ジャン=バティスト・エミール・ドロプシ作 「無原罪の御宿り」 ブロンズ製の自立式メダイユ


メダイユの直径 55.0 mm   厚さ 最大 6.2 mm   台座を合わせた高さ 61.5 mm

フランス  1880 - 1890年代 



 19世紀後半から20世紀前半のフランス・メダイユ彫刻を代表する彫刻家のひとり、ジャン=バティスト・エミール・ドロプシ (Jean-Baptiste Émile Dropsy, 1848 - 1923) による青銅(ブロンズ)製の自立式メダイユ。円形の画面いっぱいに聖母マリアの横顔を浮き彫りにした大胆な構図で、マリアは花嫁のヴェールを被り、白百合を前に微笑みを浮かべています。

 旧約聖書に収録された恋の歌「雅歌」には、ひとりの若者に愛される美しい乙女が歌われていますが、この乙女は神に愛された女性、マリアに擬せられます。この女性に関して、「雅歌」2章2節のテキストは次のように語っています。

  Sicut lilium inter spinas, sic amica mea inter filias. (Nova Vulgata)  おとめたちの中にいるわたしの恋人は 茨の中に咲きいでたゆりの花。 (新共同訳)

 それゆえ、百合の花は聖母マリアの象徴です。このメダイユにおいて、救世主を産むために選ばれたマリアは、白百合を前にして眼を閉じ、心静かに神に祈っています。本来であれば震え慄(おのの)くべき大任にもマリアの心が動じていないのは、すべてを神に任せた絶対的な信仰のためであり、まさにこの信仰ゆえに、マリアは恩寵の器となったのです。

 エミール・ドロプシによる本作は、1870 - 1890年代にフランスで制作されたもので、直径 55.0ミリメートルのブロンズ製メダイユに、同素材の台座を鑞(ろう)付けしています。メダイユの最も厚いところ(6.2ミリメートル)は、薄いところ(3.3ミリメートル)と比べておよそ3ミリメートル突出していますが、これは最大部分の厚さが最小部分のおよそ二倍ということであり、丸彫り像を思わせるような立体性、聖母が眼前におわすかのような迫真性を実現しています。

 エミール・ドロプシは本品以外にも聖母マリアをテーマに美しい作品群を製作しています。それらの作品は、例外なく、美しく優雅な女性美が深い精神性と融合し、静謐な美しさが溢れるメダイユに仕上がっています。

 メダイユの縁にはブロンズ製であることを示す三角形のホールマーク、及び "B" の刻印があります。特筆すべき瑕疵の無い良好なコンディションです。


【下・参考画像】 エミール・ドロプシの作品2点 いずれも当店の商品です。

エミール・ドロプシ作 「ロサ・ミスティカの聖母」

エミール・ドロプシ作 「童貞マリア」





本体価格 95,000円 (額装別) 販売終了 SOLD

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