レモン・ドラマール作 ブロンズ製メダイユ・ド・ベルソー 「主はその天使たちに命じて汝を守らせ」 アール・デコ様式による芸術品水準の作例


突出部分を除く直径 50.4 mm  最大の厚さ 6.0 mm  重量 69.7 g

フランス  1920 - 30年代



 アール・デコそのもののような意匠によるブロンズ製のメダイユ・ド・ベルソー(仏 médaille de berceau ゆりかご用メダイ)。直径 50ミリメートル、厚さ 6ミリメートルという重厚なサイズのメダイユで、およそ 70グラムの重量があります。彫刻家のサインはありませんが、フランスの高名な彫刻家レモン・ドラマール(Raymond Delamarre, 1890 - 1986)による芸術作品です。





 メダイユの表(おもて)面には、微笑ましい母子の姿の背景に、力強い守護天使を浮き彫りにしています。

 前景の子供はごく幼い乳児で、まだ座ることができず、仰向けに寝転んでいます。頭を枕に支えられて母の方を見る乳児は、喜びを全身で表し、愛らしい歓声を挙げながら手足をばたつかせています。乳児をあやす若き母は、この子の母となった喜びに満面の笑みを浮かべつつ、愛しいわが子に優しく手を伸ばしています。





 天使は母子のすぐそばで怠りなく周囲を見渡し、害を加える者が母子に近づくことがないように守っています。天使は神の命により母子を守っているのですが、大柄で力強い天使の姿は「母の愛」の形象化でもあります。天使は神の軍人であり、地上の如何なる軍隊よりも強い存在です。それと同様に、母が幼子に注ぐ愛は、地上の誰がどんなものに向ける愛よりも強いのです。天地を繋ぐかのように、メダイユの上下いっぱいに彫られた天使の立ち姿は、あたかも天から降(くだ)ったかのように利己心の無い母の愛を表します。胸の前に手を合わせた天使の姿は、母の祈りを表します。





 群像を取り囲むように、次の言葉がラテン語で刻まれています。

  ANGELIS SUIS MANDAVIT DE TE.  神は汝を天使たちに委ね給うた。


 これは年間を通して修道院で行われる聖務日課のうち、四旬節第一主日の朝課で唱えられるレスポンソリウム(応唱)の言葉で、四旬節の苦しい期間の初めにあたって、信仰によって天使の加護を知るキリスト者の言葉です。また同じ言葉は寝る前の祈りである終課においても一年を通じて日々唱えられ、夜の闇の中にあっても守護天使が守り給うことを思い起こさせる祈りの言葉となっています。この言葉はもともとは下に示す詩篇の聖句(新共同訳聖書で「詩篇」91篇11節から13節)に由来します。

     Angelis suis mandavit de te, ut custodiant te in omnibus viis tuis; in manibus portabunt te, ne unquam offendas ad lapidem pedem tuum. Super aspidem et basiliscum ambulabis, et conculcabis leonem et draconem.    主はあなたのために、御使いに命じて、あなたの道のどこにおいても守らせてくださる。彼らはあなたをその手にのせて運び、足が石に当たらないように守る。あなたは獅子と毒蛇を踏みにじり、獅子の子と大蛇を踏んで行く。(新共同訳) 





 本品に彫刻家のサインはありませんが、フランスの彫刻家レモン・ドラマール(Raymond Delamarre, 1890 - 1986)による作品です。ドラマールはアール・デコ期のフランス彫刻に主導的役割を果たした重要な芸術家のひとりです。上の写真はドラマールが建築家ミシェル・ルー=スピッツ(Michel Roux-Spitz, 1888 - 1957)とともに、スエズ運河畔のイスマイリア(Ismaïlia)に建設した巨大な碑で、第一次世界大戦中の1915年に、オスマン・トルコとドイツの連合軍が運河を守るイギリス軍を攻撃し、イギリス軍が勝利した戦闘を記念しています。この記念碑は「ア・ラ・デファンス・デュ・カナル・ド・シュエズ」(仏 "À la Défense du Canal de Suez" 「スエズ守備隊に捧ぐ」)と名付けられ、二人の女性像は「ランテリジャンス・セレーヌ」(仏 "l'Intelligence Sereine" 「静かなる知性」)と「ラ・フォルス・セヴェール」(仏 "la Force Sévère" 「烈しき力」)を表しています。

 レモン・ドラマールは勇ましい作品ばかりを創っているわけではなく、二つの世界大戦後に制作された作品群には深い悲しみが籠められています。ドラマールは信仰深いカトリック信徒であり、キリストや天使、諸聖人をテーマにした非常に多くの作品を制作しています。

 ドラマールがこのメダイユを制作したのは、第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間の戦間期です。第一次大戦終結後に結ばれたヴェルサイユ条約は、あたかも復讐心が形を取ったかのような内容で、ドイツ国民の福利をまったく考慮せず、ドイツの破壊的な弱体化を図るものでした。ドイツ国民は憤激し、イギリス、フランスとの間に緊張が高まり続け、1939年、ついに第二次世界大戦が勃発します。第二次世界大戦では六千万人の死者が出ましたが、そのなかには数知れぬ幼子たちも含まれています。その歴史を知る我々は、神の命を受けた守護天使たちが、地上における母子の幸福な日々を守り、あるいはせめて天国の安らぎに至るべく導いたことを、心から願わずにいられません。





 本品は二十世紀フランスを代表する彫刻家の手による芸術品です。八十年以上前のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、おそらく未使用のまま残っていたものと思われ、保存状態はきわめて良好です。70グラム近い重量がありますので、ゆりかご用メダイとして使用する際には、ベビー・ベッドの真上ではなく傍らに飾ってください。





38,800円

電話 (078-855-2502) またはメールにてご注文くださいませ。




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