繊細な透かし細工が美しい聖母マリアのメダイ。
メダイの表(おもて)面は、19世紀のフランスで愛好され、額や鏡に採用されたクラシカルな楕円形の画面に、すらりと美しい聖母の立ち姿を浮き彫りにしています。聖母は右腕にロザリオを掛け、胸の前に両手を合わせて天を仰いでいます。これは
1858年3月25日、16度目の出現の際に、ルルドの聖母(ノートル=ダム・ド・ルルド)が少女ベルナデットに名前を問われて、「わたしは無原罪の御宿りです。」(Je suis l'Immaculée Conception.) と答えたときの様子を写しています。
楕円の枠は、聖母の象徴である百合を取り入れた植物モティーフの装飾に囲まれています。百合が聖母を象徴するのは、次に示す「雅歌」2:2のテキストによります。
Sicut lilium inter spinas, sic amica mea inter filias. (Nova Vulgata) おとめたちの中にいるわたしの恋人は 茨の中に咲きいでたゆりの花。(新共同訳)
上部の環に、フランスのメダイ工房のマークがあります。
メダイの裏面には、ルルドの聖母(ノートル=ダム・ド・ルルド)のモノグラム "ND de L" が美麗な字体で浮き彫りにされています。モノグラムはフルール・ド・リス(百合文あるいはアヤメ文)の冠を戴いています。
メダイは突出部分が軽く摩耗している程度です。およそ百年も前に制作されたものとしては、十分に良好なコンディションです。