子供向け小聖画 「七つの罪源」 日本風の多色刷り石版 (デクレ・ド・ブルウェール H. 124)

"les sept péchés capitaux", Desclée de Brouwer, Bruges, numéro H. 124


余白を含む聖画全体のサイズ 80 x 110 mm

商品写真に写っている額のサイズ  164 x 207 mm  奥行 33 mm


ベルギー   1920 - 30年代



 分かり易い絵を使い、信仰生活の要点を子供に教える小聖画。1920年代または 30年代にベルギーのブリュージュで制作された作品で、上品な華やかさと優しさを兼ね備えた色調の石版画が、質の良い中性紙に刷られています。余白を含めた小聖画全体のサイズは、横 80ミリメートル、縦 110ミリメートルで、裏面は白紙です。商品価格には額装が含まれます。





 ローズ(ピンク)の枠に囲まれた聖画には、七人の悪魔に取り囲まれている五歳ぐらいの子供が描かれています。子供は悪魔の姿を見たり声を聞いたりするのが怖いので、目と耳を被っています。

 この子は青い服を着ているので男の子のようにも見えますが、悪魔たちの格好や持ち物から判断すると、おそらく女の子でしょう。二十世紀初頭までの女の子は必ずスカートをはきましたが、1920年代頃からは女の子の普段着にキュロット(ズボン)が取り入れられました。襟と袖に幅の狭いレース飾りを付けるのも、1920年代から 30年代の女の子用子供服に多く見られたデザインです。

 現代では「青は男の子の色、ローズ(ピンク)は女の子の色」とされています。しかしながら 1930年代頃までは、青とローズが現代と同様に使い分けられる場合もありましたが、現代とは逆に「青は女の子の色、ローズ(ピンク)は男の子の色」と考える人も多くいました。「青は男の子の色、ローズ(ピンク)は女の子の色」という考え方が決定的に優勢になったのは二十世紀後半のことであって、二十世紀前半までは逆の考え方も有力だったのです。1930年代まで、男の子がローズを、女の子がブルーを着用するのは、まったく普通のことでした。本品の制作年代は 1930年代前半頃ですから、聖画に描かれた女の子が青い服を着ていても、何ら不思議はありません。





 子供を取り囲む七人の悪魔は幼い女の子のような姿で表されており、大人から見ると可愛らしくて微笑みを誘います。しかし可愛らしい「悪魔の女の子」たちも、幼い子供の目から見れば、それなりに邪悪に見えるはずです。子供向けの小聖画に描かれる悪魔が童形で表されるのは、幼い子供を不必要に怯えさせないためです。子供が怯えるような絵では二度と見てもらえず、信仰生活に役立ててほしいという教会の願いも無に帰します。子供向けの小聖画は、幼児が喜んで眺めるような、楽しく、分かりやすく、美しい絵でなければなりません。

 七人の悪魔は「七つの罪源」を象(かたど)っています。「七つの罪源」とは中世以来「死に至る罪の源」とされた七つの欲望、あるいは人間にありがちな弱点のことで、フランス語では「レ・セット・ペシェ・カピト」(les sept péchés capitaux 「死に至る七罪」の意)といいます。「レ・セット・ペシェ・カピト」のうち「高慢」は男性名詞、残りは女性名詞ですが、本品では真ん中の子供の性別に合わせたのか、七人の悪魔がすべて女の子の姿で表されています。




(上) カニヴェ 「聖ジュヌヴィエーヴよ、われらのために祈りたまえ」 (ヴーヴ・D・ソディノ 図版番号 1053) 110 x 70 ミリメートル フランス 1880年代 聖女は糸巻き棒と錘(つむ)を持っています。当店の商品


 女の子の向かって左手前、行列の先頭でこちらを向いている悪魔は、「高慢」(仏 l'orgueuil)です。「虚栄」と言っても構いません。この悪魔は着飾った自分の姿を鏡に映して喜んでいます。その後ろにいるのが「貪欲」(l'avarice)です。「貪欲」は財産を人のために使わず、貯め込んでいます。女の子の後ろにいる二人の悪魔は「嫉妬」(l'envie)と「性欲」(la luxure)です。「嫉妬」を象徴物で分かり易く表すのは困難ですし、子供には「性欲」を説明したところで分からないでしょう。そのようなわけで「嫉妬」と「性欲」の悪魔は控えめに描かれています。これに続いてお菓子をぺろぺろと舐めているのはグルマンディーズ、「食欲」(la gourmandise)です。次の「怒り」(la colère)は不機嫌な表情で、人を突(つつ)く棒を持っています。殿(しんがり 最後尾)にいるのは「怠惰」(la paresse)で、糸巻き棒を引きずっています。糸紡ぎは家庭の女性たちが昔から行ってきた仕事の代表で、聖母マリアをはじめとする聖女たちの図像にもよく描かれます。しかしながら悪魔の女の子は働く気が無く、糸巻き棒を引きずっています。着ている服もぼろぼろで、だらしない様子です。





 女の子はたくさんの悪魔に取り囲まれて泣いているようです。しかしこの女の子が悪魔のものになる心配はないでしょう。悪魔たちの赤い角と赤い服は、彼らがあくまでも地上の存在であることを表します。なぜならば赤は地上界を象徴する色だからです。これに対して女の子は、聖母マリアの衣と同じ白と青を身に着けています。白は汚れの無さを表します。また赤が地上界を表すのに対し、空の色である青は天上界を表します。青は悪魔に騙されない智慧の象徴でもあります。この女の子は地上に日々を暮らしつつも、悪魔が手出しできない別の世界に生きていることを、この聖画は象徴的色彩によって表しているのです。




(上) 「ポム・ダピ 小さな赤いリンゴの精」 112 x 73 ミリメートル フランス 1880年代 背景が金色でベタ塗りされたアール・ヌーヴォー期の石版画。当店の商品


 この聖画に用いられている色彩に関して、さらにいくつかの指摘をするならば、女の子が立っている床の緑は永遠の生命を象徴します。壁の金色は天国の栄光の象徴であり、青と同様に「天上界」を表します。

 この聖画は主題に直接的な関連を有する人物像のみを描き、背景を金と緑で塗り潰しています。これは十九世紀末から二十世紀初頭のヨーロッパを席捲したアール・ヌーヴォーの名残です。十九世紀半ば以前のヨーロッパ絵画では、背景が必ず描かれていました。背景をベタ塗りする描法がヨーロッパに広まったのは、日本美術の影響です。





 色刷りされた聖画の下端には、茶色のインクを使用して、本品の発行元デクレ・ド・ブルウェールの名前と、図版番号(numéro H. 124)を示す小さな文字が刷られています。

  Copyright by Desclée, De Brouwer & Co, Bruges (Belgium) H. 124  版権所有 ブリュージュ(ベルギー)、デクレ・ド・ブルウェール社 H. 124

 ベルギーの企業家アンリ・デクレ(Henri Desclée, 1830 - 1917)と、なめし革工場の経営者アルフォンス・ド・ブルウェール(Alphonse de Brouwer, 1850-1937)は、1877年、「レ・エディシオン・デクレ・ド・ブルウェール」(les Éditions Desclée de Brouwer)という出版社をブリュージュに設立しました。本品の版元である版画・印刷工房「デクレ・ド・ブルウェール」(Desclée, de Brouwer et Cie)は、「レ・エディシオン・デクレ・ド・ブルウェール」の系列会社で、カトリックの聖画を専門に制作しています。「レ・エディシオン・デクレ・ド・ブルウェール」は 1930年代に本社をパリに移し、カトリックの出版社として現在も存続しています。





 本品は戦間期のフランスで制作された真正のアンティーク品です。およそ八十年から九十年前の古い聖画ですが、保存状態は極めて良好です。破れ目や折り目、目立つ汚れなど、特筆すべき問題は何もありません。良質の中性紙に刷られているため、酸性紙のような劣化は今後も起こりません。

 下記の商品価格には、聖画、額、マット、ベルベット、工賃、税をすべて含みます。写真に写っている額は注文制作による一点物で、絵画用額縁制作に使う高級な木製棹(さお フレームの素材)を使用し、日本国内の職人が手作りしたものです。この額のサイズは 164 x 207ミリメートルです。壁掛け用金具と紐が付属していますが、縁の周囲が平坦で、33ミリメートルの奥行きがあるので、自立させても安定しています。マットに張ったベルベットのワイン・レッドはミサによって聖変化するキリストの御血の色であり、愛を象徴します。他の色やデザインの額をご希望の場合、またはご注文をいただいた時点で写真の額が在庫していない場合、お好みに合う同等クラスの他の額をご用意いたします。マットの色は追加料金無しで変更できます。なお商品写真は反射を防ぐためにガラスまたはアクリル(プレクシグラス)を取り外して撮影しています。





15,800円 (聖画、額込み)

電話 (078-855-2502) またはメールにてご注文くださいませ。




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