聖テレジアとバシリカ 《燃え上がる愛の薔薇 リジュー巡礼のメダイヨン 14 x 12 x 4 mm》 フランス 1954 - 60年頃


自然に吊り下げたときの、突出部分を含む縦横のサイズ 14 x 12 mm

最大の厚み 4 mm



 薔薇を模ったメダイヨン型メダイ。フランス語メダイヨン(仏 un médaillon)は、ロケット(英 a locket)すなわち小さな絵や写真を入れるペンダントのことです。本品をスライドさせて現れる内側には、一方の楕円形画面にリジューの聖テレーズを、もう一方の円形画面にリジューのバシリカを、それぞれ浮き彫りにしています。ペンダントを閉じた裏面には、フランス語で「リジュー巡礼記念」(仏 Souvenir de Lisieux)の文字が流麗な字体で彫られています。





 本品の薔薇は八重咲ですが、イバラなどの野生種に見られるように、薔薇は本来五枚の花弁を有します。薔薇の色が赤である場合、五枚の赤い花弁は主の五つの御傷、すなわちキリストが十字架に架かり給うた際に受けた両手両足と脇腹の傷を連想させます。しかるに主の五つの御傷は、神の愛の表れです。したがって薔薇はキリスト教的愛(カリタース)を象徴します。

 上の写真に写っている浮き彫りにおいて、クルシフィクスを抱くテレーズの胸には薔薇の花々が咲きこぼれています。この薔薇はクルシフィクスに発する神とキリストの愛を象るとともに、神とキリストの愛に点火され、神とキリストに向かって燃え上がるテレーズの愛をも象徴しています。

 本品には彫られていませんが、テレーズは「私は天から薔薇の雨を降らせましょう」という有名な言葉を遺しました。これは第一に神とキリストに向かうテレーズの愛が、いわば神とキリストに寄り添って、地上に住む人々にも降り注ぐことを意味します。本品が模る写実的な薔薇は、神の愛が火となって燃え移り、いわば神とともに燃える修道女テレーズの愛を可視化しています。





 メダイヨンを開いて現れるもう一つの小画面には、リジューのバシリカが浮き彫りにされています。このバシリカは 1929年9月30日に建設が始まり、第二次世界大戦を挟んで 1954年7月11日に完成しました。 本品の制作年代は聖テレーズのバシリカが完成した 1950年代後半頃、すなわち第ニ次世界大戦の終結後間もない時期です。第二次世界大戦期、フランスは実質的にドイツの支配下にありました。憎しみが支配した第二次世界大戦が終わると、ドイツがフランスから撤退し、ヴィシー政権も倒れて、フランスは政治的統一を取り戻しましたが、フランス国民の間では、ドイツに協力的であった人とそうでなかった人の間に相変わらず憎しみと分裂がありました。

 愛の薔薇を模るとともに、小さき花聖テレーズを浮き彫り彫刻で表した本品メダイには、フランスの守護聖人であるリジューのテレーズに戦争をくぐり抜けて再生したフランスへの加護を祈るとともに、憎しみではなく愛が支配する社会が再び復活するようにと願う気持ちが籠められています。





 上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。







 本品は 六十年あまり前に制作されたメダイですが、保存状態は極めて良好です。特筆すべき瑕疵(かし 欠点)は何もありません。薔薇の彫刻は立体的で美しく、日々愛用しやすい小ぶりのサイズです。購入いただいた方にご満足いただける美しい品物です。





本体価格 9,500円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




リジューの聖テレーズ(幼きイエズスの聖テレジア)のメダイ 商品種別インデックスに戻る

諸聖人と天使のメダイ 一覧表示インデックスに戻る


諸聖人と天使のメダイ 商品種別表示インデックスに移動する

メダイ 商品種別表示インデックスに移動する


キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS