大きめのロレーヌ十字 (Croix de Lorraine)。ヨーロッパの紋章に使われるクラシカルな形、トレフォイル型を採用し、クロスの先端部が6箇所ともクローバーの葉の形をしています。十字架の中央には聖母子が配されていますが、幼子イエズス、聖母マリアとも、ロレーヌ十字の付いた冠をかぶっています。聖母の右手に鳩がとまっているのも珍しい構図です。十字架には次の言葉がフランス語で記されています。
Chevaliers de Notre-Dame de Sion シオンの聖母の騎士
これはロレーヌ地域圏ムルト=エ=モーゼル県の小村サクソン=シオン (Saxon-Sion) にある「ノートル=ダム・ド・シオン」(Notre-Dame de Sion シオンの聖母)の聖堂を再建するため、ロレーヌ全域の人々から募金を集めた際に制作された十字架あるいはメダイです。ロレーヌ十字と重ねられた聖母子像はロレーヌの守護聖女「ノートル=ダム・ド・シオン」で、現在でもシオンの聖堂に安置され、数多くの巡礼者から崇敬を集めています。