極稀少品 永遠の生命と再生の源である救世主の御母 《愛の赤》を秘めた緑の光のロザリオ 全長 46センチメートル


ロザリオの全長 46 cm

クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からクール(センター・メダル)上端までの長さ 31 cm


ビーズの直径 約 6.5 mm


突出部分を含むクール(センター・メダル)のサイズ 17.7 x 14.1 mm

突出部分を含むクルシフィクスのサイズ 32.4 x 17.6 mm


フランス  19世紀後半



 ブロンズ製クルシフィクスとクール(cœur センター・メダル)、生命と再生の象徴である緑のガラス製ビーズを使用したシャプレ・ド・ラ・ヴィエルジュ(chapelet de la Vierge 聖母のロザリオ)。ビーズのガラスはウラリン (ouraline ウランガラス)で、エメラルドのような珍しい色をしています。いまから百年以上前のフランスで制作された美しい品物です。





 本品のクルシフィクスとクール(cœur フランス語で「心臓」「センター・メダル」)、及びチェーンはブロンズ製です。ブロンズが有する優しい金色の輝きが、ウラリンのエメラルド色と調和しつつも、互いを引き立て合います。十字架は装飾を排したラテン十字で、別作のコルプス(キリスト像)を溶接しています。クールはマリアの頭文字 "M" を倒立させたもので、部分的に唐草装飾を有します。本品のようにクルシフィクスを下にして吊り下げるとクールが倒立するのは、19世紀のフランス製ロザリオの特徴です。





 本品のビーズは透明な十八面体のガラスです。融解したガラスを型に注いで成形していますが、各ビーズの接合面をよく見ると、手作業で研磨して綺麗に整えてあり、丁寧な作業に驚かされます。19世紀のガラス・ビーズは手作り品であるために、ところどころに完全でない点があり、ガラス職人による手仕事の温かみを感じます。クラウン部分(環状に閉じた部分)のビーズのうち、上の写真に写っている第五連の五番目のビーズが、水色の透明ガラス製に置き換わっています。水色の一個以外のビーズは、すべて緑色のウラリンです。





 ウラリン (ouraline ウランガラス) は酸化ウランを含み、酸化ウランは紫外線によって鮮緑色の強い蛍光を発します。上の写真は本品に対し人工的に紫外線のみを照射して撮影したもので、ウランの蛍光がよくわかります。紫外線は自然光にも豊富に含まれていますから、この蛍光は自然光の下でも観察できます。自然光の下でウラリンの蛍光を観察するには、晴れた日の夜明け前が適しています。夜明け前の自然光を受けたウラリンは、紫外線を人工的に照射した場合よりもはるかに柔らかな緑色の光を発します。

 ウラリンのビーズは、間もなく太陽が昇る夜明け前、時が満ちて空を満たしつつも人間の目には未だ見えない紫外線を受けて、いちはやく可視光線に変え、緑の輝きを見せてくれます。それと同様にマリアも、「ソール・ユースティティアエ」(SOL JUSTITIAE ラテン語で「義の太陽」)たるイエス・キリストが生まれる前に受胎の告知を受け容れ、人の望みにして喜びなるイエスを生みました。「カイレ・マリア」(Χαῖρε Μαρία 「アヴェ・マリア」「喜びなさい、マリア」)とはメシアの誕生を予告する言葉です。それゆえ日の出の直前に、あたかも間もなくメシアが誕生することを予告するかのように、生命と再生、希望の色である緑の輝きを見せるウラリンは、恩寵の通り道、聖母マリアのロザリオに、このうえなくふさわしいといえます。目に見えない紫外線を不可視の聖霊の光、紫外線によって生まれる緑の蛍光を「生命」そのものであるイエス・キリスト(「ヨハネによる福音書」 14章 6節他)と考えれば、緑の蛍光を宿すウラリン製ビーズは、まさに聖母の象(かたど)りにほかなりません。





 ところで本品はフランスで制作されたシャプレですが、パリのアウグスチノ会修道院(勝利の聖母の修道院)の修道士であり、系図学者でもあった跣足アウグスチノ会のアンセルム神父 (père Anselme de Sainte-Marie, 1625 - 1694) は、1686年に出版された紋章学の著書「名誉の宮殿」("Le palais de l'honneur, ou La science héraldique du blazon") において、大司教及び司教の紋章にあしらわれる帽子の緑色 (sinople) を次のように説明しています。日本語訳は筆者(広川)によります。

     Les Archeuesques, portent vn chapeau de sinople, auec des cordons de soye verte entre-lassés, se terminans en quatre houppes de chaque costé, ils portent aussi vne croix trefflée, qui est sous le chapeau, qui couure auec ses grands bords l'escu.     大司教の紋章は緑の帽子を戴く。帽子からは緑の絹紐が出て交錯し、右側と左側のそれぞれの端が四つずつの房となる。帽子の下には末端がクローヴァー形になった十字架が置かれる。帽子の縁は広く、下部の盾形紋章を覆う。
         
     Les Euesques, portent aussi le chapeau de sinople (pour ce qu'estans establis comme Bergers sur les Chrestiens, cette couleur denote les bons pasturages, où les sages Bergers menent paistre leur brebis, & est symbole de la bonne doctrine de ces Prelats) auec des cordons pendans, comme ceux des Archeuesques, qui se terminent en trois houppes, ils portent aussi vne crosse sous leur chapeau, qui est le baston Pastoral.     司教の紋章も緑の帽子を戴く。これは司教が信徒たちの牧者の地位にあるからである。緑は良き牧草地を表す。賢明な牧者は羊たちを良き牧草地へと導く。それゆえ司教の紋章の緑は、司教の良き教えを象徴するのである。緑の帽子からは、大司教の紋章におけると同様に、緑の紐が下がり、右側と左側のそれぞれの端は三つずつの房となる。帽子の下には司教杖があしらわれるが、これは牧者の杖である。



 すなわちアンセルム神父によると、緑は「良き牧草地」にも譬えられる良き教えを表します。聖母は「キリスト者の援け手」(AUXILIUM CHRISTIANORUM) であり、女牧者として図像に表されることも多くあります。したがって「良き牧草地」を象徴する緑は、「キリスト者の援け手」である聖母のシャプレにふさわしい色であるといえます。


(下) 傷ついた羊を助ける聖母のカニヴェ。当店の販売済み商品




 上の引用箇所において、アンセルム神父は紋章の緑色について論じています。紋章学における「緑」は、フランス語で「シノプル」(sinople) といいます。この「シノプル」という語はラテン語シノーピス (SINOPIS) に由来するのですが、この「シノーピス」は赤い顔料を指します。フランスの紋章の緑色「シノプル」は、不思議なことに元々「赤」という意味なのです。これはつまり、緑の内に赤が隠れているということです。

 「緑の内に赤が隠れている」というのは矛盾律や同一律に抵触する不合理な言説と思われるかもしれません。本品のビーズはエメラルド色、すなわち青味がかった緑ですが、青味がかった緑は色相環上においてまさに赤と向かい合う位置を占める「補色」です。しかしながら「或る物のうちに、それと正反対の物が隠れている(あるいは、含まれている)」事態は珍しくありません。たとえば残像は補色です。ある物体(たとえばメダル)と周囲の空間の境界を考えるとき、物体を雄型と考えれば空間は雌型であり、空間を雄型と考えれば物体は雌型です。素粒子はエネルギーに変わります。ユングは男性の人格中にアニマを、女性の人格中にアニムスを見出しました。

 さきほど筆者は、「紫外線によってウラリンに宿る緑の蛍光は、イエス・キリストである」と書きました。本品はシャプレであって紋章ではありませんが、フランスの「緑」のなかに「赤」が隠されているとすれば、緑の光とイエス・キリストを同一視するのはやはり正しいことになります。なぜならイエスが為し給うた救世の御業において現れたのは「神の愛」であり、「赤」は愛の象徴に他ならないからです。生命と再生を表す緑のうちには、愛の赤が存在しているのです。





 本品は 19世紀のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず良好な保存状態です。クラウン部分のビーズのうち、一個が水色に置き換わっています。金属部分に破損はありません。ウラリンのロザリオはたいへん稀少でめったに手に入りません。





68,800円 販売終了 SOLD

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