稀少 デッド・ストック品

初聖体のイアリング 「リジューの聖テレーズ」 すみれ色のガラスによるエマイユ・シュル・バス=タイユ 15.8 x 13.5 mm


突出部分を含むメダイのサイズ 15.8 x 13.5 mm



 フランス製のイアリング。新品のまま保管されていたデッド・ストック品と思われます。

 本品は誰が使っても構わない品物ですが、特に「コミュニオン・ソラネル」の際、少女たちがこのように美しいジュエリーを身に着けました。「コミュニオン・ソラネル」(la communion solennelle) とはフランス語で「盛式聖体拝領」という意味で、フランスのカトリック教会において12歳頃の少年少女のために行われます。「コミュニオン・ソラネル」は大人への入り口であり、一生の思い出として記憶される大切な行事です。




 本品はイアリング用金具に八角形のメダイを吊り下げ、光を反射しながらゆらゆらと揺れるジュエリーに仕上げています。メダイにはリジューの聖テレーズを浮き彫りにし、紫色の半透明ガラスでエマイユ(七宝)を施しています。

 本品は小さな工芸品ですが、いくつかの鑑賞のポイントがあります。

【八角形のメダイ】

 本品のメダイは円形ではなく、八角形のシルエットを有します。キリスト教において、「八」は山上の垂訓(マタイによる福音書 5~7章)に述べられた八つの幸福を表します。リジューの聖テレーズは八つの幸福を体現した人のひとりであるゆえ、八角形はテレーズにふさわしい形であるといえます。また山上の垂訓は特別な聖人たちのための教えではなく、万人のための教えであることを考えると、大人への通過儀礼というべき「コミュニオン・ソラネル」において、子供たちにこの教えを思い起こさせる図形として、八角形はこの機会に最もふさわしいデザインといえましょう。

 さらに「八」という数字は、天地創造に要した日数すなわち完全数「七」の次の数であるゆえに、物事の新たな始まり、新生、生まれ変わり、新しい命の象徴でもあります。全身を水中に浸す洗礼が行われていた時代に、洗礼堂が八角形のプランで建てられていたのも、「八」が有するこの象徴性ゆえです。

 「コミュニオン・ソラネル」は聖体拝領を中心とした行事であり、本来は初聖体の儀式であったこと、キリストが「最後の晩餐」で聖体拝領を定め給うた際、「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠の命を得、わたしはその人を終わりの日に復活させる」(ヨハネによる福音書6章54節 新共同訳)と語り給うたことを考えると、八角形は「新生」を表すという点においても、「コミュニオン・ソラネル」のジュエリーにふさわしい形です。


【紫色のシンボリズム】

 フランスのメダイにエマイユが施されている場合、その色はたいてい青で、まれに赤が使われます。しかるに本品のメダイには稀少な紫が採用されています。

 は青と赤の中間に位置するゆえに、「中庸」「(極端に走らない)節度」「節制」を表します。また青は天、赤は地を表すゆえに、青と赤の中間色である紫は「精神と肉体の均衡」、さらに「知性と情熱の均衡」「熟慮」を表します。青は智、赤は愛を表すゆえに、紫は「智と愛の均衡」を表す色でもあります。

 紫色の宝石の代表格であるアメティスト(アメシスト)の語源はギリシア語の形容詞「アメテュストス」(αμέθυστος 「酔わない」)です。これは酒に酔わないという意味のみならず、誤った思い込みに直結しがちな精神的陶酔に陥らないという意味でもあります。

 紫は以上のような意味を象徴的に表すわけですが、これらはいずれもたいへん大切で、若者が大人になるまでに学び取ってほしい性質です。したがって紫色は「コミュニオン・ソラネル」のジュエリーにこのうえなくふさわしい色といえます。


【愛と寛容を表す聖テレーズ像と薔薇】

 リジューの聖テレーズはジャンヌ・ダルクと並んで、被昇天の聖母 (la Bienheureuse Vierge Marie dans son Assomption) に次ぐフランスの守護聖人 (une patronne secondaire) であり、フランスではとても人気があります。

 テレーズは、神への愛を表し聖性に到達するために必要なのは難しい本や偉業ではなく、小さな花のような自己犠牲、眼差し、言葉、愛のために為す行為だと考えました。テレーズが胸に抱くクルシフィクスと薔薇は、いずれも愛の象徴です。

 これらの徳が修道院内のみならず社会全体で実行されれば、いかに素晴らしい世の中が生まれるでしょうか。次代を担う子供たちにこそ最も習い覚えてほしい徳について、テレーズは自ら模範を示したのです。したがって「コミュニオン・ソラネル」のジュエリーにあしらわれた聖テレーズ像には、この聖女のように大きな愛と寛容の徳を備えた大人に育ってほしいという願いが籠められているのです。





【細密浮き彫りとエマイユの技法】

 メダイユとエマイユはいずれもフランスで最も発達した分野です。したがって本品はフランスならではの品物ということができます。

 フランスはメダイユ彫刻が最も発達した国で、メダイユ彫刻家の優れた技術により、素晴らしい出来栄えのミニアチュール作品が数多く生み出されています。本品もそのような品物の一つで、浮き彫りにされたテレーズの顔は 3 x 2ミリメートル、手は 2 x 1ミリメートルしかありませんが、正確に整った形に彫られています。

 本品のエマイユ技法は浅浮き彫り(フランス語で「バス=タイユ」)の上にガラス・エマイユを施す技法で、「エマイユ・シュル・バス=タイユ」(l'émail sur basse-taille) と呼ばれます。

 「エマイユ・シュル・バス=タイユ」では、下地の金属板を彫りくぼめ、窪みの内部に浅浮き彫りを制作します。浮き彫りの最も突出した部分は、窪みを囲む金属の縁よりもわずかに低くなっています。この窪みに半透明の色ガラスのフリットを入れて焼成すると、浮き彫りの高低にしたがって色ガラスの諧調が無段階に変化し、奥行きを感じさせるエマイユが出来上がります。

 本品ではテレーズの背景を暗色にすることで、神秘性あるいは深い精神性を感じさせるメダイユに仕上がっています。世俗のメダイユや勲章、ジュエリーとは位置づけの異なる「初聖体のジュエリー」に、「エマイユ・シュル・バス=タイユ」はこのうえなくふさわしい技法です。


【本品の制作年代】

 「エマイユ・シュル・バス=タイユ」の信心具は 1920年代頃から存在しましたが、主な流行は1950年頃が中心です。イアリングの装着方式に関しては、耳に孔を開けていない人用のスクリュー・バックが 1909年、バネを利用したクリップ・オン式が 1934年に発明されました。本品の方式はこれら二つのハイブリッドで、1940年代以降のものです。金めっきに関しては、1950年代まではロールド・プレートが多用されましたが、1960年代半ば以降はエレクトロプレートが多くなります。しかるに本品の金めっきはロールド・プレートには見えず、おそらくエレクトロプレートです。

 以上を考え合わせると、本品の制作年代は 1950年代とみて間違いないでしょう。



 初聖体のジュエリーに類する物としては、ブレスレット型シャプレ(ロザリオ)が比較的手に入れやすいですが、本品のようなイアリングはたいへん珍しく、めったに見つかりません。本品は保存状態もこの上なく良好で、どなたにもお使いいただけます。





15,800円 販売終了 SOLD

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