エミール・ドロプシ作 打ち出し細工によるアール・ヌーヴォーのオラトワール 白百合の童貞マリア
70.6 x 66.2 mm
フランス 1900年頃
19世紀末あるいは20世紀初頭、アール・ヌーヴォーが最も華やかであった時代のフランスで製作された聖母マリアのオラトワール。銀めっきを施したブロンズの板に、打ち出し技法によって童貞マリアの横顔を表現しています。オラトワールの背面に折り畳み式の脚が付いており、これを展開して自立させることができます。自立時はしっかりと安定しています。
オラトワールに表されている年若きマリアは、しっかりと目を見開いて斜め上を見上げ、優しく微笑んでいます。天使ガブリエルに受胎を告知されて「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と答え、すべてを神に委ねた少女の信仰を、口許の微笑みが証ししています。通常のメダイよりも大きなサイズであるだけに、マリアの横顔には生身の女性のような存在感があります。マリアの横顔を囲むように、ラテン語で「童貞マリア」(VIRGO MARIA) と書かれています。
オラトワールを左右非対称に縁取るアール・ヌーヴォー様式の百合には、世紀末のヨーロッパを席捲した日本美術の影響が色濃くうかがえます。百合は純潔の象徴であり、「童貞マリア」にふさわしい清らかな花です。旧約聖書の恋の歌、「雅歌」2:2にある次の聖句により、百合は神に選ばれた女性マリアの象徴とされています。
Sicut lilium inter spinas, sic amica mea inter filias. (Nova Vulgata) おとめたちの中にいるわたしの恋人は 茨の中に咲きいでたゆりの花。
(新共同訳)
このオラトワールは、高名な彫刻家ジャン=バティスト・エミール・ドロプシ (Jean-Baptiste Emile Dropsy, 1848
- 1923) の作品で、"VIRGO" の後ろに彫刻家のサイン (E. Dropsy) があります。
本品は百年以上前のフランスで制作された古い品物ですが、保存状態は良好で、特筆すべき疵(きず)、歪(ゆが)み、凹(へこ)み等は一切ありません。表面の銀めっきが部分的に剥がれて、真正のアンティーク品ならではの趣(おもむき)を醸しています。
本体価格 18,900円 販売終了 SOLD
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