ノートル=ダム・ド・ルルドと聖母のバシリカ ブロンズを打刻したメダイ 22.0 x 15.5 mm


突出部分を含むサイズ 縦 22.0 x 横 15.5 mm

フランス 1870年代後半から1880年代頃



 十九世紀フランスのメダイはブロンズを打刻して作られるのが普通でした。このメダイもそのようなもののひとつで、数あるルルドの聖母のメダイでも比較的初期の作例です。





 片方の面には、ルルドの聖母の立ち姿を向かって右側に、跪くベルナデットを左下に、それぞれ浅浮き彫りで表しています。ベルナデットはロザリオを持ち、両手を胸の前に合わせています。顔を挙げた聖母も、両手を胸の前に合わせています。

 ベルナデットの証言によると、岩場に出現した聖母は気高い少女の姿で、当時十五歳であったベルナデット自身と同じくらいの年齢に見えました。しかしながらルルドの御出現を描いた図像において、聖母は優れた信仰に裏打ちされた内面の成熟を反映し、成人女性の姿で表されるのが通例となっています。本品の聖母も、その信仰の卓越性ゆえに、ベルナデットよりも大きな姿で表されています。




(上) ジャン=バティスト・エミール・ドロプシ作 「ロサ・ミスティカの聖母」 直径 18.5 mm 1909年 当店の商品です。


 聖母の足下には茨が刻まれています。聖母は裸足ですが、傷つくことなく茨の繁みに立っています。キリスト教の象徴体系において、は「罪の呪い」、すなわち罪ゆえにもたらされる悲惨な状態を表します。聖母は原罪を受け継がず、罪を持たないゆえに、「罪の呪い」に傷つくことがありません。「薔薇」は聖母を象徴する花ですが、聖母は罪を持たないゆえに、「ロサ・ミスティカ」(羅 ROSA MYSTICA 奇しき薔薇)、すなわち棘の無い薔薇としてしばしば図像に表されます。聖母が茨の繁みに裸足で立つ本品の浮き彫りも、無原罪の「ロサ・ミスティカ」を表す図像のひとつです。


 浮き彫りを取り囲むように、「我は無原罪の御宿りなり」(Je suis l'Immaculée Conception.) という聖母の言葉が標準フランス語で記されています。メダイの下部には聖母出現の年号である "1858" が打刻されています。

 無原罪の御宿り (IMMACULATA CONCEPTIO)は 13世紀のスコラ学者ドゥンス・スコトゥス (Ioannes Duns Scotus. 1266 - 1308) が大成し、ルルドの聖母出現の四年前にあたる 1854年に教皇ピウス九世が教義として宣言したカトリック神学の用語です。1858年3月25日、十六回目の出現の際、ベルナデットに名を問われた聖母は、微笑むのを止め、目を天に向け、下ろしていた両手を胸の前で組んで、「私は無原罪の御宿りです」と答えました。岩場に出現した少女がこのように名乗ったことを、ベルナデットはルルドの司祭に報告し、司祭は驚愕したのでした。





 もう一方の面にはルルドのバシリカが刻まれています。バシリカとは特に重要な聖堂に与えられる称号です。ルルドのバシリカは聖母が出現した岩場を覆うような形で 1876年に建てられたもので、聖母出現の岩場は建物の右下に見えています。浮き彫りを囲むように「バジリク・ド・ノートル=ダム・ド・ルルド」(仏 Basilique de Notre-Dame de Lourdes ルルドの聖母のバシリカ)と刻まれています。





 本品は十九世紀のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず良好な保存状態です。特筆すべき問題はありません。





本体価格 6,800円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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