クルシフィクス(キリスト磔刑像)の三様式
les trois types de crucifix


 磔刑像はキリストの表現様式にしたがって三つに分けられます。第一はクリストゥス・トリウンファーンス(羅 CHRISTUS TRIUMPHANS 勝利するキリスト)です。この様式の磔刑像では、キリストは頭を直立させてまっすぐに前を向いています。キリストの表情には肉体的苦痛は表現されません。下に示すのはアッシジの聖キアラ聖堂にあるサン・ダミアノ十字(伊 il Crocifisso di San Damiano)で、クリストゥス・トリウンファーンスの例です。





 第二の様式はクリストゥス・ドレーンス(羅 CHRISTUS DOLENS 苦しむキリスト)です。この様式において、キリストは頭部を肩の上に傾け、苦痛に身をよじっています。キリストの顔には苦悶の表情が表れています。下に示すのは十三世紀の逸名画家(Maestro di San Francesco 聖フランチェスコの画家)による 1260年頃の作品で、クリストゥス・ドレーンスの例です。この作品はルーヴル美術館に収蔵されています。





 第三の様式はクリストゥス・パティエーンス(羅 CHRISTUS PATIENS (死に)屈するキリスト)です。この様式において、キリストは体全体が弛緩し、頭部も力無く垂れています。キリストの顔には死相が表れています。下に示すのは十三世紀前半の逸名画家(Maestro bizantino del Crocifisso di Pisa ピザの磔刑像のビザンティン画家)による十三世紀初頭の作品で、クリストゥス・パティエーンスの例です。この作品はピザのサン・マッテオ美術館に収蔵されています。





 十九世紀から二十世紀にかけてフランスで制作されたクルシフィクスのコルプスは、ほとんどの場合、上記の第二の様式すなわちクリストゥス・ドレーンスで表されています。


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