赤色エマイユが可視化する愛の光 プラハの幼子イエス 珍しい人像型メダイ 20.0 x 12.0 mm


突出部分を含むサイズ 縦 20.0 x 横 12.0 mm

イタリア  1940 - 50年代



 冠とマントに赤色のエマイユ・シャンルヴェを施したプラハの幼子イエスのメダイ。





 プラハの幼子イエスは、王権を象徴する冠とマントを身に着けています。幼子が左手に持つグロブス・クルーキゲルも、王が有する支配権の象徴です。しかるに本品において、幼子の冠とマントには赤色のエマイユが施されています。キリスト教の伝統的象徴体系において、赤は愛を象徴します。それゆえ赤色エマイユを施した冠とマントは、イエスの王位が何よりもまず愛によって特徴づけられることを示します。また本品におけるエマイユの透明性は、イエスが光であることを表しています。すなわち「ヨハネによる福音書」一章はイエスについて、「言(ことば)の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった」(四、五節)、「その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである」(九節)と語っています。それゆえ赤色の透明エマイユは、救い主の愛がすべての人を照らすことを表しています。

 光は照らされる者に浸透して熱を伝え、その魂に着火します。しかるに古代ギリシア以来の四元素において、火は上方に向かう本性を有すると考えられました。中世ヨーロッパにおいて、火が有する上方への運動性は、神へと向かう愛の本性に結び付けられます。トマス・アクィナスは「スンマ・テオロギアエ」第1部108問5項 「天使たちの位階には適切な名が付けられているか」("Utrum ordines angelorum convenienter nominentur.") において。偽ディオニシウスの「天上位階論」を引用しつつセラフ(熾天使)の属性を論じ、火が神に向かう愛の可視化に他ならないことを示しています。




(上) 愛の矢に心臓を貫かれるアビラの聖テレサ Gian Lorenzo Bernini, "L'Estasi di santa Teresa d'Avila", 1647 - 1652, marmo, 350 cm, la Capella Cornaro, Chiesa di Santa Maria della Vittoria, Roma

 プラハのカルメル会にある幼子イエス像は、スペインからボヘミアに嫁いだ貴婦人の母が、アビラの聖テレサ(イエスの聖テレサ Santa Teresa de Ávila/Jesús, 1515 - 1582)から与えられたものであると伝承されています。アビラの聖テレサは神の愛に貫かれ、神への愛に生きた聖女です。しかるに十五世紀から十七世紀にかけてのヨーロッパは宗教戦争の時代で、いずれも愛の宗教であるはずのカトリックとプロテスタントが血を血で洗う戦闘を繰り返しました。ヤン・フスが出たボヘミアは宗教の争いが猖獗を極めた地の一つで、この幼子イエス像も数度にわたって損壊されました。本品の幼子イエス像は高さ十七ミリメートルほどの小品ですが、清澄な赤に輝く王冠とマントのエマイユは、正義ではなく愛と赦しこそが人の世を照らす光であることを、人為的境界線を超えた象徴言語によって可視化しています。





 裏面には聖心すなわち救い主の心臓が打刻されています。心臓は全身を賦活する生命の座であり、ミクロコスモスの太陽に当たります。しかるに心臓は愛の座でもあります。それゆえ人に生命を与える源は、宗教戦争が追求した正義では決してなく、むしろ愛に他ならないことがわかります。茨の冠に取り巻かれつつ、愛の火を噴き上げるキリストの聖心は、正義のためではなく愛のために血を流しています。





 本品は数十年前のイタリアで制作された真正のアンティーク品です。表裏の浮き彫りは打刻によりますが、赤色ガラスのフリットを小さなくぼみに正確に置き、高温の窯で焼成したエマイユ・シャンルヴェは、熟練した職人が手間をかけて制作しており、小さいながらも美術工芸品と呼ぶに値します。人像を模る珍しい形状ですが、サイズはごく控えめであり、ペンダントとして日々ご愛用いただけます。





本体価格 7,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




プラハの幼子イエスのメダイ 商品種別表示インデックスに戻る

イエス・キリストと聖霊のメダイ 一覧表示インデックスに戻る


イエス・キリストと聖霊のメダイ 商品種別表示インデックスに移動する

メダイ 商品種別表示インデックスに移動する


キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS