿にもたいへん迫力があります。





 本品はおよそ百年前にフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、たいへん良好な保存状態です。とりわけジャンヌの浮き彫りは素晴らしく、あたかも生身の聖女を眼前に見るかのような錯覚にさえ陥ります。





本体価格 19,500円 販売終了 SOLD

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