直径およそ 3センチメートルの大型メダイ。500円硬貨二枚分に相当する14グラムの重量があり、手に取るとかなりの重みを感じます。
メダイの表(おもて)面には、甲冑姿のジャンヌ・ダルク (Jeanne d'Arc, c. 1412 - 1431) を立体的な浮き彫りで表し、ジャンヌの前に「デュ・リス」(du Lys) 家の紋章、後ろにロレーヌ十字を配します。鎖帷子(くさりかたびら)と鉄兜の間からは、少女らしく初々しい横顔が見えています。
兜にはオリーヴが飾られています。古典古代以来、オリーヴは力と知恵、希望、勝利と栄光、豊かさ、長命、貞操等のシンボルであり、ユダヤ・キリスト教の伝統においては、何よりもまず、神との和解、神との平和を表します。
ジャンヌ・ダルクは、1922年、教皇ピウス11世によって、フランスの守護聖人のひとり (une patronne secondaire) とされました。このメダイにおいて、ジャンヌ・ダルクは、いわば敬虔なるマリアンヌとして、神に聴き従うフランスを表します。マリアンヌの図像にも頭にオリーヴを飾った例が多く見られ、それらの作例におけるオリーヴは、力と知恵、希望、勝利と栄光、豊かさ、長命、貞操を表していますが、ジャンヌにオリーヴを飾ったこのメダイでは、上記の意味に加えて、「神との和解」「神との平和」という意味を読み取ることができます。19世紀半ば以降、フランスでは神との和解を目指す「悔悛のガリア」(GALLIA POENITENS) の運動が、国民的規模で展開されました。本品は20世紀後半に製作されたものですが、神との平和、神からの祝福を願う気持ちが、オリーヴに表れています。
ジャンヌの前にあるのは、オルレアン解放(1428年)の功績により、1429年頃にシャルル7世から下賜された「デュ・リス」(du Lys) の紋章です。ジャンヌの後ろにあるのは、ロレーヌ十字です。
メダイの裏面には「デュ・リス」(du Lys) の紋章の上に、ジャンヌが生まれたロレーヌの村ドンレミ (Domremy) の名前が彫られています。
本品は数十年前にフランスで制作されたものですが、未販売の新品(デッドストック品)です。真正のヴィンテージ品ならではの味わいと、製作当時のままの良好な保存状態を兼ね備えた稀少品であるうえに、立体的な浮き彫りを大きなサイズで表し、立派な作品に仕上がっています。