フランスの守護聖女、リジューの聖テレーズ(テレジア)の肖像を中央に配した三角形の美麗メダイ。
テレーズの浮き彫りに紫色のガラスを掛けて「エマイユ・シュル・バス・タイユ」とし、金色の地金に青色ガラスを掛けた「エマイユ・シャンルヴェ」で囲んでいます。カルメル会の修道衣をまとったテレーズは、クルシフィクスと薔薇を胸に抱き、柔和な微笑みを浮かべています。浮き彫りの周囲には、フランス語で「幼きイエズスの聖テレジア」(Sainte
Thérèse de l’Enfant-Jésus) と記されています。
上部の環には800シルバーを示すフランスのホールマーク、「イノシシの頭」が刻印されており、銀に金めっきを施した「ヴェルメイユ」(vermeil)
製であることがわかります。
異なる形と色を組み合わせた本品のデザインは、見た目が美しいだけでなく、象徴性に富んでいます。すなわちメダイ全体のシルエットは三角形ですが、三角形はいうまでもなく三位一体の象徴です。テレーズの小メダイは円形ですが、円は天国の象徴です。青と金は天国の象徴です。紫あるいはすみれ色は慎みと謙譲の象徴です。またテレーズが持っている薔薇は、愛の象徴に他なりません。したがってこのメダイのデザインは、テレーズが「愛と謙譲の徳によって天国に上げられ、三位一体の神に祝福されている」ことを象徴的に表しています。
なお青はフランスの色でもあります。本品は第二次世界大戦前後の時期にフランスで制作されたものであり、エマイユの青にはフランスのために祈る気持ちが籠められています。
本品には真正のヴィンテージ品ならではの味わいがありますが、保存状態はきわめて良好です。エマイユのガラスに剥落や破損は無く、ヴェルメイユの金も磨滅していません。