19世紀末から 1930年代の初めにかけて数々の美しい作品を残したイタリアの彫刻家、O. リュフォニー (O. Ruffony) の手によるメダイ。肉厚の浮き彫りで、メダイの両面にふたりの聖女を表現した佳作です。
一方の面には、整った顔立ちの若きマリアが、十四、五歳の少女として表されています。胸の前に両手を合わせ、天を仰いで祈るマリアは、天使ガブリエルに受胎を告知され、「わたしは主のはしためです。み心のままになりますように」と答えた少女の姿でしょう。
マリアの周囲にはラテン語で「けがれ無きおとめ」(VIRGO IMMACULATA) と記されています。これは「無原罪の御宿り」(IMMACULATA CONCEPTIO) を表す言葉です。
メダイのもう片方の面には、ルルドの聖母の出現を受けた当時 14歳の少女であった聖ベルナデット(ベルナデット・スビルー)が刻まれています。メダイユ彫刻家 O. リュフォニーは、ベルナデットを「ルルドの聖母」と同等の比重で作品化しているゆえに、本品はベルナデットの列聖記念メダイであると思われます。この作品において、聖人の列に加えられた少女ベルナデットは、聖母の微笑みを反映するかにような微笑を湛えています。メダイ上部の環に「フランス」(FRANCE)
の刻印があります。
メダイは硫化による変色が表面のところどころに認められる程度で、摩耗は全くと言って良いほど見られず、非常に良好な保存状態です。表面に見られる銀の硫化は、真正のアンティーク品ならではの味わいとしてお楽しみください。