(下) 店主(男性)の手に載せたところ。女性の手に載せると、さらに大きなサイズに見えます。







大きめサイズの高級品 百合文の十字架と肉厚の別作コルプス 美麗な銀無垢クルシフィクス 56.5 x 35.2 mm


突出部分を含むサイズ 縦 56.5 x 横 35.2 mm  重量 7.0 g

フランス  19世紀後半から20世紀初頭



 信心具の素材としては最も高級な800シルバーを使用し、百年以上前のフランスで制作された銀無垢クルシフィクス。6センチメートル近い高さ、3.5センチメートルの幅がある大きめのサイズですが、軽やかな視覚的効果を産むデザインゆえに、繊細で美しい工芸品に仕上がっています。





 本品のクロスはしっかりとした作りで、およそ2ミリメートルの厚みがあります。交差部の円内には、上下左右の長さが等しいギリシア十字が末広がりの曲線で表現され、十字架と円周によって切り取られる四つの扇形には、様式化された心臓(ハート)が描かれています。





 完全な図形である円は、神が住まう天上界を象徴します。したがって円と十字架の組み合わせは、キリストの後光を他の諸聖人の後光と区別するとともに、キリストの受難という地上の出来事が、天上なる神による救済の経綸(計画)のうちにあることをも表しています。古来、心臓(ハート)は「心の座」(心が宿るところ)とされ、心あるいは愛の象徴とされます。いっぽう十字架が表す「キリストの受難」は神の愛の極点です。それゆえ本品の十字架交差部に見られる十字架と心臓の組合せは、「聖心」の図像と同様に、人智を絶する神の愛を表します。


(下・参考画像) 1864年から1880年代頃のフランスで制作された銀のメダイ。上部に十字架を突き立て、激しい愛の炎を噴き上げる聖心を描いています。当店の商品




 クロスの各先端部はフルール・ド・リス(fleur-de-lys 百合文あるいはアヤメ文)を模(かたど)り、大きく花開いています。フルール・ド・リスは三枚の花弁が三位一体を表すとともに、フランスの象徴でもあります。

 本品のクロスは、直線部分の幅が 3.5ミリメートルと、クルシフィクス全体のサイズに比べて細めに作られています。交差部が大きな円盤状に広がり、さらに各先端部が大きなフルール・ド・リスとなっているために、クロスの直線部分はいっそう細く見え、クルシフィクス全体が軽やかな印象を与えます。





 直線部の中央、および交差部の円盤の周囲には、ミル打ち(アンティーク・ファイン・ジュエリーに施される彫金の一種)のような装飾があります。19世紀フランスの工芸品やジュエリーには手間をかけた繊細なものが多いですが、本品のクロスにおける細工の細やかさは同時代の類品と比べても際立って優れています。十字架上部の環に、800シルバー製を表すフランスのホールマーク(イノシシの頭)が刻印されています。





 身に着けられる大きさのクルシフィクスでは、たいていの場合、金属板を立体的に曲げる「打ち出し細工」でコルプス(キリスト磔刑像)が制作されています。しかるに本品のコルプスは打ち出し細工ではなく、800シルバー製の立体的な像を鋳造し、クロスに鑞(ろう)付けしています。コルプスにおける人体各部のプロポーションや筋肉の付き方は正確で、目鼻立ちや茨の冠のような細部、さらには両手と両足に打ち込まれた釘の頭までもが再現されています。





 本品は19世紀後半頃のフランスで制作された真正のアンティーク品で、美しいパティナ(古色)を獲得しています。古い年代に関わらずたいへん良好な保存状態で、特筆すべき問題は何もありません。突出部分であるコルプス(磔刑像)表面に軽度の磨滅がありますが、この程度の磨滅は百数十年の時を経たアンティーク品の味わいとお考えください。





本体価格 25,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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