鹿を描いたアンティーク小聖画
images pieuses des cerfs, biches et faons
先史時代以来、
鹿
は人間の身近にいる動物種のひとつであり、アジアとヨーロッパのみならず、北アフリカやアメリカにおいても多様な象徴的意味を担います。立派な角の牡鹿(おじか)は威厳があり、また角が毎年生え変わります。また鹿は発情期の繁殖行動が激しい動物です。これらの特徴ゆえに、鹿は多くの神話において再生と豊穣を象徴します。牡鹿の枝角はナチュールが有する「生み出す力」の象徴であり、ときに
生命樹
及び
クルシフィクス
と同一視されます。
鹿は繁殖期に相手を求めて非常に大きな声で啼きます。このため、鹿は救われるべき罪びとの魂を探すキリストの象徴とされ、また「花婿」たるキリストを求める魂の象徴とも考えられました。鹿はまた、疲れを知らずに駆け回る性質によっても、「キリスト」あるいは「キリストを求める魂」の象徴と考えられました。
タイティア作 「鹿が活ける水を求めるように、わが魂は神を求めて叫びます」(ブアス=ルベル 図版番号 B.C.5) 詩篇に基づく二色刷り石版画 1961年
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