稀少品 リュドヴィク・ペナン作 ブロンズの小型メダイユ 竪琴を弾く聖セシリア オリジナルの箱入り
メダイユの直径 32.6 mm 厚さ 最大 2.8 mm
フランス 1860年頃
19世紀前半以来、四世代にわたってメダイユ彫刻家を輩出したリヨンのペナン家の一員であるリュドヴィク・ペナン (Ludovic Penin,
1830 - 1868) のメダイユ。リュドヴィク・ペナンは豊かな才能を認められ、弱冠34歳であった1864年、当時の教皇ピウス9世により、カトリック教会の公式メダイユ彫刻家
(graveur pontifical) に任じられましたが、惜しくもその4年後に亡くなってしまった早逝の芸術家です。
メダイユの表(おもて)面には、古代風の寛衣を身に着けて竪琴を奏でる聖セシリアが浮き彫りにされています。聖セシリア、ラテン語で聖カエキリアは、古代教会時代に殉教した若い女性で、その殉教伝は5世紀中頃にまで起源を遡ることができます。以下に述べる事情のため、聖セシリアは中世になって音楽の守護聖人と考えられるようになりました。
聖セシリアの祝日は11月22日ですが、この日に修道院で行われる聖務日課(定時の祈り)のうち、朝課(午前3時の祈り)の際に、次の一節が唱えられます。
CANTANTIBUS ORGANIS CAECILIA VIRGO IN CORDE SUO SOLI DOMINO DECANTABAT
DICENS, FIAT, DOMINE, COR MEUM ET CORPUS MEUM IMMACULATUM, UT NON CONFUNDAR.
オルガンが鳴り響く中、おとめカエキリアは心の中で主にのみ向かって祈り、次のように言った。主よ。私の魂と体を汚れ無きものとしてください。私が恥を見ることが無いように。
14世紀になると、聖セシリアはオルガンと共に描かれるようになりますが、これは上記の聖務日課の一節が誤解されて、聖セシリア自身がオルガニストであったと考えられたためではないかと推測されています。
【下・参考画像】 Carlo Dolci, St Cecilia at the Organ, 1671, oil on canvas, 96,5 x 81 cm,
Gemaldegalerie, Dresden
上記の祈りに含まれる "CANTANTIBUS ORGANIS" という表現は、ラテン語文法で絶対的奪格と呼ばれるもので、近代語の分詞構文にあたり、たとえば英訳すると
"organs singing" あるいは "with the organs singing" の意味です。オルガンを演奏しているのが聖セシリアとは限らないのですが、視覚に訴える美術が文字よりも格段に有力であった中世において、誤解に基づく作品がいったん制作されると、聖セシリアが音楽の守護聖人になるのは、半ば必然の成り行きでした。
【下】 足許にリュラを描いた聖セシリアのアンティーク小聖画。19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスで制作されたもの。当店の商品です。
このメダイユにおいても聖セシリアは竪琴を奏で、聖女の前ではひとりのプット(有翼の童子)が神への賛歌を歌っています。メダイユの最下部には「リヨンのリュドヴィク・ペナン」(L.
PENIN A LYON) と刻まれています。
【下・参考画像】 ジャン・バティスト・ポンセ (Jean-Baptiste Poncet, 1827 - 1901) との共作による聖セシリアのメダイ。当店の商品です。
メダイユの裏面にはオリーヴが浮き彫りで表され、フランス語で「音楽コンクール」(CONCOUR MUSICAL) と記されています。古代ギリシア・ローマ以来、オリーヴは勝利と栄誉の象徴であり、フランスのメダイユによくあしらわれます。
たいへん珍しいことに、このメダイユはオリジナルの小箱に入っています。箱も概ね良好な保存状態ですが、メダイユは箱に入ったまま保存されていたせいで、およそ百五十年も前のものであるにもかかわらず、制作当時のままの状態です。ご希望により、別料金にてメダイユを額装いたします。額装料金は使用する額によって異なります。
メダイユの価格 37,800円 (税込・額装別)
電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。
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