優れた細密彫刻による幼子イエスと聖ヨセフ 開閉するメダイヨン型小聖像 21.6 x 11.1 mm


突出部分を含むサイズ 縦 21.6 x 横 11.1 mm  最大の厚さ 4.0 mm

イタリアまたはフランス  1910年代



 蝶番(ちょうつがい)で開閉するメダイヨン(ロケット)型の聖父子像。壮年のヨセフと、逞(たくま)しい父に抱かれる幼子イエスを、立体的に造形しています。





 小聖像のヨセフとイエスはいずれも正面を向き、ヨセフはイエスを左腕に抱き上げています。ヨセフとイエスの位置関係と姿勢は、救いに至る道であるイエスを世人に示す「ホデーゲートリア」型の聖母子像に倣ったものです。イエスは左手を胸に当てて罪びとへの愛を示し、右手で祝福の仕草をしています。

 ヨセフは右手に百合を持っています。百合が「純潔」の象徴であることはよく知られていますが、そのほかにも百合は「神によって選ばれた身分」、ならびに「神の摂理への信頼」をも表します。これらの属性はマリアに当てはまるのと同様に、ヨセフにも卓越的に当てはまります。それゆえ百合は、マリアのアトリビュートであるのと同様に、ヨセフのアトリビュートでもあります。「アトリビュート」(英 attribute)とは、図像に表された聖人が誰であるかを示す象徴物のことです。本品の彫刻に刻まれた百合は三輪の花を咲かせており、三位一体の神による祝福を表しています。





 蝶番部分を除く本品のサイズは、聖父子像の高さが 15.8ミリメートル、幅が 11.1ミリメートルです。。上の写真に写っている定規のひと目盛は 1ミリメートルです。ヨセフの顔は 3ミリメートル、イエスの顔は 2ミリメートル、百合を持つヨセフの右手は 2.5ミリメートル、イエスの手はいずれも 1ミリメートルほどの極小サイズです。しかしながら本品を制作した彫刻家は非常に優れた腕前を持っていて、聖父子は顔立ちが整っているばかりか、ヨセフの表情には不動の信仰が、イエスの表情には父を信頼して甘える幼子の表情と、神なる救い主としての慈愛の表情が、目に見える形となって現れています。ヨセフとイエスの手、父子の髪やヨセフの髭、衣の襞、百合の花も、大型彫刻に劣らない精緻さと写実性を以て再現されています。





 表裏をずらせて開くとカルメル山の聖母キリストの聖心が現れ、本品がスカプラリオのメダイを兼ねていることがわかります。





 上の写真に写っている定規のひと目盛は 1ミリメートルです。イエスの胸には、あまりも強い愛ゆえに、強烈な光輝を発して燃える聖心が彫られています。聖心の高さは上部の炎と十字架を合わせても 2ミリメートルに満ちません。





 カルメルの聖母は左腕にイエスを抱き、幼子イエスは両手にスカプラリオを持って差し出しています。こちらの浮き彫りに関しても、1ミリメートルに満たないサイズの細部までが写実的に再現されています。





 本品はおよそ百年前のフランスまたはイタリアで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず良好な保存状態です。19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したグラヴール(メダイユ彫刻家)の優れた芸術的感覚と人間離れした技術は、実物を目にしても信じがたいほどの水準に達しています。





本体価格 11,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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