ゴドフロワ・デフリーゼ作 「孤児の花」 戦争孤児・戦災孤児のためのブロンズ製プラケット


プラケットのサイズ 62.2 x 46.7 mm   最大の厚さ 3.8 mm   重量 69.3 g

ベルギー  第一次世界大戦期



 ベルギーでおそらく最も著名なメダイユ彫刻家、ゴドフロワ・デフリーゼ (Godefroid Devreese, 1861 - 1941) による美しいプラケット(角型メダイユ)。プラケットのふたつの面は、楕円形画面内部の浮き彫りが異なります。各部分の浮き彫りは両面ともたいへん美しく、仕上がりの丁寧さにも差がありません。





 一方の面には、 中央の楕円形画面に、幼い子供たちを優しく守る女性を浮き彫りにします。寛衣の上にマントを羽織り、マントの下にふたりの子供を庇(かば)う女性は、「マドンア・デッラ・ミゼリコルディア」(Madonna della Misericordia イタリア語で「あわれみの聖母」)にそっくりです。


(下・参考画像) Piero della Francesca, "la Madonna della Misericordia", 1462, olio e tempera su tavola, Museo civico, Sansepolcro




 この群像を囲むように、次の言葉がフランス語で刻まれています。

  J'aide et Je console.  私は援ける。私は慰める。


 プラケットのいずれの面にも、楕円形画面の下には薔薇が彫られています。古来薔薇は愛の象徴であり、聖母マリアの象徴でもあります。






 もう一方の面には花を売り歩く少女の姿が浮き彫りにされ、次の言葉がフランス語で刻まれています。

  La Fleur de l'Orphelin  孤児の花

 この「ラ・フルール」(la fleur) は単数形ですので、浮き彫りの図柄とは裏腹に、「ラ・フルール・ド・ロルフラン」は「孤児が売り歩く花」のことではなく、むしろ「花である孤児」、すなわちか弱く美しい花のように愛され守られるべき孤児、という意味でしょう。





 初の大量殺戮戦となった第一次世界大戦は、軍人同士の戦いであったそれまでの戦争とは異なり、軍人でない一般の老若男女を巻きこんだ国民同士の総力戦となりました。上の写真は「全仏孤児の日」(journée nationale des orphelins) のポスターで、戦争孤児、戦災孤児を全国民が守るべき存在と位置づけ、寄付を訴えています。このメダイはベルギーのものですが、ベルギーでもフランスでも事情は同じでした。





 少女の足元にゴドフロワ・デフリーゼ (Godefroid Devreese, 1861 - 1941) のサイン (G. DEVREESE) があります。ゴドフロワ・デフリーゼはブリュッセルの王立美術アカデミーに学んだ後、ブリュッセル近郊のスカールベーク (Schaerbeek) に居を構えて、1900年代から 1920年代を中心に活躍しました。デフリーゼは丸彫りと浮き彫りのいずれにも長じ、正統的アール・ヌーヴォー様式による数々の優美な作品で知られています。

 本品は百年近く前に制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず、特筆すべき問題の無い良好なコンディションです。表裏いずれの突出部分にもまったく摩耗が無く、美しいパティナ(古色)が全体を均一に被っています。ご希望により、別料金にてメダイユを額装いたします。額装料金は使用する額によって異なります。





メダイユの価格 42,000円 (税込・額装別)

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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