およそ百年前のフランスで制作されたスカプラリオのメダイ。指先に乗る小さなサイズの画面に、信じ難いほど細かい浮き彫りが施されています。
メダイの一方の面には、イエズス・キリストの上半身を浮き彫りにしています。十字架のある後光を戴いたキリストは、愛に燃える聖心を指し示し、右手を差し出して罪びとを招いています。両手にある生々しい傷は、受難の際の釘によるものです。茨に巻きつかれて血を流すイエズスの聖心は、あまりにも激しい愛ゆえに、炎を噴き上げて燃えています。聖心から発出するまばゆい光は、神の愛と智恵、すなわち神そのものの象徴です。
彫刻家の署名はありませんが、このイエズス像は、第一次世界大戦頃を中心に活躍したフランスの彫刻家、エルンスト・レヴィヨン (Ernest Révillon)
の作品です。
(下) エルンスト・レヴィヨンによる「聖心と聖マルグリット=マリ」の大型メダイ。直径 5.2 mm 当店の商品です。
本品は直径1センtメートル足らずの小さなメダイですが、イエズス像の出来栄えは大型メダイに劣らず、その精緻さに驚かされます。下の写真は実物の面積を
150倍に拡大しています。定規のひと目盛りは1ミリメートルです。イエズスの顔は目、鼻、口、ひげなど、各部分が正確に彫られ、整った顔立ちですが、顔全体のサイズは2
x 1ミリメートルほどしかありません。手の形も美しく、一本一本の指と関節、掌(てのひら)の肉月も正確に再現されていますが、手のサイズも1ミリメートルほどです。
もう一方の面にはカルメル山の聖母が聖サイモン・ストックに出現する場面が浮き彫りにされています。跪く聖人の前に現れた聖母子は、肩布と茶色のスカプラリオを聖人に授けています。メダイの下部に、製造国を表す「フランス」(FRANCE)
の文字が見えます。
下の写真は実物の面積を 120倍に拡大しています。定規のひと目盛りは1ミリメートルです。こちらの面の浮き彫りはもう一方の面よりもさらに細かく、聖母、幼子、聖人の顔がいずれも1ミリメートル未満のサイズで制作されています。このような極小サイズにもかかわらず、聖母子は慈愛の表情を、聖人は敬虔の表情を浮かべています。
本品は約 90年前にフランスで制作された真正のアンティーク品です。商品写真は実物を 120~ 150倍の面積に拡大しているために、メダイ表面の磨耗が判別可能ですが、実物を肉眼で見ると充分に美しい保存状態です。