稀少品 ラウル・ラムルドデュ作ゆりかご用メダイ 「子供を見守る守護天使」 円熟の名品


突出部分を含む縦横のサイズ 40.6 x 39.2 mm   最大の厚さ 4.0 mm  重量 8.15 g

フランス  1930年代



 東洋の釣鐘、あるいは半円アーチの窓のように珍しい形のゆりかご用メダイ。ゆりかご用メダイはほとんどがプラスチック製ですが、本品は稀少なアルミニウムの作例です。





 本品は縦横およそ4センチメートル、厚さ4ミリメートルのサイズがありますが、重量は 8.15グラムしかありあせん。これは五百円硬貨よりも少し重い程度です。8.15グラムは平均的なプラスチック製ゆりかご用メダイのおよそ半分から三分の二の重量で、万一赤ちゃんの上に落下しても怪我をしないように、実用性を重視して制作されていることがわかります。


 メダイの表(おもて)面には、すやすやと眠る幼い子供と、子供を見守る守護天使が柔らかいタッチで浮き彫りにされています。幼子の柔らかい肌、天使の衣の流れるような襞(ひだ)、天使の髪や翼の羽毛など、これがアルミニウムの浮き彫りであることを忘れさせるような巧みさで表現されています。





 メダイの右下、端に近い部分に、フランスのメダイユ彫刻家ラウル・ラムルドデュ (Raoul Eugène Lamourdedieu, 1877 - 1953) の署名が刻まれています。

 ラウル・ラムルドデュは、アレクサンドル・シャルパンティエ (Alexandre Louis Marie Charpentier, 1856 - 1909) の弟子であり、サロン展のみならずサロン・ドートンヌ展、アンデパンダン展でも活躍した才能豊かな芸術家です。象徴性に富む女性像を得意として、オーギュスト・ロダンに「彫刻界のピュヴィス・ド・シャヴァンヌ」と評されました。


 本品の浮き彫り彫刻において幼子が裸なのは、この作品の作者であるラウル・ラムルドデュの作風であると同時に、幼子のよるべのなさを表しています。一方、幼子を見守る守護天使の力は最強であり、地上の軍隊が一斉に戦いを挑んでも指先でひねりつぶしてしまう天上の軍人ですが、いまはあくまでも優しい表情を浮かべ、目を閉じ、交差した腕を胸に当てて祈りのポーズを取っています。

 この守護天使は幼子の幸福を祈る両親の愛、この世の何よりも強い両親の愛を象徴し形象化したものであって、この彫刻家ならではの静謐な画面は、オーギュスト・ロダンの評を思い起こさせます。本品は実用性を考えて制作されたゆりかご用メダイでありながらも、信心具をはじめとする「アール・ポピュレール」(art populaire) にときおり見られるキッチュさ(俗悪さ)は無く、象徴性に富む優れた芸術作品に仕上がっています。





 メダイの裏面にはフランス・アクシオン・カトリーク女性連盟(Ligue Féminine d'Action Catholique Française) と記されています。

 1870年に誕生したフランス第三共和政政府は、首相ジュール・フェリー (Jules Ferry, 1832 - 1893) の下で教育の完全な世俗化を断行するなどカトリック教会への対抗姿勢を強め、多くの教会関係者が国外に逃れ、あるいは社会的活動から手を引くことを余儀なくされました。このような状況の下、1901年から 1902年にかけて、リヨンでフランス女性連盟(Ligue des Femmes françaises, LFF)、パリでフランス愛国連盟(Ligue Patriotique des Françaises, LPDF) が結成されました。これらはいずれもカトリック系の女性団体で、反カトリック的な当時の社会状況に対抗し、世俗化された社会に信仰を立て直すことを目指していました。

 一方、1920年代にはアクシオン・カトリーク(L'Action Catholique) の活動が始まりました。これは男性、女性、青少年を含む大規模な運動で、現在でも続いています。アクシオン・カトリークと上記二団体の目的は共通しているゆえに、1933年、上記二団体は「アクシオン・カトリーク」に合流し、フランス・アクシオン・カトリーク女性連盟(Ligue Féminine d'Action Catholique Française, LFACF) となりました。

 本品は 1930年代、フランス・アクシオン・カトリーク女性連盟が結成されたころに制作された作品で、この世に生を享けた幼子が神の加護を受けて健やかに育ち、神と人に喜ばれる優しい子供になるようにとの祈りと願いが籠められています。

 1930年代は第二次世界大戦が起こる直前の時期です。幼い日々を戦時に送ることとなった子供が、守護天使のように強い両親の愛に守られて、無事に生き延びたことを願わずにはいられません。





 本品は高名なメダイユ彫刻家ラウル・ラムルドデュが、芸術家としての稔(みの)りの季節ともいうべき六十歳代を迎えて制作した名品です。およそ八十年前に制作された真正のヴィンテージ品ですが、古い年代にもかかわらずたいへん良好な保存状態で、特筆すべき問題は何もありません。実用性を考慮して軽量に作られていますので、ベビー・ベッドの上に掛けても安全です。





本体価格 14,000円 販売終了 SOLD

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