ジョルジュ・セラ作 「聖心の聖母」 アドルフ・ペナンによる《マ・リリエの平和の聖母》祝別記念メダイユ 直径 12.8 mm
突出部分を除く直径 12.8 mm
フランス 1941年
マ・リリエにある大きな聖母子像「ノートル＝ダム・ド・ラ・ペ」（Notre-Dame de la Paix 平和の聖母）の祝別を記念して、リヨンの彫刻家アドルフ・ペナンが制作した小メダイユ。驚異的な細密浮き彫りは十九世紀後半から二十世紀前半にフランスで作られたメダイユの特徴で、本品を小さな芸術品としています。
本品の表（おもて）面には、幼子イエスを抱く聖母の上半身が浮き彫りにされています。聖母はヴェールを被り、聖母の左腕に抱かれた幼子イエスは右手を挙げて祝福の姿勢を執っています。一見したところスタンダードな聖母子像のように見えますが、注意深く観察すると、幼子イエスの左手と聖母の右手は、いずれも幼子の胸に輝く聖心を指し示しており、これが「ノートル＝ダム・デュ・サクレ＝クール」（Notre-Dame du Sacré-Cœur）、すなわち聖心の聖母像であることがわかります。
上の写真はジョルジュ・セラ（Georges Serraz, 1883 - 1964）による丸彫り彫刻「聖心の聖母」で、本品の浮き彫りの元となった作品です。聖母子の前の空間には、聖母に執り成しを願う祈りがフランス語で記されています。
Notre-Dame du Sacré-Cœur, priez pour nous. 聖心の聖母よ、我らのために祈りたまえ。
メダイの下部にはアドルフ・ペナンのサイン（PENIN）が刻まれています。アドルフ・ペナン（Adolphe Penin, 1888 - 1985）は十九世紀でもっとも有名なカトリックのメダイユ彫刻家リュドヴィク・ペナン（Ludovic
Penin, 1830 - 1868）の孫で、自身もカトリック信仰に取材した多くのメダイを制作しています。
ジョルジュ・セラによる聖母子像「聖心の聖母」は、フランス東部、リヨン郊外の小さな村マ・リリエ（Mas Rillier ローヌ＝アルプ地域圏アン県）に大きな聖母子像を造営するため、その意匠の元となる作品として制作されました。実際にマ・リリエに建てられた「平和の聖母」像はジョルジュ・セラの原案に基づきつつも、細部を更に単純化した力強い作品でしたが、本品の浮き彫り像はジョルジュ・セラによる「聖心の聖母」に基づいています。
メダイの裏面には聖母を象徴する百合が浮き彫りにされ、フランス語で「マ・リリエの聖地」（sanctuaire du Mas Rillier）と記されています。
別名「平和の聖母」（Notre-Dame de la Paix）とも呼ばれる「マ・リリエの聖心の聖母」は、台座を除く本体の高さが 32.6メートルというフランス最大の聖像で、1941年に祝別されました。本品は聖母子像の祝別を記念した作品です。
上の写真に写っている定規のひと目盛りは、一ミリメートルです。聖母子の顔は二ミリメートルないし三ミリメートルという小ささですが、目鼻立ちはよく整っており、その出来栄えは大型の浮彫作品に全く引けを取りません。イエスの両手と胸の聖心はいずれも直径一ミリメートルに収まります。顔の各部分は十分の一ミリメートル以下の精度で造形されています。
本品が制作された 1941年のフランスはヴィシー政権下にありました。小さな画面いっぱいに「平和の聖母」を刻んだ本品には、フランスの救済を聖母に願う当時の人々の真摯な祈りが籠められています。
本品は七十年以上前に制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず保存状態は良好です。突出部分にも磨耗はほとんどなく、驚異的な細密浮き彫りが細部に至るまで制作当時のままに残っています。
本体価格 7,800円
電話 (078-855-2502) またはメール（procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp）にてご注文くださいませ。
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