数十年前のフランスで制作された「聖マドレーヌ」(マグダラのマリア)の美麗なメダイ。数十年前のフランスで制作された真正のヴィンテージ品で、片面のみに浮き彫りが施されています。
マグダラのマリアは粗衣を着、髪は束ねることもなく無造作に伸ばしていますが、多くの男性たちを虜にした魅力に変わりは無く、美しく整った横顔を見せています。マリアの前には粗末な十字架、開かれた祈祷書、人生の儚さを表す髑髏(頭蓋骨)が置かれています。マリアの前方、向かって右側の橋には、マリアの住処となったラ・サント・ボーム(la
Sainte Baume プロヴァンスのフランス語で「聖なる洞窟」)の出入り口が見えています。
メダイ下部に「リヨンのペナン」(Penin à Lyon) とあるのは、メダイユ彫刻家のサインです。
当店はリュドヴィク・ペナン (Ludovic Penin, 1830 - 1868) による19世紀のメダイを多く取り扱っていますが、リュドヴィク・ペナンによるオリジナルの浮き彫りは、人物の姿勢や表情が、現代人の感覚から見れば、古典的で素朴に感じられる作風です。
(下・参考画像) リュドヴィク・ペナン作 「罪無くして宿り給へる至福なる童貞マリア信心会」 美術品レベルのブロンズ製大型メダイユ フランス 1850
- 60年代 当店の商品です。
(下・参考画像) リュドヴィク・ペナン作 「いと尊きロザリオの信心会」 聖母子からロザリオを受ける聖ドミニコとシエナの聖カタリナ 重厚な大型メダイ ブロンズ製 直径 32.7
mm フランス 1850 - 60年代 当店の商品です。
(下・参考画像) リュドヴィク・ペナン作 ブロンズの小型メダイユ 竪琴を弾く聖セシリア オリジナルの箱入り 直径 32.6 mm 厚さ 最大 2.8 mm フランス 1860年頃 当店の商品です。
早逝の芸術家リュドヴィク・ペナンは1870年代からアール・ヌーヴォーに至る時代を知らずに亡くなったわけですが、リュドヴィク・ペナンの作品は、三歳年上の同郷の芸術家ジャン=バティスト・ポンセ
(Jean-Baptiste Poncet, 1827 - 1901) の手によっていわば「現代化」され、1870年代以降においても愛され続けました。ジャン=バティスト・ポンセは画家でもあり、メダイユ彫刻家でもある人で、ペナンに比べて都会風に洗練された典雅な作風が特徴です。ペナンの没後にポンセが手を加えて「現代化」した作品は、信心具としてのメダイによく見られ、"PENIN
PONCET", "P P LYON" 等、ふたりの名前が併記されています。
(下・参考画像) リュドヴィク・ペナン、ジャン・バティスト・ポンセ作 上智の座の美しき聖母 直径 25.5 mm 重量 6.4 g フランス 1900年頃 当店の商品です。
(下・参考画像) リュドヴィク・ペナン、ジャン・バティスト・ポンセ作 幼子イエズスの接吻を受ける聖アントワーヌ 直径 18.2 mm フランス 1920年代 当店の商品です。
しかるに本品の作風は、リュドヴィク・ペナンのオリジナルに比べると現代的である一方、ジャン=バティスト・ポンセのサインは刻まれていません。したがって本品は、リュドヴィク・ペナンの孫であるアドルフ・ペナン
(Adolphe Penin, 1888 - 1985) の作品であろうと思われます。
(下・参考画像) アドルフ・ペナン作 教皇ピウス 11世とロザリオの聖母 ルルドの御出現 75周年記念 フランス 1933年 当店の商品です。
(下・参考画像) アドルフ・ペナン作 「1935年 ルルドにおける復活祭のメダイ」 キリストの平和 ルルドの聖母 教皇ピウス11世 直径 30.5 mm フランス 1935年 当店の商品です。
このメダイは1930 - 40年代頃のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、たいへん良好な保存状態です。浮き彫りの突出部分にも磨滅は無く、制作当時のままの状態で残っています。