ヨンガー・エ・ブレッソン 《ソミュール 手首に着けるミクロコスモス》 宇宙に同期する時計 真珠母貝文字盤 ステンレス・スティール製ケース 直径 36.5ミリメートル 新品



 ヨンガー・エ・ブレッソン(Yonger & Bresson)は 1975年にパリで商標登録され、現在はフランスのアンブル社(MONTRES AMBRE S.A.)が展開する時計ブランドです。本品はアンティーク品ではなく、当店がアンブル社から直輸入した新品で、ヨンガー・エ・ブレッソンが独自に開発した自社製オートマチック・ムーヴメント、アンブルMPB 1000(AMBRE MPB 1000)を搭載しています。ヨンガー・エ・ブレッソンは自社製ムーヴメントを搭載した機種にフランスの城の名前を付けており、本品はソミュールと名付けられています。





 時計内部の機械をムーヴメントといいます。またムーヴメントを保護する金属製の容器(時計の外側)をケースといいます。フランス語ではボワチエ(仏 boîtier)ですが、この商品説明では便宜上英語のケースを使います。本品のケースはステンレス・スティールでできています。丈夫で美しく、アレルギーも起こしにくいステンレス・スティールは、時計ケースの素材として優れています。





 ケース裏蓋はねじ込み式で、中央部分がガラス窓となっており、回転錘(かいてんすい ローター)の動作や、規則正しい天符(てんぷ)の振動を見ることができます。透かし彫りの回転錘にはヨンガー・エ・ブレッソンの王冠マークが彫られており、ローター真(回転錘の軸)の末端にも王冠を模(かたど)る装飾が見られます。





 裏蓋のベゼルにはファブリケ・アン・フランス(仏 FABRIQUÉ EN FRANCE フランス製)、エタンシュ・ア・サンク・バル(ÉTANCHE À CINQ BARS 五気圧防水、50メートル防水)、ヴェール・サフィール(仏 VERRE SAPHIR サファイアガラス)、トゥタシエ(仏 TOUT ACIER 鋼製ケース)の文字、及び本品の品番(YBD 8525)が刻まれています。

 ヴェール・サフィール(サファイアガラス)の表記は、本品の文字盤側の風防が普通のガラス(ミネラルガラス)ではなく、人工サファイアでできていることを表します。人工のサファイアは天然のサファイアと同じ物質で、モース硬度「九」と引っかきに対して非常に強く、めったなことで瑕(きず)がつきません。サファイア製風防は高価ですが、瑕がつかないのは大きな利点です。





 時計において時刻を表示する数字や目盛りを記した板状の部品を、文字盤(もじばん)または文字板(もじいた)といいます。本品の最大の特徴は文字盤が環状で中央部が大きく開いているために、ムーヴメントの主要部分の全体が時計の表側からもよく見えることです。本品は機械式時計のなかでもオートマチック(自動巻)とういう種類で、ムーヴメントの裏蓋側に大きな回転錘があります。

 機械式時計のムーヴメントはたいへん美しいですが、オートマチック(自動巻)のムーヴメントを裏蓋側から見ても、回転錘が邪魔になって複雑な機構がよく見えません。しかるに本品は文字盤の中央部が大き開いており、さらに地板と受けが透かし細工になっているので、機械式ムーヴメントの精妙な動きが回転錘に邪魔されることなく観察できます。

 なお本品の回転錘は透かし彫りが施されているために、ムーヴメントを鑑賞する邪魔になりません。回転錘としてきちんと機能しつつも美しさを犠牲にせず、表裏の両面からムーヴメントを鑑賞できるよう巧みに設計されています。





 本品の特徴であるリング状文字盤は、フランス語でナークル(仏 nacre)と呼ばれる螺鈿(らでん 真珠母の象嵌)でできています。白系統の螺鈿は写真に撮るのが難しく、実物が有する多色の輝きを再現できません。本品のリング状文字盤は、商品写真では単なる白にしか見えませんが、実物は真珠母(しんじゅも)が深みのある七色の輝きを放っています。

 文字盤の周囲十二か所にある長針五分ごと、短針一時間ごとのマークを、インデックスといいます。本品のインデックスは銀色のローマ数字を植字した立体インデックスです。大型懐中時計のローマ数字は教会の大時計を思わせ、時計に重厚な趣を与えますが、本品のインデックスは軽やかな細めのフォントを用いており、ふだん身に着けても違和感がありません。螺鈿の柔らかな光に重なる銀色のきらめきは、ムーヴメントの温かな金色と調和し、上品な華やぎを実現しています。





 リング状文字盤の最下部に、ファブリケ・アン・フランス(仏 FABRIQUÉ EN FRANCE フランス製)の文字があります。ヨンガー・エ・ブレッソンの王冠マークとブランド名、及びオトマティーク(仏 AUTOMATIQUE)の文字は、通常であれば文字盤上部に記されますが、本品では風防(サファイアガラス)の内側に印字されています。

 金色のムーヴメント上には、インデックスと同じ銀色の針が輝いています。時針と分針はダイヤモンド型(引き延ばした菱形)で、内側に白色の蓄光塗料が塗られています。秒針は長い側の反対方向にも少し伸びて、ヨンガー・エ・ブレッソンのシンボルである王冠が末端を飾っています。ブランドのシンボルをあしらった秒針は、現代の時計ならではの特徴です。





 クォーツ式(電池式)の時計はステップ運針といって、秒針が一秒ごとに間歇的に動きます。クォーツ時計を耳に当てると、一秒ごとに秒針を動かす音がチッ、チッ、チッ…と聞こえます。これに対して本品のような機械式(ぜんまい式)時計の秒針はスイープ運針(連続運針)といって、秒針は滑らかに動きます。本品を耳に当てると、機械式時計の密やかな鼓動がチクタクチクタクチクタク…と聞こえてきます。

 現代の時計は電池で動くクォーツ式が普通です。しかしながらクォーツ式時計は 1970年代以降に出現した品物で、それよりも以前の時計は電池ではなくぜんまいの力で動いていました、ぜんまいの力で動く時計を機械式時計、英語でメカニカル・ウォッチ(英 a mechanical watch)、フランス語でモントル・メカニーク(仏 une montre mécanique)といいます。本品は現代の品物ですが、珍しいことにクォーツ式ではなく、ぜんまいの力で動くモントル・メカニーク(機械式時計)です。

 ぜんまいは香箱と呼ばれる金属製の円筒に収納されており、通常は見ることができませんが、本品では香箱の中も見えています。上の写真でヨンガー・エ・ブレッソンの王冠マーク、ブランド名、オトマティークの表記の真下に、銀色の大きな部品が見えます。これが香箱で、内部には銀色の合金製ぜんまいが見えます。ぜんまいはS字状のリボンで10センチメートル以上の長さがありますが、ぐるぐると巻かれて香箱に収納されています。





 機械式時計には手巻式と自動巻式があります。時間を計る仕組みはどちらもまったく同じですが、自動巻きは回転錘(かいてんすい)という自由に動く錘(おもり)をムーヴメントに取り付け、その動きによってぜんまいが自動的に巻き上がるように工夫されています。本品はモントル・ア・ルモンタージュ・オトマティーク(仏 une montre à remontage automatique)、すなわち自動巻時計です。

 上の写真に写っているムーヴメントの右上に、金色の大きな輪が見えます。これは天符(てんぷ)といって、機械式時計で最も大切な部品です。天符は一方向に回るのではなく、振り子のように振動(往復運動すること)しています。機械式クロックが振り子で時間を測るのと同じように、機械式ウォッチは天符で時間を測ります。本品の天符は一時間あたり二万八千八百回の振動を正確に繰り返し、時を測っています。上に写真では天符の環状部分を支える腕がぶれて写っていますが、これは天符が静止せずに振動しているからです。





 本品のように良質の機械式時計は、ムーヴメントの摩耗してはいけない部分にルビーを使います。天符の中心をはじめ、ところどころに見える赤い石がルビーです。ルビーはたいへん硬い鉱物ですので、高級時計の部品として使用されます。外側から見えない部分も含めて、本品のムーヴメントには二十九個のルビーが使われています。ルビーの数は十七個あれば良いとされているので、二十九個は充分すぎるほどの数です。











 本品のバンドは革製で、ディプロイアント式(折り畳み式)尾錠が付いています。尾錠にはヨンガー・エ・ブレッソンのマークとロゴ、ファブリケ・アン・フランス(フランス製)、トゥタシエ(ステンレス・スティール製)の文字が刻まれています。ディプロイアント式尾錠はベルトの穴の位置を変えることにより、サイズを自由に調整できます。バンド幅は 18ミリメートルで、お好みにより他の色、他の素材の汎用バンドに変更することも可能です。バンドが傷んだ場合も簡単に取り替え可能ですのでご安心ください。またディプロイアント式尾錠が好みに合わない場合は、よりシンプルな汎用尾錠にも取り替えできます。







 着用例の上の写真は男性、下の写真は女性がモデルです。ヨンガー・エ・ブレッソンのアンブル社は本品を女性用時計と位置づけていますが、本品のサイズはケースの直径 36.5ミリメートル、厚さ 12ミリメートルで、男女ともにお使いいただけます。男性が使う場合も大きすぎず厚すぎないので、スーツ着用時にシャツの袖が引っかからずスマートに着用可能です。

 サンプル写真は黒のバンドを取り付けていますが、茶色、赤、白、青、緑など、他の色の汎用バンドにも無料で交換承ります。バンドは消耗品ですから、汎用バンドに替えても時計の価値が下がることはありません。




(上) 「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」 九月の挿絵 "Les Très Riches Heures du duc de Berry", vers 1440, musée Condé, Ms.65, f.9v


 本品のモデル名であるソミュール(Saumur ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏メーヌ=エ=ロワール県)は、ロワール河畔にあるフランス西部の町です。ロワール河はソミュール西郊でトウェ川と合流しますが、この合流点で優雅な姿を見せるシャトー・ド・ソミュール(仏 le Château de Saumur ソミュール城)は、「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」の九月の挿絵に描かれています。ソミュールはワインの名産地で、「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」九月のミニアチュール前景にも葡萄を収穫する様子が描かれています。国立乗馬学校があるソミュールはフランスにおける馬術競技の中心地でもあり、ココ・シャネルの出身地としても知られています。

 「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」において、ランブール兄弟は各月の上部に天体の運行を、下部に地上の情景を描きました。上に天体、下に地上を描いたのは、天体の運行が地上の出来事を支配すると考えたからです。アストロロジー(仏 astrologie 占星術)の語源であるギリシア語アストロロギア(希 ἀστρολογία)は「星の学」という意味ですが、中世以前の人々にとって天体の影響力は、現代人が考える物理的な力と全く同様に、地上の事物に作用するリアルな力でした。上に掲げた九月の挿絵で、葡萄が実るのも、女性が妊娠するのも、本を正せばすべて天界の影響によると考えたのです。

 近世の物理学者たちは天界と地上界が全く同じ物理法則に支配され、動いていることを明らかにしました。これにより天地の隔絶は解消され、上の挿絵上部に描かれていた天上界の文字盤を、地上の時計に再現する理論的根拠が与えられました。携帯用時計を最初に作ったのは、近世オランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンスです。機械式時計を動かすのは、巨大な天体を動かすのと同じ宇宙の力です。あたかもサーファーが波に乗るように、機械式時計は宇宙の力に波長を合わせ、天体と同期しつつ時を刻みます。大宇宙(マクロコスモス)に対して、人体はしばしばミクロコスモス(希 μικρόκοσμος 小宇宙)と呼ばれますが、機械式時計も大宇宙の再現であり、手首に着けるミクロコスモスに他なりません。


 金色と銀色に真珠色を加えた本品はたいへん美しく、手首に視線を惹き付けます。筆者(広川)を含め機械好き男性は、精妙に動作するムーヴメントに心をくすぐられますし、女性であれば螺鈿(真珠母)製の文字盤を真珠のジュエリーと組み合わせるのもおしゃれです。真珠母は真珠と同様に生命と再生の象徴です。他の機種でも書きましたが、筆者(広川)は清らかな真珠母から無原罪の御宿り(聖母マリア)を連想します。規則正しく振動する天符は機械式時計の心臓であり、その中心に嵌め込まれたルビーの赤は、時計の使い手を常に見守り給う聖母の愛を思わせます。

 当店の時計は現金一括払い、ご来店時のクレジットカード払いのほか、現金の分割払い(金利手数料無料)でもご購入いただけます。当店ではお客様のご希望に出来る限り柔軟に対応しております。遠慮なくご相談くださいませ。





79,000円 税込み

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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