


一方の面にはイエズスとその聖心、もう一方の面には聖母とその聖心を、それぞれ肉厚の浮き彫りで表したブロンズ製メダイ。本品の浮き彫りは立体的であるうえに、メダイ自体のサイズも大きめで全体的に厚みがあり、手に取ると心地よい重量感があります。

一方の面には衣を開いて聖心を示すキリストを浮き彫りにしています。上部に十字架を突き立てられ、茨に取り巻かれた聖心は、人知を絶する愛の激しさゆえに炎を噴き上げ、まばゆい光を放っています。聖心を指し示す手の釘孔が、なんと痛々しいことでしょうか。イエズスの周囲にはラテン語で次の言葉が書かれています。
DILEXIT ME ET TRADIDIT SE. イエズスわれを愛し給ひて、身を捧げ給へり。
これは「ガラテヤ書」 2章20節の引用です。ラテン語をヴルガタ訳、日本語を新共同訳で引用します。
| vivo autem iam non ego vivit vero in me Christus quod autem nunc vivo in carne in fide vivo Filii Dei qui dilexit me et tradidit se ipsum pro me | 生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです。わたしが今、肉において生きているのは、わたしを愛し、わたしのために身を捧げられた神の子に対する信仰によるものです。 |

もう一方の面にはマーテル・ドローローサ(MATER DOLOROSA 悲しみの聖母)が、やはり肉厚の浮き彫りで表されています。聖母はヴェールを深くかぶり、目を閉じて悲しみに沈んでいます。聖母の胸の「汚れなき御心」は剣に貫かれつつも信仰を失わず、神とpイエズスに対する愛の炎を噴き上げて燃えています。聖母の周囲にはラテン語で次の言葉が書かれています。
IBI DOLORES UT PARTURIENTIS その悲しみは、母の悲しみ。
これはヴルガタ訳「詩編」 47編 7節の引用で、現行の聖書では 48編 7節に当たります。
tremor adprehendit eos ibi dolores ut parturientis そのとき彼らを捕えたおののきは、産みの苦しみをする女のもだえ。(新共同訳)
ラテン語 "IBI DOLORES [ERANT] UT PAETURIENTIS" を直訳すると「そこでの悲しみ(あるいは苦しみ)は、子を産んだ人としてのそれ(悲しみ、苦しみ)[であった]」という意味です。「悲しみ(あるいは苦しみ
DOLORES)」は複数形で、本品においては「聖母の七つの悲しみ」を指しています。

本品は百年以上前、19世紀のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、特筆すべき問題の無い良好な保存状態です。大きめのサイズゆえ、男性にもお使いいただけます。