1930 - 40年代のイタリアで制作された5連のロザリオ。十字架の裏面に「イタリア」(ITALY) の刻印があります。
クルシフィクスは銀メッキを施したブロンズ製です。キリストの頭にあるはずの荊の冠が大きな後光の形で表現され、ケルト十字のように見えます。ローマ兵がキリストを嘲弄して被せた荊の冠が、神の栄光を表す後光として表現されているのは、デザインの失敗でも偶然でもなく、三位一体の第二の位格である神のひとり子キリストが磔刑によって死ぬという最も考え難い方法で、救世が成し遂げられ、神の栄光が現されたことを示します。
センター・メダルもクルシフィクスと同じ素材で、一方の面に聖マルグリット=マリ (Marguerite-Marie Alacoque, 1647 - 1690)、もう一方の面に聖心を示すイエズス・キリストを浮き彫りにします。
ビーズは通常の59個で、微妙な色むらがあるピンクの美しいガラスでできています。ビーズのひとつひとつには、前後に金属製の小さなリングが取り付けられて、ワイア断面との接触・摩擦による瑕(きず)を防止しています。このガラス・ビーズには多数の微粒子が内包されていて、その屈折率がガラスとは異なっているために、オーソクレーズのアデュラレセンス、あるいはシルバー・オブシディアンのシラー (schiller, sheen) に似た底光りするような輝きを放ちます。コンク・パールとも似ています。
クールのすぐ下のビーズが無くなっていたので、赤いアゲート(メノウ)で置き換えました。アゲートは本物で、たいへん美しい色に染められています。赤は愛を象徴する色であり、イエズスがマルグリット=マリに示し給うた聖心から滴り落ちる血のようにも見えます。
本品は古いロザリオであるにもかかわらず、たいへん良好なコンディションです。金属部分にもガラス・ビーズにも破損はまったくありません。