サルウェー、レーギーナ (サルヴェ・レジーナ)
"SALVE REGINA"





(上) 十二の星のクーロンヌ ビーズはパート・ド・ヴェール製 全長 118ミリメートル 当店の商品です。


 「サルウェー、レーギーナ」あるいは「サルヴェ・レジーナは十一世紀に作られた祈りで、ヘルマン・フォン・ライヒェナウ(ライヒェナウのヘルマン Hermann von Reichenau, Hermann der Lahme, 1013 - 1054) が作者であると考えられています。

 「サルウェー、レーギーナ」(SALVE REGINA) はラテン語で「挨拶を送ります、元后(女王)よ」という意味で、「サルウェー、レーギーナ」がラテン語の正しい発音ですが、わが国では「サルヴェ・レジーナ」と呼ばれることが多くあります。


【聖務日課における位置付け】

 修道院において決まった時刻に行われる日々の祈りを「聖務日課」といいますが、日々の聖務日課を締めくくる「終課」の終わりには、マリアを称える四種類のアンティフォン(antiphon 交唱)のうちいずれかが唱えられます。唱えられるアンティフォンの種類は、一年の時期によって下記のように替わります。


      アンティフォンのラテン語名と読み方   意味   唱えられる時期
               
      ALMA REDENPTORIS MATER
(アルマ・レデンプトーリス・マーテル)
  救い主を育て給うた御母よ   待降節第一主日から
主の奉献の祝日(2月2日)まで
      AVE REGINA CAELORUM
(アウェ、レーギーナ・カエロールム)
  めでたし諸天の元后   主の奉献の祝日(2月2日)から
聖木曜日(復活祭直前の木曜日)まで
      REGINA CAELI
(レーギーナ・カエリー)
  天の元后   聖土曜日(復活祭直前の土曜日)から
聖霊降臨の主日まで
      SALVE REGINA
(サルウェー、レーギーナ)
  挨拶を送ります。元后よ   聖霊降臨の主日の次の土曜日から
待降節第一主日の前の金曜日まで


 上の表で分かるとおり、「サルウェー、レーギーナ」は、四種類のアンティフォンのなかで最も長期間に亙って唱えられます。「サルウェー、レーギーナ」はクリュニー会で唱えられ始め、1218年にシトー会の聖務日課に採り入れられました。1221年、ドミニコ会はこの祈りを終課の終わりに唱えるようになり、中世の西ヨーロッパに広まりました。


【「サルウェー、レーギーナ」の内容】

 「サルウェー、レーギーナ」のラテン語原文と日本語訳を示します。文語訳は公教会の祈祷文、口語訳は筆者(広川)によります。筆者の口語訳は、ラテン語の意味をできるだけ正確に日本語に移しました。

     Salve, Regina, mater misericordiae. Vita, dulcedo et spes nostra, salve.    元后、憐れみ深き御母、我らの命、慰め、及び望みなるマリア。    挨拶を送ります、元后(女王)よ。憐れみの母、甘美なる慰め、我らの望みよ。
     Ad te clamamus, exsules filii Hevae.    我ら逐謫の身なるエワの子なれば(註1)、御身に向かひて呼ばはり、    我らはエヴァの子らにして、流謫の身なれば、御身に向かって叫びます。
     Ad te suspiramus, gementes et flentes in hac lacrimarum valle.    この涙の谷(註2)に泣き叫びて、ひたすら仰ぎ望み奉る。    涙に満ちたこの谷で泣き、嘆きつつ、御身に向かって嘆息します。
     Eia ergo, Advocata nostra, illos tuos misericordes oculos ad nos converte.    ああ我らの代願者よ、憐れみの御眼もて、我らを顧み給へ。    ああ、それゆえに、我らを執り成し給う御身よ。御身のその憐れみ深き眼(まなこ)を、我らに向け給え。
     Et Jesum, benedictum fructum ventris tui, nobis post hoc exilium ostende.    また、この逐謫の終わらむ後、尊き御子イエズスを、我らに示し給へ。    御身の胎の祝せられたる実、イエスを、この流謫の後に、我らに示し給え。
     O clemens, o pia, o dulcis Virgo Maria ! Amen.    寛容、仁慈、甘美にまします童貞マリア。アーメン。    優しく、憐れみ深く、甘美なる乙女(処女)マリアよ。アーメン。



註1 アダムの妻は「エヴァ」という名で知られていますが、ヘブライ語の正しい発音は「ハワ」で、「生命」という意味です。七十人訳聖書は「ハワ」を「ゾーエー」(ζωή 「生命」)というギリシア語に訳しています。

 「サルウェー、レーギーナ」の第二節にある「逐謫の身なるエワの子」(exsules filii Hevae) の句は、原罪を犯したアダムとエヴァがエデンの園から追放されたために、その子孫(「ハワの息子たち」 FILII HEVAE)である我らもまた、「追放された者たち」(EXSULES EXSULの複数主格)であることを言っています。逐謫(ちくたく)、流謫(るたく)とは、安住の地を追放されてさまよう様子を表す言葉です。

 エヴァとマリアは共に女性ですが、エヴァが原罪を犯すことによって人間に死と苦しみをもたらしたのに対し、マリアはキリストを生むことによって人間に生命と救いをもたらしました。それゆえマリアは「新しきエヴァ」と呼ばれます。


註2 「涙の谷」は「詩編」 84編 7節にある言葉です。

 マソラ本文(ヘブライ語原文)の主要な写本において、この句は「バカの谷」と記されています。「バカ」は乾燥した土地に生える低木のことですから、この読みに従うならば、該当の句は「涙の谷」ではなく、「乾燥した谷」という意味になります。この解釈を採る場合、「詩編」 84編 7節は、人々が雨乞いの祭事に集まるときのことを謳っていると考えられます。

 しかしながら幾つかの写本はこの句を「嘆きの谷」としており、新共同訳もこれに従って次のように訳しています。

  嘆きの谷を通るときも、そこを泉とするでしょう。雨も降り、祝福で覆ってくれるでしょう。(「詩編」 84編 7節 新共同訳)

 七十人訳も「嘆きの谷」「涙の谷」と解釈して、この箇所を訳しています。なお七十人訳において、この箇所は「詩編」 83編 7節となります。

  ἐν τῇ κοιλάδι τοῦ κλαυθμῶνος εἰς τόπον ὃν ἔθετο καὶ γὰρ εὐλογίας δώσει ὁ νομοθετῶν



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