稀少品 《クロワ・レジオナル型クルシフォクス 38.6 x 24.5 mm》 鋳造による丁寧な作例 フランス 1920 - 30年代


突出部分を含む縦横のサイズ 38.6 x 24.5 mm  最大の厚み 2.6 mm  重量 1.7 g



 1920年代または 30年代頃のフランスにおいて、銀色の合金で制作されたクルシフィクス。クロワ・レジオナル(仏 une croix régionale 地域特有の十字架型ペンダント)型の十字架に、打ち出し細工のコルプス(キリスト像)を溶接しています。高さ 38.5ミリメートル、幅 24.5ミリメートルと大きめのサイズですが、十字架が細身であるために、軽やかな印象を与えます。表面はマット(艶消し)に処理され、派手な金属光沢はありません。





 サヴォワ(La Savoie)はフランス南東部、スイス及びイタリアに接する地方の歴史的名称で、今日の行政区分でいえばオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のうちオート=サヴォワ県(Haute-Savoie)及びサヴォワ県(Savoie)に相当します。サヴォワ地方の谷は急峻な高山によって別の谷と隔てられているため、女性が身に着けるビジュ(仏 bijoux ジュエリー)は、町や村ごとに独自の意匠を発達させました。クロワ・ド・クゥ(仏 une croix de cou 十字架型ペンダント)に関しても、サヴォワの地域ごとに意匠が大きく異なります。フランスの高名な民俗学者アルノルド・ファン・ジュネップ(Arnold van Gennep, 1873 - 1957)によると、サヴォワ地方の伝統的ビジュには十字架だけでも十四の変種が存在します。





 本品は十字架が細身である点がクロワ・バトン・プラット(la croix bâton plate)に似ています。ティトゥルス(羅 TITULUS INRIの罪状書き)が長方形でない点は、クロワ・グリイェ・ド・シャンベリ(la croix grille de Chambéry)に似ています。縦木の下端及び横木の両端に球状の膨らみが付くのは、クロワ・ジャネット(フランス全土に共通するクロワ・ド・クゥ)の特徴です。

 クロワ・ド・クゥ(十字架型ペンダント)は信心具ではなく、どなたにもお使いいただける装身具ですが、フランスで生まれたゆえにキリスト教の強い影響を受けています。フランス製クロワ・ドクゥに共通する末端の小球状装飾は、福音書の中でキリストが三たび流し給うた涙を表すともいわれています。





 上の写真は本品を男性店主の手に乗せて撮影しています。本品の実物を女性がご覧になると、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。







 本品は大きめサイズですが、十字架の幅が狭いために軽やかな印象です。本品からコルプスを除いた十字架部分は、ティトゥルスを含め、打刻ではなく鋳造で制作されています。鋳造は打刻に比べてはるかに手間がかかる制作方法ですが、完成品に手作業の温かみを留めてくれます。本品においても小球状装飾の形状にばらつきがある他、ティトゥルス及び最上部にある円盤状の環も形状が完全な対称ではなく、産業的規模で作られる装身具とは一線を画した趣(おもむき)があります。

 本品は百年近く前のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず保存状態はきわめて良好です。特筆すべき問題は何もありません。





本体価格 18,800円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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