鳩が可愛いクロワ・ユグノト 「愛」を強調した丁寧な作例 33.0 x 18.0 mm


自然に吊り下げたときのサイズ  33.0 x 18.0 mm (上部に取り付けた環を除く)

フランス  20世紀前半



 フランス改革派教会の十字架、クロワ・ユグノト(ユグノー十字)のペンダント。

 クロワ・ユグノトの上部にはマルタ十字があり、各腕木の先端部には二個ずつの玉が付いています。玉の数は十字架全体で八個になりますが、キリスト教において「八」という数字は再生の象徴であり、また山上の垂訓(マタイによる福音書5章3節から10節)で説かれている八つの幸福の象徴でもあります。山上の垂訓では、「神に頼る人、悲しむ人、義に飢え渇き、義のために迫害される人は幸いである」と説かれています。クロワ・ユグノトはニームの金細工師が17世紀に考案したと伝えられますが、山上の垂訓で語られる言葉は、当時迫害に遭っていたユグノーたちの心に強く響いたに違いありません。

 十字架の腕木と腕木の間にはフルール・ド・リス(fleurs de lys 百合文またはアヤメ文)が置かれています。本品のフルール・ド・リスは横に引き伸ばされた形状になっています。三つの花弁を有するフルール・ド・リスは三位一体の象徴であるとともに、フランスの象徴でもあります。四つのフルール・ド・リスの花弁を合わせると十二枚になりますが、これは十二使徒、及び十二使徒によって代表される全キリスト教徒を象徴します。





 さらにフルール・ド・リスと、これをはさむ十字架の腕木二本によって、十字架の周りに四つのハート形が形成されます。ハート形は言うまでもなく愛の象徴であり、「四」という数によって四人の福音記者をも表します。また四つのフルール・ド・リスが形作る環は茨の冠を象ったものと見ることができ、終わり(端)の無い環形は無限にして永遠なる神の愛を表しています。本品のフルール・ド・リスは横に引き伸ばされた形状であるゆえに、これが形作る環は茨の冠にいっそう似ており、「愛」を強く表現した作例となっています。

 十字架からはが下がっています。鳩はノアの箱舟から放たれ、オリーヴの枝を咥えて戻ってきました。それゆえ鳩は神との平和を象徴します。これが十字架からぶら下がっているのは、キリストの受難によって神との平和が回復されたことを表します。

 鳩は聖霊の象徴でもあります。キリスト教徒は十字架によって聖霊を受けたのであり、聖霊によって神の子となります(ローマの信徒への手紙8章15, 16節)。十字架から発出する聖霊は、このことをも表します。





 クロワ・ユグノトの作りの丁寧さは、品物によってさまざまです。マルタ十字には片面のみに線が刻まれる場合も多いですし、ほとんどの作例において少数の線が浅く刻印されるにすぎません。しかるに本品では、手彫りのようにくっきりと力強い線条が、マルタ十字の両面に数多く刻まれています。

 またこれまで私が目にしたすべての作例において、クロワ・ユグノトの鳩は両面とも同じデザインです。しかるに本品の鳩には背側と腹側の区別があり、飛翔する鳩が可愛らしく縮めた脚がきちんと表現されています。本品は数あるクロワ・ユグノトの中でもとりわけ丁寧に制作された作例といえます。


 本品は数十年前にフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、特筆すべき瑕疵(かし 欠点)は何もありません。たいへん良好な保存状態です。





11,800円 販売終了 SOLD

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