厚い真珠層の一点もの 《アマビエのペンダント 23 x 18 mm》 偶然が産み出した無核バロック・パール 900プラチナの環


環を含む重量 5.0 g

真珠のサイズ 縦 23.0 x 横 18.0 mm  最大の厚さ 9.6 mm



 美しい照り(光沢)の無核淡水真珠に、900プラチナの環を取り付けたペンダント。真珠は中国産、環は国産です。





 真珠母貝には海産のものと淡水産のものがあります。海産の真珠は母貝の種類で区別して、あこや真珠、白蝶真珠、黒蝶真珠、マベ真珠等と呼ばれます。淡水産の真珠貝にも数種がありますが、それらが作る真珠はたいていの場合、母貝の種類を区別せずに、淡水真珠と総称されています。

 かつての真珠養殖はあこや真珠、淡水真珠とも日本でのみ行われていましたが、およそ三十年前からはいずれも海外で養殖が始まりました。特に淡水真珠養殖はかつて日本の独擅場でしたが、現在の日本ではほぼ行われなくなり、舞台は中国に移っています。中国産淡水真珠の品質は目覚ましく向上し、海産真珠を凌ぐ美しさの珠が産み出されています。





 あこや真珠をはじめ、海産二枚貝の養殖真珠には球形の核が入っています。しかるに淡水産の養殖真珠は核を入れない場合が多くあります。養殖真珠貝から得られる無核の真珠を芥子(けし)真珠といいます。本品は縦二十三ミリメートル、横十八ミリメートルとたいへん大きなサイズですが、核が入っていない芥子真珠です。

 より詳しく正確に言えば、サイズから判断して、本品はおそらくセカンド・オペレーションによって得られた真珠です。養殖真珠の核は淡水二枚貝の殻を加工したものであり、セカンド・オペレーションの際にもこの種の核が挿入されます。しかるに本品は淡水二枚貝の殻でできた核を挿入する代わりに芥子真珠を挿入し、通常の核に代用しています。それゆえ本品はわめて大きなサイズにかかわらず、内部全体が真珠層でできており、ユニークな形状の芥子真珠となっています。





 淡水産養殖真珠の特徴は、海産養殖真珠に比べて養殖期間が長いゆえに真珠層が厚く、優れた照り(艶)を有することです。海産養殖真珠の養殖期間は短く、あこや真珠はおよそ七か月、長いものでも一年半で浜揚げされます。それゆえ海産養殖真珠は体積の九割が核で、あこや真珠の場合、真珠層の厚みは一ミリメートルもありません。

 一方、淡水真珠はあこや真珠よりもはるかに長い時間をかけて養殖され、真珠層は格段に厚くなります。本品の場合、おそらくファースト・オペレーションの養殖に四年前後を費やし、セカンド・オペレーションの養殖には、さらに三、四年をこれに加えています。その結果、本品は厚さ 9.6ミリメートルに及ぶ真珠層の塊となっています。

 淡水二枚貝の核には真珠光沢がありません。しかるに本品において核に代用された芥子真珠は、真珠層のみでできています。また淡水真珠は海産真珠よりも長期に亙って養殖され、これはセカンド・オペレーションでも変わりません。それゆえセカンド・オペレーションによる黒蝶真珠や白蝶真珠にありがちな、真珠層が薄いという問題は、本品には起こっていません。本品はきわめて厚い真珠層と、優れて美しい照り(真珠光沢)を誇ります。





 天然真珠の時代から、バロック・パールは様々なものに見立てて愛玩されました。本品は無核真珠であって、その形状はまったく偶然にできたものですが、全体の形も表面の起伏もアマビエにそっくりです。中国では早くも十二世紀にカラスガイの養殖が行われ、仏像を模る鉛の核を用いて有核真珠が作られていました。しかしながら本品は仏像真珠のような人為的な技術を使わずに自然に委ねた結果、まったく偶然にアマビエの形になりました。

 真珠はこれまでのどの時代、世界のどの民族においても、生命力と豊穣性の象徴とされてきました。生命力そのものの顕われである真珠は、癒しを与える活きた珠でもありました。我が国では古来伊勢湾で天然真珠の採集が行われていましたが、近世には伊勢珠と呼ばれ、宝飾品ではなく薬として用いられました。水中から現れて癒しを与え、人々の健康を守護するとされた真珠は、アマビエのイメージによく合っています。





 養殖真珠が未だ登場せず、天然真珠しかなかった時代の真珠は、すべてバロック・パールでした。したがって天然真珠の時代に、バロック・パールを球形の真珠に劣るものとする考えはありませんでした。最もよく知られたバロック天然真珠は、メキシコ湾から見つかってフェリペ二世に献上され、その後も様々な君主に受け継がれて、やがてペレグリナ(西 la Peregrina さすらい女、巡礼女)と呼ばれるようになった真珠でしょう。ラ・ペレグリナは 2011年 12月にサザビーズで競売にかけられ、およそ九億二千三百万円で落札されました。本品のようなサイズのバロック・パールが普通の人の手に入るようになったのは真珠養殖のおかげですが、同じ物が存在しない一点ものの魅力は、天然真珠の時代から変わっていません。





 金具はプラチナ製(900 Pt)を使いました。プラチナの純度は撥環(ばちかん)に刻印されています。









 本品は縦 23.0ミリメートル、横 18.0ミリメートル、最大の厚さ 9.6ミリメートルと大きなサイズですが、真珠は他の宝石よりも比重が小さいので、ペンダントの重量は百円硬貨とほぼ同じ五グラムに収まっています。真珠光沢は撮影が難しく、写真では再現できません。内部まですべて真珠層でできた本品の光沢は、写真で見るよりもずっと美しく、お買い上げいただいた方には必ずご満足いただけます。





ペンダント・トップの本体価格 42,000円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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