貴重な一点もの フランス特有のドーム状ガラス 《聖母の花束と、少女殉教者聖ソランジュ レースが縁取る花嫁のルリケール》 直径 112ミリメートル 厚さ 18ミリメートル 1950年代頃
今からおよそ七十年前、二十世紀半ばのフランスで制作された美しいルリケール。ルリケール（仏 reliquaire） とは、前面がガラス張りになった容器や奥行のある額に聖遺物や小聖画、装飾物などを封入したものを指します。
本品はドーム状に膨らんだ円形の額に、愛の花である薔薇の造花と、ドライフラワーの小さな花束を封入しています。フランス語でピンクをローズと言いますが、本品に封入された造花の薔薇は文字通りローズ色で、経年により淡く優しい色合いに変化しています。花束にはムリリョによる「スルトの無原罪の御宿り」が添えられています。無原罪の御宿りとは、聖母マリアのことです。花を束ねるリボンは菫色がかったブリュ・マリアル（仏 le bleu marial マリアの青）です。
花束の上には、聖ソランジュに因む少量の聖遺物がローズ色の小さな布に覆われ、金色の十字架で封緘されています。聖遺物が何であるかは不明ですが、おそらく墓所の土であろうと思います。「サント・ソランジュ、ルリーク」（仏
Sainte Solange, RELIQUE 聖ソランジュ、聖遺物）と書かれた紙が、聖遺物の上方に貼り付けられています。
ベリーの聖ソランジュ（Ste. Solange du Berry, 862 - 878) はフランス中央部、ベリー地方に生まれた羊飼いの少女で、ブールジュの聖ソランジュ（Ste. Solange de Bourges）とも呼ばれます。美貌ゆえ領主に見染められ求婚されましたが、信仰のためにこれを拒んで斬首されたと伝えられ、カトリック教会及び正教会で殉教処女として崇敬されています。聖ソランジュはベリーの守護聖女であり、祝日は五月十日です。五月十日は五旬節（聖霊降臨節）中にあたります。
本品の小さな花束とこれを取り囲む白いレース飾りの組み合わせは、花嫁を思わせます。聖母マリアは神の花嫁であるのと同様に、領主の求婚を拒んでキリストに生命を捧げた少女ソランジュはキリストの花嫁です。それゆえ本品の花束は少女ソランジュの範である聖母の花束でもあるとともに、少女ソランジュ自身の花束でもあります。
聖母が神の花嫁に選ばれて受胎を告知されたのは、十代半ばのことでした。キリストの花嫁ソランジュが殉教を遂げたのも、十代半ばのことです。年月の経過によって優しい明色になった薔薇と、野の花のように小さく素朴なドライフラワーは、可憐な羊飼いソランジュの花嫁姿に如何にも似つかわしく思えます。
ルリケールの裏面には、オルレアンに店を構えていたルーサ・エ・フィス商会（Roussat et Fils）のステッカーが貼られています。ルーサ・エ・フィス商会の店は、ジャンヌ・ダルク通り三十番地にありました。
ルーサ・エ・フィスは 1910年頃に創業し、1975年まで存続した美術品店で、版画をはじめとする美術品、アンティーク品、装飾品、鏡、その他の額装品を扱っていました。上に示した二枚の写真はフランスの古い絵葉書で、創業間もないルーサ・エ・フィスの店舗を写しています。二枚目の遠景にはオルレアン司教座聖堂サント＝クロワが見えます。
上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。
本品の直径は 112ミリメートル、厚さは 18ミリメートル、重量は 63.7グラムで、家庭に飾りやすいサイズです。額は一度も開封されておらず、ルリケールの保存状態は内外ともに極めて良好です。特筆すべき問題は何もありません。七十年の歳月が花々の色を和らげて、真正のアンティーク品ならではの優しい風合いを齎しています。
当店の商品は現金一括払い、ご来店時のクレジットカード払いのほか、現金の分割払い（二回、三回、六回、十回など。金利手数料無し）でもご購入いただけます。当店ではお客様のご希望に出来る限り柔軟に対応しております。ご遠慮なくご相談くださいませ。
本体価格 55,000円
電話 (078-855-2502) またはメール（procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp）にてご注文くださいませ。
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