エミール・アドルフ・モニエ作 メダイユ・ド・マリアージュ 結婚のメダイユ 直径 20.2 mm フランス 1910 - 30年代
突出部分を除く直径 20.2 mm
フランス 1910 - 1930年代
丸彫り及びメダイユ彫刻の分野で活躍したフランスの芸術家エミール・アドルフ・モニエ(Émile Adolphe Monier, 1883 -
1970)の美しい小品。
フランスはメダイユ彫刻がもっとも発達した国です。フランスのメダイユには純然たる芸術品である大型の作品と、上部に環が突出していて身に着けることが可能な作品の二種類があります。後者のタイプは信心具としてのメダイユとして作られたものを多く目にしますが、誕生や洗礼、結婚の記念にも制作されます。
本品はメダイユ・ド・マリアージュ(仏 une médaille de mariage 結婚のメダイユ)です。
少なくとも十四世紀以前に遡(さかのぼ)ることができるフランスの習俗に、「トレザン・ド・マリアージュ」(仏 le treizain de mariage)があります。これは結婚の際、花婿が花嫁に贈る十三枚のジュトン(仏
jetons コイン状のもの)で、金あるいは銀でできていました。十三枚という数はイエス・キリストと十二使徒に由来します。十三枚のうち一枚ないし三枚が司祭に渡され、残りは花嫁のものとなりますが、後に大きな金銭的必要が生じた際には一部または全部が売られたので、花嫁が持つ十二枚が揃って残っていることは稀です。
「トレザン・ド・マリアージュ」は十九世紀の初め頃に「メダイユ・ド・マリアージュ」に置き換えられました。本品は将来の出費に備えるための貴金属製品ではありませんが、メダイユで結婚を記念するフランス的習慣の背景には、中世以来の伝統が流れています。
本品の表(おもて)面には、愛し合う二人を繊細な浮彫で表しています。二人は簡素な衣を着て寄り添っています。若者は花嫁の左手を取り、薬指に結婚指輪を嵌めています。花嫁は目を閉じ、額に優しい接吻を受けています。
左手薬指にはウェーナ・アモーリス(羅 VENA AMORIS 愛の血管)が通って、愛の座である心臓と直結しています。また指輪は魔法の輪であり、自らの内に愛を閉じ込める働きを有します。それゆえ異性の左手薬指に指輪を嵌めると、その人の愛を独占的に確保することになります。結婚指輪の交換は、互いの愛を閉じ込めるために、古い時代から現代まで続いている呪術的行為です。
花嫁の背後、メダイユの縁に近いところに、メダイユ彫刻家エミール・アドルフ・モニエのサイン(EMILE MONIER)があります。エミール・アドルフ・モニエのメダイユは現在でもモネ・ド・パリ(Monnaie de Paris フランス造幣局)によって制作、販売されています。1ユーロの為替レートを120円台前半とすると、1070,00ユーロは約十三万円に当たります。
裏面には薔薇と蔦が美しい浮彫で表されています。薔薇は愛の象徴です。蔦は物に絡まり付くゆえに愛の象徴であり、上へ上へと伸びるゆえに希望の象徴でもあります。
本品は百年近く前のフランスで鋳造された真正のアンティーク美術品です。古い年代ゆえに小さな疵(きず)はありますが、特筆すべき大きな瑕疵は何も無く、良好な保存状態です。モネ・ド・パリで作られる現代のメダイユはほとんどすべてが片面の作品ですが、本品をはじめとする古い時代のメダイユは裏面にも美しい浮彫があり、たいへん凝った作りです。
15,800円 販売終了 SOLD
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