稀少品 小さな容器型クルシフィクス 《キリストの愛に守られた銀の宝箱 24.6 x 15.0 mm》 優れた保存状態の一点 フランス 十九世紀半ばから二十世紀初頭
突出部分を含むサイズ 縦 34.0 x 横 18.0 mm
二十世紀初頭以前のフランスで制作されたアンティーク・クルシフィクス。めっきではない銀でできており、純度八百パーミル（800/1000 八十パーセント）の銀を示す蟹のポワンソンが上部の環に刻印されています。クルシフィクスの凸部は銀色に輝き、凹部は美しい古色に被われています。
本品クルシフィクスは、打ち出し細工のコルプス（羅 CORPUS キリスト像）を、分厚いラテン十字に鑞（ろう）付けしています。蝶番で開閉する十字架は小さな螺子（ねじ）でロックされるように出来ています。螺子の突出を含むサイズは縦
34.0ミリメートル、横 18.0ミリメートル、十字架の厚み 2.7ミリメートル、コルプスを含む全体の厚み 4.4ミリメートル、重量 1.0グラムです。
十九世紀半ば以降のクルシフィクスにおいて、コルプスの形態はクリストゥス・ドレーンス（羅 CHRISTUS DOLENS 苦しむキリスト）型、すなわちキリストが頭部を傾けた様子が造形されるのが普通です。本品のコルプスもその例に漏れず、クリストゥス・ドレーンス型です。キリストの頭部が位置する十字架交差部には、三角形の後光が彫金で表現されています。頭上にしばしば表されるティトゥルス（INRIの罪状書き）は、本品では省略されています。
十字架表裏の縁に近い部分は、細い鏨（たがね）により帯状の模様が施されています。
横木の両端には、半球状の装飾が突出しています。これはフランス製の十字架に特有の装飾で、一説によると福音書の中でキリストが三たび流し給うた涙を表すともいわれます。一般にフランス製十字架の半球状装飾は、横木両端及び縦木下端の計三か所に見られますが、本品の縦木下端にあるはずの半球状装飾は、小さな螺子のツマミに置き換わっています。
本品は縦木上端に蝶番（ちょうつがい）があり、縦木下端の螺子を外すと自由に開閉可能です。小さな記念物を入れて身に着けることができる本品のようなペンダントは、二十世紀初頭以前のフランスで愛用されました。このようなペンダントは、大抵の場合、螺子が紛失しています。しかしながら本品は元々の螺子が紛失せずに残っていて、しっかりと閉まります。
物品を入れる空間はおよそ 3.5ミリメートルの幅、2.5ミリメートルの深さがあります。上の写真はダイヤモンドのメレを入れて撮影しました。玄武岩質の海岸で採集できる橄欖石の粒、珊瑚の砂浜で採集できる稚貝の殻、川底で見つけた金剛砂や砂金など、さまざまな物を収納できるでしょう。
上部に突出する環の裏面には、蟹のポワンソン（検質印）が刻印されています。フランスにおいて純度八百パーミル（八十パーセント）の銀無垢製品を表す検質印には、イノシシの頭と蟹の二種類があります。イノシシの頭はパリ造幣局で検質された品物に、蟹はパリ以外で検質された品物に、それぞれ刻印されます。
上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。
本品に外付けされている環は円形に近いので、お手持ちのチェーンを使用される場合、端の金具が大きければ通らない可能性があります。しかしながらこの環は細いので、精密作業用のペンチを使えば容易に変形させることができます。ご注文時にお申し付けいただければ、チェーンの金具が通りやすいように、環を楕円形に変形させて発送いたします。なお手ごろな価格の銀製チェーンは、当店でも販売しております。
本品は百数十年前のフランスで制作され、二度の世界大戦を潜り抜けて、現代まで大切に伝えられてきた品物です。銀無垢の工芸品ですが、小さな品物ゆえに融かされることもなく無事に伝わったのでしょう。本品は丁寧な手作業で制作されたアンティーク品であり、実用可能な美術工芸品です。
保存状態は極めて良好です。蝶番に摩耗はなく、まったく正常に動きます。元々の螺子は紛失しておらず、収納した小物をしっかりと守ります。本品は中空の構造ゆえ見た目以上に軽量で、日々ご愛用いただけます。特筆すべき問題は何もありません。
本体価格 38,800円 販売終了 SOLD
電話 (078-855-2502) またはメール（procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp）にてご注文くださいませ。
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