フランス救国の聖女ジャンヌ・ダルク (Ste. Jeanne d'Arc, 1412 - 1431) は、1909年4月18日、教皇ピウス十世により、パリ司教座聖堂ノートル=ダム(ノートル=ダム・ド・パリ)で列福されました。本品はジャンヌ列福を記念し、アルミニウムを用いて制作されたメダイで、一方の面にジャンヌを、もう一方の面にピウス十世を、それぞれ浮き彫りにしています。
メダイの表(おもて)面には、甲冑を着て軍旗を背景にしたジャンヌの横顔を浮き彫りにし、「ベアータ・ヨーアンナ・デー・アルク」(BEATA JOANNA
DE ARC ラテン語で「福者ジャンヌ・ダルク」)の文字で囲みます。ジャンヌがしっかりと見据える視線の先には、神と救い主だけが見えています。
上の写真に写っている定規のひと目盛は一ミリメートルです。本品は突出部分が幾分磨滅していますが、ジャンヌの顔は目鼻立ちが細部まで判別できるばかりか、その横顔には不可視の信仰が強くはっきりと現れています。
メダイのもう一方の面には、ジャンヌを列福した教皇の横顔を浮き彫りにしています。メダイの上部には教皇杖(先端に三重十字が付いた杖)と司教杖(先端が曲がった杖)が交差した上に、ローマ司教のミトラ(司教帽)が置かれ、ふたつの年号(1884年と
1909年)が刻まれています。1884年は後にピウス十世となるジュゼッペ・メルキオッレ・サルト師が、司教職に叙せられた年です。1909年は師が司教職に叙せられた二十五周年です。師はこの年に教皇としてジャンヌを列福しました。したがって
1909年はこの記念メダイが作られた年でもあります。教皇像を囲むように、次の言葉がラテン語で刻まれています。
IN PIAM MEMORIAM JUBILAEI XXV EPISCOPATUS PII PAPAE X 教皇ピウス十世の司教職二十五周年を、神に感謝しつつ記念して。
この銘が書かれた帯の外側には、メダイを縁取るように、教皇の前方にはシェーヌ(樫、ブナ)が、後方には月桂樹が、それぞれ刻まれています。シェーヌも月桂樹もメダイユ彫刻によく見られる樹木です。このメダイにおいて、シェーヌは信仰に基づく力強さを、月桂樹は不滅の信仰と教会の勝利を象徴しています。
上の写真に写っている定規のひと目盛は一ミリメートルです。突出部分の磨滅にもかかわらず、前を見据える教皇の表情には、カトリック教会を率いる強い意思が読み取れます。
ピウス十世は十九世紀から二十世紀初めのヨーロッパを席捲した近代主義に抗(あらが)い、保守的な教皇として知られます。ピウス十世は第一次世界大戦の勃発にショックを受けて体調を崩し、そのまま亡くなりました。第一次大戦の勃発は、フランスにおけるベル・エポックの終焉を告げ、「現代」の始まりを告げる出来事でもありました。このメダイは近代と現代の狭間に生まれた作例であるといえます。
本品が制作された 1909年において、アルミニウムは貴金属ではないにしても、あまり使われることがない一種特別な金属でした。アルミニウムの生産量が増え始めるのは、第一次大戦期以降のことです。
拡大写真では突出部分の磨滅がよく判別できますが、肉眼で実物を見ると十分に綺麗な保存状態です。
本体価格 3,800円 販売終了 SOLD
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