この者、多くの罪を赦されたり 荒地で祈るマグダラのマリア 直径 17.7 mm


突出部分を除く直径 17.7 mm

フランス  19世紀末または20世紀初頭



 敷物も敷かずにひとり荒野にすわり、顔を斜め上に向けて天を仰ぐマグダラのマリアのメダイ。





 マリアは粗衣を着て、腰の部分をベルト代わりの荒縄で括っています。豊かな髪はほどかれて、聖女の体を覆っています。聖女の前には祈祷書が開かれ、膝の前にはメメントー・モリー(Memento mori. 死を覚えよ)の象徴である髑髏(どくろ)が置かれています。これらはいずれも聖女の象徴としてマグダラのマリアの図像に描き込まれる品々です。


【下・参考画像】 Georges de La Tour, The Repentant Magdalen, 1635 - 1640, oil on canvas, 113 x 92.7 cm, National Gallery of Art, Washington D.C.




 メダイの縁に沿って、次の言葉がフランス語で記されています。

  Ste Marie-Madeleine, priez pour nous.  聖マリ=マドレーヌよ、我らのために祈りたまえ。

 表(おもて)面下端にメダイ彫刻家コナンのサイン (A. CONIN) があります。





 メダイの裏面は中央部分に次のフランス語が記されています。

  Souvenir de la Sainte Baume  ラ=サント=ボーム巡礼記念

 これを取り巻くように、次の言葉がラテン語で記されています。

  DIMISSA SUNT EI PECCATA MULTA  この者、多くの罪を赦されたり。

 これはルカによる福音書7章36節から50節に書かれている出来事に基づく言葉です。新約聖書時代のイスラエル社会では、ファリサイ派(パリサイ人)と呼ばれる人々が義人と看做され、宗教的指導者の役割を果たしていました。ファリサイ派の人の家にイエズスが招かれ、食事をしておられると、「一人の罪深い女」がイエズスに近寄り、泣きながらその足を涙で濡らし、自分の髪の毛でぬぐい、接吻して香油を塗りました。イエズスは「この人が多くの罪を赦されたことは、わたしに示した愛の大きさで分かる。赦されることの少ない者は、愛することも少ない。」と語り、女に向かって「あなたの罪は赦された。安心して行きなさい。」と命じられました。


【下・参考画像】 Jacques-Joseph Tissot, dit James Tissot, Mary Magdalene's Box of Very Precious Ointment, 1880s/90s, Brooklyn Museum of Art, New York




 ローマ・カトリックの伝統においては、この「罪深い女」はマグダラのマリアと同一視されることが多く、特に教皇グレゴリウス1世 (Gregorius I, c. 540 - 590 - 604) がその説教で次のように述べて以来、ふたりは同一人物であるとの考え方が支配的になりました。

  Hanc vero quam Lucas peccatricem mulierem, Joannes Mariam nominat, illam esse Mariam credimus de qua Marcus septem damonia ejecta fuisse testatur. (SERMO XXXIII)

(しかるに、ルカが罪深い女、ヨハネがマリアと呼んだこの女は、七つの悪霊を追い出されたとマルコが証したマリアであると、我らは信ずる。 「説教33」)


 このメダイは 20世紀初め頃にフランスで制作されたもので、素材がブロンズである、ラテン語が使用されている等の古い特徴を残しています。浮き彫りはたいへん良好なコンディションで、細かい部分までまったく摩耗せず、新品時と同様の状態で残っています。マグダラのマリアのアンティーク・メダイは数が少なく入手困難ですが、そのなかでもとりわけ稀少かつ美しい佳品といえましょう。





本体価格 16,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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