アンリ・ドロプシ作 平和とヴィジランス 軍服姿でドイツに対峙するマリアンヌ レコ・ド・パリの青銅製メダイユ
メダイユの直径 49.8 mm 厚さ 最大 4.7 mm 重量 56.7 g
フランス 1910 - 20年代
新聞社「レコ・ド・パリ」(L'Echo de Paris パリのこだま)の依頼により、アンリ・ドロプシ (Henri Dropsy, 1885 - 1969) が1910 - 20年代頃に制作したブロンズ製メダイユ。ドロプシは第一次世界大戦に出征してドイツと戦ったのですが、激しい感情を投影することなく、本品を美しい芸術作品に仕上げています。
第一次世界大戦はドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の領土拡張政策によって惹き起され、1914年から1918年まで戦われました。ドイツ自身の国土は戦場になりませんでしたが、戦争を仕掛けられたフランスはこの未曽有の大戦争の戦場となり、国中に死傷者、戦争寡婦、戦災孤児があふれました。このため大戦終結後にフランス人が抱いた対独処罰感情には、きわめて峻厳なものがありました。
(下・参考画像) 全フランスの国民に戦災孤児院のための寄付を呼び掛ける「全仏孤児の日」(1916年)のポスター
メダイユにはフランス共和国の象徴である女性マリアンヌが浮き彫りにされています。マリアンヌは平和を表すオリーヴを頭に飾っていますが、軍服を着用し、フリジア帽の代わりにフランス軍のヘルメットM15
(le casque Adrian M 1915) を被り、東方すなわちドイツの方角を見据えています。アンリ・ドロプシが描く女性は皆美しく、このマリアンヌの表情も穏やかに見えますが、軍装とオリーヴの組み合わせは武力の裏付けによる平和、あるいは平和であっても警戒を怠らない心(ヴィジランス)を表しています。
ドイツはヴェルサイユ条約によって賠償の義務を負い、その後2690億金マルクの支払いを要求されましたが、この要求を拒否して賠償額の削減を試みました。フランスとベルギーはドイツへの要求を貫こうとして、1923年、非武装地帯であったノルトラインの工業地帯(ルール地方)に進駐し、1930年まで占領を続けました。オリーヴと軍装を同時に身に付けたマリアンヌの姿からは、第一次大戦期とそれに続く時代の緊迫した空気が伝わってきます。
メダイユの裏面には1888年から1944年まで発行されていた右派の日刊紙「レコ・ド・パリ」(L'Echo de Paris パリのこだま)の社名が記され、これを取り巻いて小麦の束が浮き彫りにされています。またブローチ用の針が取り付けられています。この針は鉄製で、錆びていますが使用は可能です。メダイユの縁には銅製であることを示す三角形のホールマーク、及びフランス語で「銅」(CUIVRE)
の刻印があります。
本品は真正のアンティーク品ならではの重厚なパティナ(古色)に被われており、特筆すべき瑕疵の無い良好なコンディションです。ブローチの針は錆びています。ご希望により、別料金にてメダイユを額装いたします。額装料金は使用する額によって異なります。
メダイユの価格 38,000円 (税込・額装別)
電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。
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