とても小さな美麗メダイ リジューの聖テレーズ 「私は天から薔薇の雨を降らせましょう」 直径 11.2 mm


突出部分を除く直径 11.2 mm

フランス  1930年代頃



 1920年代後半から1930年代頃にフランスで制作された幼きイエズスの聖テレジア(リジューの聖テレーズ)のメダイ。本品は直径 11.2ミリメートルという小さなサイズながら、その仕上がりはたいへん美しく、メダイユの国フランスの実力をまさに見せつける作例となっています。





 表(おもて)面は、直径1センチメートルあまりの円形画面に、たいへん精巧で繊細なミニアチュール彫刻によって、リジューの聖テレーズの上半身を浮き彫りにしています。テレーズはカルメル会の修道女の服装、すなわち茶色の修道衣、薄茶色のマント、白のウィンプル、黒の頭巾を身に着け、眼差しを真っ直ぐに神へと向けています。聖女は薔薇が咲きこぼれるクシフィクスを胸に抱いていますが、その様子はあたかも幼子を抱くかのように愛しげで、、聖女の口許には微笑みが浮かんでいます。

 薔薇は愛の象徴です。クルシフィクスを包む薔薇は、十字架上の受難において極点に達し、聖女の魂に照り映える神の愛の形象化であると同時に、あたかも力学的な反作用のように、聖女の魂のうちに芽生え、実を結んで神へと向かう愛の形象化でもあります。


 テレーズを囲むように、ラテン語で「幼きイエズスの聖テレジア」(SANCTA TERESIA A JESU INFANTE) と記されています。また上部の環には「フランス」(FRANCE) の文字が確認できます。





 上の写真は実物の面積を 150倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。テレーズの顔の高さはおよそ 2ミリメートル、手指の長さは 1ミリメートル、指の太さは 0.1ミリメートルほどですが、聖女の顔立ちは美しく整い、ほっそりとした指や手の形も、大型の彫刻作品に劣らず、全く自然です。

 フランスはメダイユ彫刻が極度に発達した国です。本品を制作したメダイユ彫刻家は超絶技巧とも呼べる技術の持ち主ですが、このような作品が生まれる背景には、美術メダイユ制作におけるフランスならではの伝統があります。本品は美術品というよりも信心具としての性格が強いメダイですが、その背景には美術メダイユの伝統が確固として存在しています。


 なお薔薇の花が咲きこぼれるクルシフィクスを抱く姿は、テレーズ像の典型的な表現です。厳律シトー会の修道士マリ=ベルナール (Fr. Marie-Bernard, 1883 - 1975) はテレーズ像の連作で知られますが、この図像に基づく彫刻作品を制作し、1922年に完成させています。マリ=ベルナール師の作品は、リジューのカルメル会修道院に所蔵されています。





 裏面には天から地上に降り注ぐ薔薇の花々と、跣足カルメル会の紋章の一部があしらわれています。周囲にはテレーズ自身による次の言葉がラテン語で記されています。

  ROSARUM IMBREM E COELO EFFUNDAM.  私は天から薔薇の雨を降らせましょう。





 上の写真は実物の面積を 150倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。天から降る薔薇の花々はいずれも丁寧かつ正確に造形されていますが、メダイの実物において、それぞれの花の直径は 0.3ミリメートルほどに過ぎません。またこの面の浮き彫りには雲が表されていますが、色彩を使用できない彫刻において、雲のように不定形なものの輪郭をぼかして表現するのは至難の業です。しかしながら本品を制作したメダイユ彫刻家は驚くべき正確さでこの仕事を成し遂げ、サインを残していません。





 リジューの聖テレーズは 1925年に列聖されました。本品はテレーズの列聖から間もない頃に制作されたものと考えられますが、古い年代にもかかわらず、非常に良好なコンディションです。図柄は両面ともまったく摩耗しておらず、細部まではっきりと判別できます。





本体価格 4,800円 販売終了 SOLD

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