フランスの罪ゆえに受難し給うキリスト アカンサスをフルール・ド・リスに重ねた銀無垢クルシフィクス 45.5 x 28.3 mm


突出部分を含むサイズ 縦 45.5 x 横 28.3 mm

フランス  19世紀中頃から後半



 信心具の素材としては最も高級な800シルバーを使用して、19世紀のフランスで制作されたアンティーク銀無垢クルシフィクス。800シルバーを示す「イノシシの頭」のポワンソン(仏 poinçons 貴金属の検印、ホールマーク)、及び銀製品工房のマークが、上部の環に刻印されています。





 コルプスは打ち出し細工で、手足の三箇所で十字架に溶接されています。十字架は装飾的な様式で、交差部に位置するキリストの後光からは、人知を絶する神の愛が激しい光となって発出しています。十字架の各末端はアカンサス(唐草)文になっていますが、アカンサスの形状はフルール・ド・リスに類似しています。十字架は幅広ですが、透かし細工となっているゆえに軽やかな印象を与えます。





 アカンサスは優雅な印象を与える装飾意匠で、古典古代以来柱頭などの装飾に用いられてきました。しかるにその一方で、アカンサスをはじめ棘のある植物は、キリスト教の象徴体系において「罪」を表します。十字架はアルマ・クリスティの最たるものですから、十字架を一体化したアカンサスは、単に審美的に優れた装飾意匠という以上の意味を有します。本品においてはアダムとエヴァの罪がキリストの十字架となっています。キリストの受難が人間の罪ゆえであることを、本品は「象徴」の言葉によって説いています。





 十字架末端のアカンサスはフルール・ド・リスを模(かたど)ります。フルール・ド・リス(fleur de lys 百合の花)は多様な象徴的意味を有しますが、本品においては「神に選ばれたフランス」と「すべてを神にゆだねる信仰」を重層的に表しています。

 ヨーロッパで紋章が使われるようになったのは12世紀のことで、フランスではカペー朝の時代に当たりますが、フランス国王の紋章はこの時代からずっと変わらずフルール・ド・リスをあしらってきました。フランス国王の紋章に描かれるフルール・ド・リスは、「カトリック国の長姉」たるフランスに対する神の特別な加護を表していました。受胎告知画においてマリアは百合と共に描かれ、あるいはガブリエルから百合を受け取りますが、これはマリアが神に選ばれた特別な女性であることを示します。それと同様に、国王の紋章にあるフルール・ド・リスは、フランスが神に選ばれた特別な国であることを示すと考えられたのです。

 また百合は「すべてを神にゆだねる信仰」「神の摂理への信頼をも象徴的に表しますが、これは「マタイによる福音書」 6章 25節から 34節、及び「ルカによる福音書」 12章 22節から 34節によります。





 本品が制作された19世紀中頃から後半はフランスにとって困難な時代でした。当時の困難な状況は「ガリア・ペニテーンス」(GALLIA PŒNITENS 悔悛のガリア)の信仰復興運動として結実しましたが、これは本来「カトリック国の長姉」であるフランスが、神の愛と摂理によって、信仰と神の祝福を取り戻すための運動でした。

 本品も「ガリア・ペニテーンス」の流れに位置づけられる品物であり、フルール・ド・リスのようなアカンサスが付いた十字架は、放蕩娘フランスが神に背いて重ねてきた罪を表します。しかしながら本品の意匠には暗さが無く、却って非常に美しく仕上がっています。これはフルール・ド・リスが象徴する「すべてを神にゆだねる信仰」、「神の摂理への信頼」のせいでしょう。





 本品は百数十年前のフランスで制作された真正のアンティーク品であり、美しいパティナ(古色)を獲得しています。古い年代に関わらず良好な保存状態です。特筆すべき問題はありません。





22,800円 販売終了 SOLD

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