高級品 フィルマン・ピエール・ラセール作 「受胎告知 マリアの庇護の下に」 ベル・エポックの銀無垢メダイユ 直径 20.4 mm


突出部分を除く直径 20.4 mm

フランス  1930年代



 「神の花嫁」として選ばれた若きマリアのメダイ。19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍したメダイユ彫刻家、フィルマン・ピエール・ラセールによる美しい作品です。直径 20ミリメートルと小さくはないサイズながら、信心具に使われる最高級の素材である銀で作られています。





 メダイの表(おもて)面には、透き通るような薄絹のヴェールを被った若きマリアの横顔が、柔らかなタッチの浮き彫りで表されています。未婚の少女マリアが経験した最も大きな出来事は、受胎告知です。天使から懐妊を告げられるという驚くべき出来事を経験したマリアは、目を閉じて、ひとり想いに耽っています。アブラハムやヨブにも勝り、救い主の母となるべく神の眼に適(かな)ったマリアの信仰に揺るぎは無いはずですが、天使が家の中に突然入ってきて、「喜びなさい、女よ、あなたから救い主が生まれます」と告げられたわけですから、10代半ばのマリアの心にはさまざまな想いが巡っていることでしょう。





 マリアの左肩の後ろ、メダイの縁に近い部分に、フィルマン・ピエール・ラセールの署名 (F. LASSERRE) が刻まれています。

 フィルマン・ピエール・ラセール (Firmin Pierre Lasserre, 1870 - 1943) は 1870年6月6日、ピレネーの西端近くの小村バロート=カミュ(Barraute-Camu アキテーヌ地域圏ピレネー=アトランティック県)に生まれました。画家、彫刻家でもあったメダイユ彫刻家エメ・ミレ (Aimé Millet, 1819 - 1891)、及び画家アルベール・ブレオテ (Albert Bréauté, 1853 - 1939) に師事しています。サロン展では 1921年に銅メダル、1923年に銀メダル、1927年に金メダルを受賞しています。またレジオン・ドヌール章シュヴァリエを贈られています。


(下・参考画像) フィルマン・ピエール・ラセール作 ブロンズ製美術メダイユ 「幼子に微笑みかける若き母」 直径 58.9 mm 最大の厚さ 6.0 mm 重量 108.2 g  当店の販売済み商品




 本品の材質は銀で、フランスにおいて800シルバー(純度 800/1000の銀)を示す「蟹」のポワンソン(ホールマーク)が、上部に突出した環の裏面に刻印されています。シルバーはメダイの素材として最も高級なもので、ふつうはブロンズ製メダイのめっきに使われますが、本品は銀を惜しみなく使った銀無垢メダイです。





 メダイの裏面には、高い香気を発して咲く幾輪もの白百合に、"AM" のモノグラム(組み合わせ文字)が重ねられています。


 百合は「汚れの無さ、純潔」の象徴であるとともに、「神に選ばれた地位」と「神の摂理への無条件的信頼」の象徴でもあります。これら三つの属性は、いずれもマリアに卓越的に当てはまります。すなわち

・マリアは人間の中でただひとり原罪を持たずにアンナの胎に宿った「無原罪の御宿り」であり、また永遠の処女であると考えられています。

・「雅歌」 2章 2節には「おとめたちの中にいるわたしの恋人は、茨の中に咲きいでたゆりの花」(Sicut lilium inter spinas, sic amica mea inter filias.) と謳われています。クレルヴォーの聖ベルナール (St. Bernard de Clairvaux, 1090 - 1153) は、この「ゆりの花」を聖母マリアと解釈しました。

・プロテスタントと違って、カトリックでは聖母マリアを大切にしますが、それは受胎告知の際、マリアがガブリエルに対して「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と答えたからです。プロテスタント思想においては、人間は善を為すことができません。人間にできるのは、罪を犯すことだけです。しかるにカトリックにおいては、人間は善を為す自由を有すると考えられています。神は救いを強制せず、マリアは自由意志を以って、全人類のために救いを受け入れるという善を為したのです。救い主の受胎を告知された際に、マリアが発した言葉、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」は、「神の摂理への無条件的信頼」の表れに他なりません。

 以上の理由から、百合はマリアにこの上なくふさわしい花であることがわかります。またこのメダイにおいて百合と重ねられているモノグラムは、「アウスピケ・マリアエ」(AUSPICE MARIAE ラテン語で「マリアの庇護の下に」の意)の略記であり、キリスト者の助け手 (AUXILIUM CHRISTIANORUM) であるマリアへの崇敬を表しています。





 本品は数十年前のフランスで制作された古い物ですが、突出部分の摩耗もごく軽度で、制作当時のままの状態で、細部までよく残っています。メダイユの浮き彫りにはっきりとした輪郭を描かず、柔らかくぼかしたり薄絹を透けさせたりするのは非常に高度な彫刻技術であり、フィルマン・ピエール・ラセールの優れた才能が遺憾なく発揮されています。





本体価格 18,900円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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